俳優の竹内涼真さんが主演をつとめるミュージカル公演が、開演3時間前になって急きょ中止となった。
竹内さんはインスタグラムで「本当にごめんなさい」と謝罪したうえで、次のように説明した。
「ギリギリまで公演を検討した結果であり、稽古からカンパニー全員で積み上げてきた作品のクオリティを下げずにベストな状態でお客様に届けることを最優先にした結果です。どうか理解していただけると嬉しいです」
●中止の理由は「出演者の体調不良」
主催者によると、4月16日午後1時開演予定だったミュージカル「奇跡を呼ぶ男」は、出演者の体調不良を理由に中止となった。チケット代金は払い戻されるという。
今回のように開催直前で中止となった場合、遠方から訪れる観客の中には、すでに新幹線や飛行機などで移動していたり、前日入りしてホテルを予約したりしているケースもある。
こうした場合、チケット代の払い戻しに加えて、交通費や宿泊費も主催者に請求できるのだろうか。河西邦剛弁護士に聞いた。
●「免責条項」の内容がポイント
「結論から言えば、裁判で争う余地はあるものの、実際には交通費や宿泊費の請求が認められるケースは多くないと考えられます」
多くのチケットには、中止時の対応について「免責事項」が定められている。交通費や宿泊費は、来場者の「自己負担」とする内容が記載されており、有効と判断されることが多いからだ。
そのため、直前の中止であっても、原則としてこれらの費用を主催者に請求するのは難しい。
「ただし、主催者側に過失があった場合や、中止の公表が遅れたような事情があれば、損害賠償請求が認められる可能性もまったくないとはいえません。
アイドルのコンサートは、複数人で行うのでメンバーの一人が体調不良で欠席したとしても、他のメンバーが歌うことで代替しやすいです。
一方、ミュージカルの場合には、主要メンバーが欠席すると、公演そのものが成り立たなくなりやすいので、主催者側の過失は一層認められにくくなります」
直前の中止は観客に大きなショックを与えるが、今回の竹内さんのように、自分の言葉で理由や謝罪を発信することは、不満の軽減につながり、結果としてトラブル防止にもつながるといえそうだ。
【取材協力弁護士】
河西 邦剛(かさい・くにたか)弁護士
「レイ法律事務所」、芸能・エンターテイメント分野の統括パートナー。多数の芸能トラブル案件を扱うとともに著作権、商標権等の知的財産分野に詳しい。日本エンターテイナーライツ協会(ERA)共同代表理事。「清く楽しく美しい推し活〜推しから愛される術(東京法令出版)」著者。
事務所名:レイ法律事務所
事務所URL:https://rei-law.com/

