
堤真一が主演を務める日曜劇場「GIFT」(毎週日曜夜9:00-9:54、TBS系)の第1話が4月12日に放送された。「ザ・ドクター」以来、27年ぶりの日曜劇場主演となった堤。今回演じるのは天才過ぎる頭脳と知識を持ち合わせた宇宙物理学者で、定評のある演技力で、天才ゆえに周囲から敬遠されてしまうキャラクターを魅力あるものにしている。(以下、ネタバレを含みます)
■天才宇宙物理学者と車いすラグビーの弱小チームが繰り広げる絆と再生の物語
完全オリジナルストーリーとなる本作は、パラスポーツである車いすラグビーを舞台に、弱小チームに立ちはだかる難問の答えを導き出しながら、本気で心と身体をぶつけ合うことで仲間、家族の大切さ、そして愛を知っていく物語。
堤が演じるのは、天才“過ぎる”頭脳を持った宇宙物理学者の伍鉄文人。その伍鉄が出会う車いすラグビーチーム「ブレイズブルズ」(以下、ブルズ)の孤高のエース・宮下涼を山田裕貴、取材をきっかけにブルズと関わっていく雑誌記者・霧山人香を有村架純、バイク事故で車いす生活を送ることになった朝谷圭二郎を本田響矢が務める。
また、ブルズのライバルチーム「シャークヘッド」のエース・谷口聡一役で細田佳央太、伍鉄の従姉妹でブルズのヘッドコーチ・日野雅美役で吉瀬美智子、シャークヘッドのコーチ・国見明保役で安田顕、音楽事務所で作曲家のマネージャーをしている坂本昊役で玉森裕太、昊の母でアート作家の坂本広江役で山口智子が出演。
■天才過ぎるゆえに孤高の存在である伍鉄
大学で准教授をしながらブラックホールの研究をしている伍鉄。その変わり者加減は、冒頭から映し出された。
ファミレスでピーマンをよけながらパスタを食べていた伍鉄は隣の席の子どもたちがしていたコインゲームが気になる。十数枚のコインを取り合い、最後の1枚を取ることになったら負けというものだ。「おじさんが勝たせてあげますよ」。そう声を掛けた伍鉄は、負けっぱなしだった少年に加勢し、言葉どおりに勝利に導いた。「おじさん、どうやったの?天才じゃん!」と喜ぶ少年に、嬉々として勝つ仕組みを教える伍鉄。そこへ少年たちの母たちが戻ってきて怪しまれてしまう。
“問題”が聞こえてきたことで居ても立っても居られなかった伍鉄。自身の興味のある難問を見つけ、答えを導き出すことだけを生きがいとしているのだ。少年の母たちには「変な人」と言われ、偶然近くの席にいた昊も「なんだ?あのおっさん」とつぶやいた。
自分で注文したはずのパスタのメイン食材を避け、変な人と見られて慌てて店を出ようとするも、立ったまま残っていたパスタをほおばる。そんな姿からも、早々にして伍鉄というキャラクターが立ってくる。
さらに際立ったのは、大学でのシーンだ。ポストドクターの宗像桜(宮崎優)がブラックホールに関する研究発表をしている場に現れた伍鉄。発表を終え、会場に拍手が鳴り響いている中、「面白い。きわめて面白い説です」と声を上げるが、「ですが、ただ面白いだけです。答えから言いますね、この仮説が実証されることはありません。以上です」と続けた。
桜が「検証を重ねる」と主張すると、伍鉄はその説を打ち消す方程式を黒板に書き綴っていった。発表会の傍聴者の中からは「また闇に落としちゃった。何人目?もう干されてんだから大学辞めてくんないかな」というヒソヒソ話。天才ゆえに疎まれてしまっている存在であることが浮き彫りになった。
■ブルズの練習を観察した伍鉄は勝てない要因を分析
そんな中、従姉妹の雅美から「チームが問題山積み」と聞いた伍鉄は、興味を持ち、かつて日本一にもなったことがあるブルズの練習場を訪れる。同じ日、人香も取材に訪れていたが、「ホント、バラバラだなぁ」とつぶやいてしまうほどのチーム状態だった。
そんな練習を観察した伍鉄は、「最高だよ!このチーム、ホントに問題山積みだ!」と大喜び。「まるで宇宙ですよ。この問題が山積み具合」というのはなんとも彼らしい。さらに練習前に少しだけ車いすラグビーについて勉強していた伍鉄は、ライバルのシャークヘッドとの違いから、勝てない要因が「圧倒的エースの不在」だと分析した。
雅美の発言をしれっとバラしてしまうこともそうだが、分析結果をはっきり言われたエースポジションの涼も心中穏やかでない。涼から競技用車いす、通称“ラグ車”で勝負を挑まれた伍鉄は、涼にぶつかられてラグ車ごと前のめりに倒れてしまう。
いったん仰向けに戻された伍鉄。上からのぞきこんだ涼は「ラグ車は戦うための車です。テキトーな感じで乗るからそんなことになるんだよ」と言う。だが、その涼の顔を見て伍鉄が思い浮かべていたのは宇宙のブラックホール。さらにほかのブルズのメンバーたちにも囲まれた状態となり、伍鉄は「まるで星たちの光を浴びているようだ」とつぶやく。
涼が戸惑うと同時に、人香も「変なおじさん…」と思わず口に出てしまうのだった。
■堤真一が体現する天才物理学者に「最高」の声
編集長の西陣(真飛聖)から伍鉄のことも取材するように命じられた人香は大学へ向かう。そこで桜から「やめておいたほうがいいですよ。あの人はその才能のせいで周りを…なんて言うんだろう…闇に落とすんです。あの人自身がすべてを飲みこむブラックホール。ただ、これだけは言えます。あの人は天才です」と言われる。
人香は「闇に落とす天才学者に、闇に落ちたチーム。そんな漫画みたいな」とポツリ。ただ、伍鉄の研究室を訪れると、ブルズの見学のときに「少しだけ」勉強したと言っていたが、そうは思えない痕跡を見るのだった。
人香の取材で、車いすラグビーは「宇宙」に似ていると語った伍鉄は、車いすラグビーにのめりこんでいく。いや、ブルズに、というのが正確かもしれない。
日本選手権大会の開幕試合でシャークヘッドに大敗したブルズ。シャークヘッドのヘッドコーチである名将・国見は、「ブルズが輝いていた時代は終わった」などとしんらつな言葉を投げかけた挙句、「私たちは絶対に勝てません」と口に出して言って受け入れろと迫る。すると試合終わりに「美しい」と漏らしていた伍鉄が、「あぁ、それ、いい問題です」と現れた。
「絶対に勝てない」というのが最高の問題だと思わず笑みがこぼれる伍鉄は、ブルズはシャークヘッドに勝って「日本一」になると告げた。国見は「そんな奇跡、万が一にも起きるわけないでしょ」と冷笑するが、伍鉄は「起きます」と確信しているように言うのだった。
奇跡にあふれた宇宙と車いすラグビーという、思いがけない2つのことをつなげる伍鉄という存在。天才ゆえの変わり者というキャラクターを、コミカルさも持ち合わせた堤の熟練した演技が輝かせる。SNSには「堤さんの演技に引き込まれた」「変人天才物理学者っぷりが滲み出てて、最高!」「さすがの存在感」などと称賛の声が。その中には、堤の出演作で、ともに数学に長けた人物を演じた映画「容疑者Xの献身」とドラマ「やまとなでしこ」を思い出す声も。どちらも堤の代表作であり、今作の役どころでも真骨頂を見せてくれるに違いないという期待が高まる始まりだった。
※宮崎優の「崎」は正しくは「たつさき」
◆文=ザテレビジョンドラマ部

