写真:PIXTA
例年秋から冬にかけて、台風の接近が減り始めます。しかし、近年では10月に強い台風が接近する場合もあり、秋が終わるまで台風による災害が起きる可能性があります。
一方、秋~冬にかけて、低気圧や秋雨前線による大雨、冬型の気圧配置による大雪や暴風災害のリスクが高まっていきます。
こうした秋から冬にかけての気象リスクに備えるためには、気象庁が発表する「早期注意情報」を活用すると効果的です。今回は、秋から冬にかけて起こりやすい気象災害と、早期注意情報を活用するポイントを解説します。
秋から冬にかけての日本の天候の特徴
秋は台風や秋雨前線による大雨のリスクがある一方、移動性高気圧に覆われて晴れる日もあります。
その後は冬型の気圧配置が強まるため、季節風による強風や暴風、日本海側を中心に大雪のリスクが高まります。また、さらに発達した低気圧が太平洋側に大雪をもたらす場合もあります。
2024年秋~冬の天候
2024年秋は低気圧や前線の影響で東日本の日本海側や、台風の接近が多かった沖縄・奄美で平年よりも降水量が多くなりました。
また、同年9月20日から9月22日にかけては、台風から変化した低気圧と前線の影響によって東北地方から西日本にかけて大雨となり、石川県能登では線状降水帯が発生して記録的な豪雨となりました。
この大雨により、北陸地方や東北地方の日本海側を中心に土砂災害や河川の増水、氾濫、低地の浸水が発生しています。
また、2024年12月と2025年2月を中心に強い冬型の気圧配置が強まり、特に東日本日本海側で降水量が多くなりました。
2025年の2月3日から4日にかけては、発達した低気圧が北海道に近づき、帯広では12時間降雪量が120cmの記録的大雪をもたらしました。
この大雪により、通行止めや公共交通機関の運休によって交通機関が乱れたほか、高校野球部の屋内練習場が倒壊するなどの被害が発生しています。
2025年秋~冬に予想される天候

出典:気象庁「向こう3か月の天候の見通し全国 (9月~11月)」
気象庁が、2025年8月19日に発表した3ヶ月予報によると、2025年の9月~11月は上空の偏西風が平年より北寄りを流れやすく、全国的に気温が高い予想となっています。
季節の進行が遅く、秋雨前線や台風による大雨の災害リスクが晩秋まで続く可能性があります。
一方、冬の天候については、冬の気候の指標となるエルニーニョ現象(暖冬)やラニーニャ現象(厳冬)の発生はいずれも予想されていません。
現在のところ冬は平年並みとなる可能性が考えられますが、海水温が平年より高く、発達した雪雲の発生によって大雪になる可能性もあります。
早期注意情報とは
気象災害を予想し、早い段階で備えるために、気象庁が発表する早期注意情報(警報級の可能性)を活用しましょう。早期注意情報では、警報級の現象が5日先までに予想されているときに、その可能性を2段階で発表しています。
警報級の現象は、ひとたび発生すると命に危険が及ぶなど社会的影響が大きいため、可能性が高いことを示す[高]に加え、[高]ほど高くはないものの一定程度の可能性が認められることを表す[中]も発表しています。
