
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、「現代思想2023年9月臨時増刊号 総特集◎関東大震災100年」に掲載されている『關東大震大火實況』(青土社刊)を紹介する。「トーチweb」で『夏のモノクローム』(リイド社刊)を連載中の永美太郎さんが、9月1日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、2000件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、永美太郎さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
■ニュースと思いキャメラを抱えて移動する男

9月1日、あるカメラマンの男は大きな揺れに対して“これはニュースだ”と思った。活動写真を撮っていたが、そんな場合ではないと考え重いキャメラを担いで外に飛び出す。
行けるところまでタクシーで向かい、橋が落ちてしまった川を大荷物を抱えながら渡り、ようやく本社に戻ったカメラマン。その後撮影に向かったカメラマンだったが、現場で群衆から向けられた言葉は…。
このエピソードを読んだ人たちからは、「報道のベース」「現像にも時間かけたと聞いた」「心が痛くなる」「群集心理は怖い」など、多くのコメントが寄せられている。
[HEAD]作者・永美太郎さん「時代のムードや空気感を伝えるために、漫画のグレーを薄墨と筆を使って表現」[/HEAD]

――本作のお話の発想の源はどこだったのでしょうか?
「トーチweb」で連載した漫画『エコール・ド・プラトーン』の準備段階で関東大震災について調べていました。連載を終えて次回作に取り掛かり始めた時に雑誌「現代思想」から関東大震災について漫画を描いて欲しいと言われ、関東大震災の記録映画を撮った男がいたことを思い出し、それを調べて原稿を描きました。
――本作では、カメラマンの視点で描かれた関東大震災の街の姿が非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
この頃から時代のムードや空気感を伝えるために、漫画のグレーを薄墨と筆を使って表現するようになりました。こだわりと言えばその辺りでしょうか。
――本作は、史実をテーマにしていますがストーリーを考えるうえで気をつけた点や、意識していることなどについてお教えください。
この作品は実在のカメラマン、白井茂をモデルにしています。彼のインタビューや自伝本を読み、それを元に主人公を造形し、彼の主観から見た関東大震災を描くことに決めました。エッセイと実録の中間の様な、朧げな記憶の回想の様なタッチを目指して描きました。
――永美さんが描く漫画は、近代を舞台にした作品が多く見受けられます。永美さんが近代に惹きつけられる理由やその魅力についてお教えください。
社会や自己の中にある矛盾と出会った時にその原因を探っていくと、本邦の近代化に伴う矛盾に突き当たるということが多くありました。我々はどこから来たのか、またどこへ行くのか。それらと向き合うことが必要だと思いました。近代史の、しかも語られなかった傍流の物語の中に自分たちと同じように生きる人間をみつけました。そしてそれを描くことが自分には必要だったのだと思っています。
――今後挑戦してみたいテーマやジャンルがありましたらお教えください。
歴史でいうと明治の士族反乱について興味がありぼんやりと調べ始めています。エッセイ漫画を読むのが好きなのでいつか描きたいです。後、需要があるか分かりませんが現代ものも描きたいと思っています、特に卓球・和服・漫才とかなら何か描けるような気がしていますが、具体的には固まっておりません。オファーお待ちしております!
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
調べることが多く手が遅いですが、長く描き続けていきたいと思っておりますので、何卒応援よろしくお願いいたします。

