スポーツをしている人にとって、「膝の痛み」はよくある悩みだと思います。少しの痛みなら我慢してしまうことも多いかもしれませんが、放っておくと悪化するケースもあるそうです。では、どのような痛みなら病院を受診すべきなのでしょうか。「世田谷かくた整形外科 成城学園前院」の角田先生に、スポーツ整形の視点から膝の痛みについて解説していただきました。
監修医師：
角田 篤人（世田谷かくた整形外科 成城学園前院）
東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。その後、東京慈恵会医科大学整形外科学講座。東京慈恵会医科大学附属第三病院整形外科診療医長、東京慈恵会医科大学整形外科学講座講師などを務める。2023年、東京都世田谷区に「世田谷かくた整形外科 成城学園前院」を開院。医学博士。日本整形外科学会専門医・認定スポーツ医・認定リウマチ医・認定リハビリテーション医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。
スポーツによる膝の痛みとは？
編集部
スポーツによる膝の痛みには、どのような原因があるのでしょうか？
角田先生
繰り返しのジャンプや着地、方向転換といった動作の積み重ねが、膝関節やその周囲の組織に負荷をかけ、それが痛みにつながります。また、競技特性や体の使い方も要因になり得ます。代表的なものに腱の炎症、半月板損傷、靭帯損傷などが挙げられます。
編集部
膝の痛みは、子どもでも起こるのでしょうか？
角田先生
はい。成長期は骨や腱が未成熟であるため、「オスグッド・シュラッター病」や「膝蓋腱炎（ジャンパー膝）」など、スポーツをする子ども特有の膝痛が起こりやすい傾向にあります。早めに対処すれば悪化を防げるので、我慢せず受診することが重要です。
編集部
高齢者が運動をしていて、膝を痛めることもありますか？
角田先生
もちろんあります。特に、変形性膝関節症がある人や日常的に運動習慣がない人が急に運動を始めると、軟骨や筋肉に負担がかかって痛みを生じるケースがあります。そのため、年齢に応じた適切な運動負荷が大切です。
膝の痛みの受診のタイミング・見極めのポイント
編集部
急激に痛み出したケース以外だと、どんなときに整形外科を受診すべきでしょうか？
角田先生
「痛みが運動後に数日続く」「腫れや熱感がある」「曲げ伸ばしがしづらい」「歩行に支障が出る」といった症状は、医療機関を受診するサインです。特に安静にしても痛みが引かない場合は要注意です。
編集部
自己判断で湿布やストレッチをするのは危険ですか？
角田先生
一時的な対処としては有効ですが、根本的な原因が特定されないままだと症状が長引く可能性があります。痛みの原因によって対処法は異なるため、まずは専門医の診断を受けた上で対処するのが理想です。
編集部
膝の痛みで病院を受診した場合、どのような診察や検査をおこなうのでしょうか？
角田先生
まずは問診と視診・触診で、関節の状態を確認します。X線で骨の異常を調べて、必要に応じて超音波エコー検査やMRIなどで靱帯や半月板の状態を評価します。スポーツの種類によって異なる膝への負担のかかり方も考慮し、必要と思われる検査をおこないます。
