「空咳が止まらない」症状が特徴的な病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「空咳が止まらない」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
喘息
喘息は、気道の慢性的な炎症により咳や息苦しさが起こる病気です。ヒューヒュー・ゼーゼーという喘鳴や、夜間・早朝に強くなる咳が特徴です。
喘息発作を悪化させる要因を、以下に紹介します。
・喫煙
・呼吸器感染症
・アレルゲン
・大気汚染
・ストレス
・アルコール
治療の基本は吸入ステロイド薬の使用で、軽症でも継続的な管理が重要です。普段から、腹式呼吸を意識するのもよいでしょう。
夜間の咳や息苦しさ、運動や会話での息切れがある場合は、早めに呼吸器内科を受診しましょう。
咳喘息
咳喘息は、ゼーゼー感や息苦しさはなく、空咳だけが続く喘息の一種です。以下のような要因が刺激となり、咳が出やすくなります。
・風邪
・冷気
・運動
・喫煙
大人の場合、30〜40%が本格的な喘息に進行するという報告もありますが、早く見つけて適切な治療をおこなえば喘息になるリスクは軽減できます。
治療は、気管支喘息と同様に吸入ステロイド薬の使用が基本です。症状が強い場合は、気管支拡張剤や抗アレルギー薬も合わせて使用します。
咳が続く場合は、早めに呼吸器内科を受診しましょう。
胃食道逆流症
胃食道逆流症(GERD)は、胃酸が逆流して食道や喉を刺激し、空咳の原因となる病気です。胸やけや喉のヒリヒリ感があり、食後に症状が悪化しやすいのが特徴です。
胃食道逆流症の治療は、胃酸を抑える薬の服用と生活習慣の改善が中心です。脂っこい食事やアルコールを控え、上半身をやや起き上がらせて寝る工夫をするのもよいでしょう。
受診すべき診療科は、消化器内科です。
百日咳
百日咳は、強い咳が長く続く感染症です。風邪のような症状から始まって咳が徐々に強くなり、回復するまで2〜3ヶ月かかるのが一般的です。
百日咳に特徴的なのは、発作的に起こるけいれん性の激しい咳で、咳込み後の嘔気が見られるケースもあります。
治療には抗菌薬が使われますが、原因となる菌が消失したあとも咳症状が続くケースは少なくありません。
強い咳が続く、咳の後に吐きそうになるなどの症状がある場合は、速やかに呼吸器内科を受診しましょう。
マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎は強い咳が長引くのが特徴の感染症です。
代表的な症状は風邪と似ており、熱や頭痛、だるさ、咳などです。
一般的な風邪よりも咳が長引きやすく、熱が下がったあとも3〜4週間続きます。肺炎にはならず、気管支炎で済む人が多いのですが、重症化するケースもあります。
治療には、百日咳と同様に抗菌薬が使われます。
風邪の咳が長く続く場合は、内科や呼吸器内科を受診しましょう。
間質性肺炎
間質性肺炎は、肺の壁の一部が硬く、厚くなったり炎症を起こしたりすることによって、空咳や息切れが続く病気です。膠原病や薬の副作用など、何かしらの原因がある場合と、原因不明の場合があります。
間質性肺炎の咳には、咳の反射を抑える中枢性の咳止めや知覚神経に作用する薬が使われます。原因となる疾患がある場合、その疾患の治療も重要です。
咳に加えて息切れがある場合は、早めに呼吸器内科を受診しましょう。
肺がん
肺がんは、肺の細胞が異常に増えるがんです。喫煙や受動喫煙、遺伝、大気汚染などで発症リスクが高まるとされています。
初期症状は少ないこともありますが、進行すると空咳や血痰、胸の痛みなどが見られます。
がんの状態によって、手術、放射線治療、抗がん剤などを使用して治療をおこないます。
自治体のがん検診を受けるとともに、異常を感じたら早めに呼吸器内科を受診しましょう。
「空咳が止まらない」の正しい対処法は?
空咳が止まらない場合の対処法を紹介します。
症状を早く治したい場合の対処法は?
空咳を早く治したい場合、早めの受診が最適です。自宅でできる対処法としては、原因ごとに以下のようなものが挙げられます。
・喘息や咳喘息:冷気やたばこを避ける、安静にする
・胃食道逆流症:食べすぎや脂肪分の多い食事を避け、上半身をやや起き上がらせて寝る
また、喉の乾燥や刺激で咳が出る場合は、加湿、水分補給、喉を休めるなどもよいでしょう。
市販薬を服用して問題ないか
空咳の症状が一時的で軽い場合は、以下のような成分を含む市販薬で改善するケースもあります。
・咳止め:ジヒドロコデイン・デキストロメトルファンなど
・痰切り:カルボシステイン・アンブロキソールなど
ただし、薬を飲んでも咳が続く、血痰や息苦しさがあるなどの場合は、市販薬では対応できません。喘息や間質性肺炎などが隠れている場合、自己判断で咳を抑えるのは危険です。市販薬で症状が治まらない場合は、早めに受診してください。

