秋雨による被害
遠くの台風が秋雨前線を活発化させおきた被害
2000年 東海豪雨
日本付近に停滞していた台風14号から暖かく湿った気流が流れ込み、秋雨前線の活動が活発になったため、東海地方は愛知県を中心に記録的な大雨となりました。この豪雨による愛知県内の被害は、一級河川 新川で堤防が決壊したのをはじめとして、河川の45か所で堤防が破壊され、浸水した家屋は約68,000棟を超えました。また、300か所を超えるがけ崩れが発生し、6名が犠牲となっています。その他、冠水により野菜・水稲などに大きな被害が出ることとなりました。
この大雨では、1時間降水量は最大97.0 mm、24時間降水量は最大534.5 mmとなっています。
その他の事例
2006年の9月16日には、台湾付近にある台風が1,000kmほど離れた九州や中国地方の秋雨前線を活発化させ、佐賀県の伊万里で1時間に99mm、1日に285mmの大雨を降らせたことがありました。その他にも、2024年8月27日には九州の南にある奄美諸島の台風が、北海道の秋雨前線を活性化させて道路を冠水させるといった被害もおきています。
秋雨前線と台風が重なった災害
令和元年東日本台風
記憶に新しい2019年の令和元年東日本台風では、東日本から東北地方を中心に広い範囲で記録的な大雨となり、河川が相次いで氾濫するなど甚大な被害が多くおきました。この台風での大雨には秋雨前線も大きく影響しており、台風による多量の水蒸気が停滞する秋雨前線に流れ込み、気流により上昇して冷やされることで大量の雨を降らせたと気象庁によって分析されています。
10月10~13日までの総降水量は、神奈川県箱根町で1,000mmに達し、東日本を中心に17地点で500mmを超えました。特に静岡県や新潟県、関東甲信地方、東北地方の多くの地点で3、6、12、24時間降水量の観測史上1位の値を更新するなど記録的な大雨となっています。
この大雨により河川の氾濫が相次いだほか、浸水害、土砂災害などがおき、死者91名、行方不明者3名、重傷者42名、軽傷者334名の甚大な被害となりました。また、住宅被害は、全壊が3,273棟、半壊・一部損壊が63,743棟、浸水が29,556棟となっています。
このように、秋雨前線は長く同じ場所にとどまり長期間にわたり大雨を降らせ、水害や土砂災害などの被害につながります。
また、台風と組み合わさることで活発になり記録的な大雨をおこすこともあります。特に秋は勢力の強いまま台風が接近し、日本列島をなぞるように進むこともありますので、秋の雨には十分注意しましょう。
参考資料
気象庁 気圧配置 気団・前線・気圧配置・天気図・気圧系の発達、移動に関する用語気象庁 関東甲信地方の天候の特性
気象庁 季節ごとの平年の天候についてのコラム 「秋の降水」
気象庁 東北地方の気候
気象庁 東北地方の気候 ~四季の天気~
気象庁 北海道地方の天候の特徴
気象庁 【コラム3】秋雨前線と台風による大雨―2006年9月の事例―
気象庁 秋雨前線による大雨 平成19年(2007年)9月15日~9月18日
ウェザーニュース 秋台風はなぜ怖い?進路や速さの特徴だけでなく、上陸時の勢力も強い傾向
内閣府 防災情報のページ 2000年(平成12年) 東海豪雨
内閣府 防災情報のページ 令和2年版 防災白書|特集 第1章 第1節 1-3 令和元年東日本台風による災害
気象庁 令和元年台風第19号に伴う大雨の要因について
FNNプライムオンライン 【台風情報】まるで川を車が走っているよう…台風が秋雨前線を刺激 北海道各地で冠水相次ぐ 南西部で非常に激しい雨 苫小牧の小中学校では休校も 北海道

