
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回ピックアップしたのは、第13回コミックエッセイプチ大賞を受賞して単行本化もした五十嵐タネコさんの『東京のど真ん中で、生活保護JKだった話』だ。
同作は、実際に生活保護を受けた五十嵐さんの実体験が描かれた“人生救済リアルコミックエッセイ”。以前五十嵐さんのX(旧Twitter)に同作の第6話が投稿されると、9000以上の「いいね」が寄せられている。そこで作者の五十嵐さんに、同作について話を伺った。
■寝る時は家族4人一緒?

――五十嵐さんが女子高生の時、兄は引きこもり、父は病気の後遺症で仕事につけず、母も病気療養中のため、生活保護を受けながら生活することになる。
第6話で描かれたのは、狭小住宅に住む五十嵐さん一家による“布団事情”。五十嵐さん一家は母の薬の影響で20時から21時頃に寝支度をする。
まずこたつ布団を上にまとめ、そのこたつを台所に移動し、そして、押し入れの中の布団を敷く。しかし、6畳+2.5畳のふた間では4人がギリギリ寝れる状況で、いつの日か五十嵐さんの腰に違和感が生じて…。
読者からは「足が伸ばせないのは大変すぎる…」「よく頑張ったと伝えたい!」といった声が寄せられていた。
■作画のために実家の3Dモデルを自作

――『東京のど真ん中で、生活保護JKだった話』を連載、書籍化に至った経緯をお教えください。
生活保護を受けていた頃の経験を漫画で描こうと思ったとき、同じように貧困家庭で困っている子どもたちにも広く読んでもらいたい、という思いがありました。
学校や地域の図書館などで手に取ってもらうためには、電子書籍だけでなく紙の書籍としても出版したいと考え、「新コミックエッセイプチ大賞」(KADOKAWA主催)の受賞作品が書籍化されているのを見て、「これだ!」と思い応募しました。
その際に描いたのが、23ページの読切『生活保護JKだった話』です。ありがたいことに大賞を受賞し、改めて1冊の書籍として、幼少期の貧困生活から生活保護を卒業するまでの経験を描くことになりました。
――第6話を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。
実家の間取りや家具などを、記憶の限り正確に再現したいと思い、実家の3Dモデルを自作して作画しました。平成当時の雰囲気を思い出しながら描いたので、背景や小物などにもぜひ注目してもらえたら嬉しいです!
6話の私がタンスとタンスの間に寝ていたシーンでは、敷布団の上側を立ててタンスに頭がぶつからないようにしていた様子を再現して描きました。そこに気付いてくれた読者の方がいて嬉しかったですね(笑)。
――『東京のど真ん中で、生活保護JKだった話』を描き始める前と後で生活保護に対する認識の変化はありましたでしょうか?
たくさんの感想やご意見をいただく中で、生活保護や貧困に対する考え方は、本当に人それぞれで、多様な価値観があるなと改めて感じました。
私の幼少期の貧困描写に対しても、「こんなに過酷な家庭の実情を初めて知った」という声もあれば、「これくらいで不幸自慢されても…もっと大変な家庭はたくさんある」という声もあり、両方のご意見をいただいています。
私は、生活保護は日本国民全員に認められた権利であり、国民の生活を守るための大切な制度で、「見知らぬ誰かが得する制度」ではなく、「あなたが困ったときに支えてくれる制度」である、ということを伝えたいと思っています。そのうえでも、さまざまな価値観があることをきちんと理解しておく必要があると感じました。
――2026年の目標や展望について教えてください。
書籍では描ききれなかったエピソードなどを、今後も漫画として発表していく予定です。
また、私自身も現代の生活保護を取り巻く環境や課題についてもっと学びながら、普段なかなか知る機会の少ない生活保護について、漫画というエンターテイメントを通して、たくさんの方に身近なものとして知ってもらえたらいいなと思っています。
引き続きエッセイ漫画を執筆しつつ、創作漫画などにも挑戦していきたいと思っているので、今後も応援していただけたら嬉しいです。
――読者へメッセージをお願いします。
本作を読んでくださり、本当にありがとうございます!SNSやKindleなどでいただいたご感想を、いつもありがたく読ませていただいています。
3月11日に、単行本未収録の短編エピソードをまとめた電子書籍『生活保護JKのこぼれ話』をKindleで発売しました。少しゆるめの短編集となっていますので、こちらもぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

