学校の授業で「性交を教えない」とされている現行の学習指導要領について、日弁連(松田純一会長)は4月13日、「子どもの健全な発達を妨げている」として見直しを求める会長声明を発表した。
いわゆる「歯止め規定」の撤廃と、国際基準に沿った包括的性教育の導入をうったえている。
性に関する教育が十分におこなわれていない現状が、予期せぬ妊娠や性暴力、性感染症の拡大などにつながっていると指摘。科学的かつ人権に基づいた教育の必要性を強調した。
●「学校が性をタブー視する姿勢を子どもたちに伝える」と懸念
現在、小学校の理科や中学校の保健体育の学習指導要領には、受精に至る過程や妊娠の経過(性交)について「取り扱わないものとする」という記述が存在し、事実上の禁止規定として運用されている。
また、高校の学習指導要領でも性交を教える旨の記述はない。
日弁連は声明で、「このような学習指導要領に沿って性教育を行うことは、学校が性をタブー視する姿勢を子どもたちに伝えるものとなる」と指摘している。
その結果として、子どもたちが学校内で人権やジェンダー平等を基盤とした性交や避妊具の使い方を学べず、学校外の不適切な性情報から知識を得ることが常態化していると言及。
誤った知識や不適切な価値観を持つことで、「中高生が予期せぬ妊娠をし、最悪の場合には母子の生命・身体に関わる事態が生じたりするといった重大なリスクに陥る」と強い懸念を示した。
さらに、近年発生している中学生による嬰児遺棄事件や集団性的暴行事件、若年層における梅毒などの性感染症の急増を挙げ、「どのような性行為によって感染が起こるのか、具体的かつ科学的な教育、学習が不可欠である」と強調している。
●「人間の性交について科学的に学習する機会を奪う」
日弁連はこれまでにも、人権やジェンダー平等を基盤とした「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」に準拠した「包括的性教育」の実施を国や自治体に求めてきた。
同ガイダンスに基づく教育は、青少年が自発的に性行為の開始時期を遅らせたり、性行為に慎重になったりする効果があることが科学的に証明されているという。
しかし、現在の中央教育審議会の議論において包括的性教育を盛り込む動きが見られず、「歯止め規定」が維持される見通しであると報じられている。
これを受け、日弁連は「人間の性交について科学的に学習する機会を奪う『歯止め規定』が、子どもたちの適切な学習と健全な発達の妨げとなっていることは明らかである」と批判。
現在の規定は「あまりに硬直的で消極的であり、不適切であると言わざるを得ない」とし、子どもの発達段階や社会環境の変化に対応するため、「歯止め規定」の撤廃と包括的性教育の導入を強く求めている。

