
お笑いコンビ・EXITが、4月19日(日)に東京・有楽町よみうりホール、6月21日(日)に大阪・なんばグランド花月(以下、NGK)で単独ライブを行う。タイトルは「はつたんどく」。だが、単独は今回が初めてではなく、現在も47都道府県を回る「チャラバンツアー」を敢行中。過去には、パシフィコ横浜や有明ガーデンシアターなどの大会場でも開催している。それなのに、なぜ「はつたんどく」なのか?また「昨年いっぱいで解散を考えていた」こと、2人の関係性などについて、たっぷり語ってもらった。
■結成11ヶ月で単独即完! “チャラ男”の枠をぶち壊し続けるEXITの快進撃
EXITは兼近大樹が、コンビを解散してピン状態だった先輩のりんたろー。を誘って、2017年に結成。“チャラ男”キャラで若い世代を中心に圧倒的な支持を受け、吉本興業所属芸人最速の結成11ヶ月で単独ライブを開催し、チケットを即日完売させた。現在ではコンビとしてだけでなく、それぞれの個性を生かして多数のTV番組に出演中。多忙な中でも「ルミネtheよしもと」や「NGK」など劇場出演やトークライブもこなし、りんたろーは絵本、兼近はエッセイを出版するなど、枠にはまらない多彩な活動を繰り広げている。
■「もういいかげん、ネタ見てみてくれ」聖地・NGKで掲げた“初単独”の真意と覚悟
――単独は何回もやってて、今も47都道府県回ってますけど、なぜ今回「はつたんどく」と?
兼近:単独はもう10回目とかなんですけど、我々が普段ネタをやってることを知らない人が居る、ってことに気が付いて。その方々にとっては、今回が“初単独”だよね?という意味で、ゼヒ来てくださいってことで付けました。「もういいかげん、ネタ見てみてくれ」と。
――今回、遂に“笑いの殿堂”と言われるNGKでも単独公演を。「NGKで単独」というのは、吉本の芸人さんにとっては、ある意味最終目標というか、夢に掲げてる方も多いと思うんですよ。
りんたろー。:「やってみたい」って気持ちはずっとあったんですけど、やっぱりスゴい聖域じゃないですか。由緒正しい劇場なんで、ボクらが単独をやれるような場所ではないんだろうな…って思ってたんです。
――通常の寄席公演では、NGKに出られてますよね?
りんたろー。:はい。それで寄席に出た時にNGKの方と話してて、何かできそうな雰囲気だったんで、「ボクたち、ずっとここで単独やりたかったんです」って言ってみたら、「やっていたただけるんですか!?」ってなって。「やらせてくださるなら、ゼヒ!」で決まりました。
――そういう意味でも「はつたんどく」ってタイトルが生きてきますよね。
りんたろー。:はい!確かにNGKでは、初単独ですからね。普段は、会場に対して「ここで単独ができるんだ!」ってあんまり思わないんですけど、NGKはさすがにあります。やってみてどんなこと感じるか、とかも含めて楽しみです。
兼近:他に無いですもんね。あんなデッカい漫才の為だけの劇場は。
――4月の東京公演から2カ月空いてのNGK公演ですけど、内容を変えたりは?
兼近:基本的には同じつもりですけど、東京でやってみて、とんでもないことになったら、変えるかもしれないです(笑)。
りんたろー。:ウケなかったらスグ捨てます(笑)。47都道府県ツアーでも、全く同じネタやったことは今まで1回も無いんで。多少は変わるかもしれませんけど。
兼近:ちゃんとしたネタで、パリッとキメにいこうかなって。カッコいいところ見せたいです。

■熟考し尽くす兼近×未完成で提出のりんたろー。…EXIT流のネタ作り
――ネタ作りの進行具合は?(※インタビューは3月下旬)
りんたろー。:兼近さんが完璧主義なので…。自分の中で納得しないと見せてくれないんですよ。結局それが締め切り間近になり…。
――そこまで熟考して持ってきたネタは、もうさすがに直すことが無い?
りんたろー。:いや。直しますよ(笑)。
兼近:直されても全然気にしないです。ボクの中で納得したモノができたかどうかだけなんで、ダメ出しされたらそれはそれで。
りんたろー。:オレは4、5割で出すんですよ。種の状態とかでも出しちゃって、そこから2人で作るんで、兼近に何か言われても、「そういう考えもあるんだ。逆にオレ1人じゃ気付けなかったな」ってこともあります。もちろんぶつかる時もありますけど。
兼近:2人で作りながらの方が早いし、ラクっすね
りんたろー。:だから、「早く出して」って言ってんのに。「まだちょっとすいません。ここがうまくいってないんで…」って…。
――途中では出したくない?
兼近:出したくないです。違う意図で伝わってもイヤだし。ちゃんとできてない段階で出して、一番やりたかった部分を「おもんない」って消された場合、「じゃあ全部やめたい」とかなっちゃうんで。
――ケンカにはならずに、建設的な話し合いでまとめるんですね?
りんたろー。:究極、どっちも正解はわかんないじゃないですか。
兼近:そうそうそうそう。
りんたろー。:お互いの想像をぶつけてるだけなんで。それ以上ぶつけ合ってもあんま意味無いってなったら、とりあえずどっちかでやってみよう、と。
――公演時間は、2時間ぐらいで?
兼近:いつもそうなんですけど、今回も1時間ぐらいです。僕のこだわりもあって。2時間も笑わせられるってキツすぎません?楽しい、面白い時間って、友達と話してても10分20分なんですよ。寄席とかだといろんな芸人が次々に出てきて空気が変わるから、2時間でも我慢できるけど。
――「我慢」(笑)。
兼近:でも、1組のコンビで2時間笑ってください、は拷問に近いだろうっていう。僕からしたらね。だから1時間ぐらいで、楽しかったな。もっと見たかったな、また来たいな、って思いながら帰ってほしくて。
りんたろー。:長いと、こっちも疲れますし(笑)。

■「コイツもういなくなる気だな…」すれ違いとキャパオーバーの“解散危機”の真相
――実はお2人の間で、去年いっぱいでEXITを解散するお話が出てたそうですね。ソロ仕事も増えて、2人でやってる意味が見い出せなくなってたとかで、兼近さんから言い出したとか…。
りんたろー。:2年ぐらい前かな?兼近が「『M-1』で結果が出なかったら、解散する」みたいな感じを出してたんで、オレ、「『M-1』で結果出さなきゃ!」ってボケもオレにして、「とにかく頑張らなきゃ」みたいになって、1人で暴走じゃないけど、自分だけで戦ってるみたいになってた時期があったんですよ。
兼近:前までは、結果が出せないなら芸人でいる意味無いなって思ってたんですよ。60になっても漫才はできるって考えがオレはずっと無かった人なんで。でもそれがわかった今は、もう時間が無限にあるんで焦らなくりましたね。それまでは「りんたろー。さん、1人でこういうのやったらどう?」とか、どこか“他人ベース”で、1人になっても仕事が増えるようにアドバイスをずっとしてて…。今はそんなこともしなくなりましたね。
りんたろー。:メッチャ嬉しかったですよ。「コレやってれば、1人でもやっていけますよ」とか言われてる時は、「ありがとう」って言いながらも、「うわっ、コイツもういなくなる気だな…」って思ってたんで。
兼近:でも、組んだ時からそんなスタンスでしたからね。
りんたろー。:ボクらをこの世界に居させる為に、たくさんの人が関わってくれたのに、それをいきなりやめれちゃうってところが、もう理解できなくて。「やめる」って言われた時、話し合っても、たぶんぶつかってケンカになっちゃうから、言いたいことはもちろんいっぱいあったけど、「うん。わかった」って。
兼近:「遂に…」みたいな(笑)。
りんたろー。:違う言語を話してる感覚で。「(解散の話は前から)言ってたじゃん」としか言わないんですもん。「オレずっと、他にやりたいことがあるって言ってましたよね?」って。そんなワケねぇ!と思って、これはオレの感覚で説得してもたぶん無理だから、とにかく「M-1」を頑張るしかねえなと思ってやってたら、ちょっとキャパオーバーになって…。それで、いろいろもう1回向き合うようになったんです。
――お互いをもうちょっと深く知ろうという姿勢になった、と?
りんたろー。:これまでは、自分の解釈で片付けて知ろうとしてなかったんですよね。「やめない」ってなった時、どういう意味で兼近は「解散する」って言ってたんだろうか…って自分なりに考えたんです。で、「2人で今後もやってくんだったら、もっと兼近への理解度を深めないといけないかな」って思いました。だから、完璧な状態でしかネタを出せないとかも、これまでは、怠惰な性格なんだ、締め切りにならないと動けない人なんだ、としか思ってなかったけど、そうじゃないのかも、と。そうやって1個1個考えてみようかな。ってなりましたね。
――兼近さんは、そういうりんたろー。さんの接し方の変化とかは感じました?
兼近:その部分は、りんたろー。さんの生き方の正義の問題なんで、表立ってはあんまり変わってないですね。

■他人が2人で歩む難しさを乗り越えて――未知の笑いへと踏み出すEXIT“第2章”
――でも、結成9年目にして、やっとそこにたどり着いた感じですね。
りんたろー。:こういうことって、他のコンビや夫婦…あらゆるところで起きてると思うんですよ。歩み寄ってたら解散せずに済んだコンビも居ると思うし。単に、お互いがやりたいことが違う、とかじゃなくて、思いとか脳みその作りとか、生い立ちとかまで遡らないと。やっぱ他人が2人で歩んでいくって、相当難しいですよ。そういう意味では、今後一緒にやっていくコンビになっての“初単独”かもしれないですね。
――ここからがEXITの“第2章”。
りんたろー。:そうですね。
――じゃあ、今回は今までしてないことをするみたいなことも?
りんたろー。:漫才の中で、兼近がやってみたいことを出してみようかと。今までは、「EXITがこう見られてるから、その面は出しちゃダメだよね」、チャレンジしても「だからウケないんでしょ」で終わっちゃってたんですけど、そこで終わりにしちゃダメだなというか、出し方を変えたら何か変わるんじゃないか、もう少し(ネタを)叩いてみよう、ってなりました。そうやって、兼近がやりたいことに対しても、諦めずに深く入り込んでいこう、って。
――そうなったことで、ネタのタイプは広がりました?
りんたろー。:広がってますね。
兼近:前より何か可能性は見えますね。今までとはちょっと違うタイプの漫才になってると思います。
りんたろー。:コントも、オレは順序立てて台本をしっかり作っちゃうところがあったんですけど、前回、兼近から見たオレの面白い部分を出したネタをやってみたんです。その時、「こんなんでいいんだ!」って思って(笑)。セリフも決めずにやってみるのも、また違うカタチでできたら面白いな、と考えてます。
――じゃあ、ご自分たちでも今回の単独はいろいろ楽しみな部分がありますね。
兼近:スゴい楽しみ。我々としてはホントに初単独の気分で。
りんたろー。:それで、どうなっちゃうか、今回でわかるんじゃないですかね。ハハハハ。
兼近:ファンの人たちからしたら、オープニングから歌って始まるっていう、これまでと変わんないEXITも見れると思います。
りんたろー。:ライブはその時1回しか見れないし、同じモノは2度とできないんで、それを楽しんでほしいですね。
兼近:「EXITってネタやってるんだ」って言う“お笑いファン”が居るんですよ。オレら劇場にもいっぱい出てるし、「M-1」も出てるのに。劇場に来てねぇだろ、と。自分の推しだけが好きで推し活してるだけ。そういう“エセお笑いファン”に、ゼヒ来てほしいですね。
りんたろー。:おい!挑戦的な発言するなよ(笑)。

■「結果を出してないんだから、挑戦は当たり前」 多忙を極めても舞台と賞レースにこだわる理由
――このところ、劇場の出番も増えてますけど、やっぱり舞台がやってて1番楽しいですか?
りんたろー。:そうですね。お客さんの返りがその場でスグあるのが面白いですね。
――NGKの公演は、生配信もありますよね。配信でネタを見てもらうのは、何か違う思いとかありますか?
兼近:いや、テレビ見てんのと一緒ですよ。でも、家の中で見る時って、笑う準備してないと思うんで、劇場に来てナマで見た方が笑う準備もできるし、もっと楽しいと思います。
■――茶の間目線だと、りんたろー。さんの方が漫才愛が強く思えますけど、実は兼近さんもスゴく強いですよね?
りんたろー。:(兼近に)“お笑い”感出さないよね、自分で。
兼近:はい。恥ずかしいし。何だろう…生活の一部にしたい、と言うか、当たり前にやってることの1つにしたいんで、普段あんまり特別感は出さないかもしれないですね。
りんたろー。:いろんな人に「こんなに忙しいのにいまだ劇場に立ち続けたり、賞レースに挑戦してるの、スゴいよね」って言われるんですけど、オレらからしたら、そこで結果出してるヤツの方がスゲェと思ってて。オレら何にも結果出してないんで、それはやるでしょ、って感じなんですけど。
――「M-1」は、あと5年ぐらい出られますもんね。今年は、この単独で勢い付けて、準決、決勝まで…。
りんたろー。:行けたら嬉しいですけどね。
兼近:でも逆に、2回戦敗退とかでも、いいエピソードになります(笑)。
■「面白い漫才を作りたい」りんたろー。と「1日18時間寝たい」兼近のアンバランスな野望
――今回の単独を経ての、今年の目標を教えていただけますか?
りんたろー。:いいネタ作りたいですね。面白い漫才を作りたいです。
兼近:ありえないぐらい寝たいですね。
りんたろー。:ウハハハハ。限界あるっしょ?
兼近:1日18時間寝たいです。昔は、そんな日々あったはずなんですよ。でも今は、テレビ出てても「あー早く寝たいな」って(笑)。それを1週間続ければ、「もう寝たくねーや」ってなると思うんで。寝るのに飽きたいです!
■「何で“来ない”という選択ができる?」 絶対の自信を持って届ける爆笑必至の「はつたんどく」
――(笑)。では最後に、まだチケットを買ってない方にメッセージを。
りんたろー。:いろんなネタを通してチャレンジをして、皆さんに楽しんでもらえるモノを作って待ってるんで、ゼヒ来てください。
兼近: 何で「来ない」という選択ができるのかを知りたいので、よかったら連絡ください。
りんたろー。:オマエ、SNSやってないから、絶対オレのSNSに来るから…(泣)。
兼近:とにかく見に来てください!よろしくお願いします!!
◆取材・文=鳥居美保

