尿潜血の結果の見方とは?メディカルドック監修医が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「尿潜血の原因」はご存知ですか?男女別に医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。
健康診断の「尿潜血」の見方と再検査が必要な「尿潜血」に関する数値・結果
ここまでは診断されたときの原因と対処法を紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。
健康診断・尿検査の「尿潜血」の基準値(-/+/2+等)
尿検査の基準値に関しては下記のようになっています。
尿潜血 正常 軽度異常 異常
試験紙法 – ± 1+ 2+ 3+
10個/μL 20個/μL ※ ※
(※1+以上はメーカーにより差があり一定の基準がない)
尿検査で潜血1+以上であれば、異常であり再検査をしましょう。
沈査で尿の中の赤血球が5個/HPF(強拡大の視野)以下では正常範囲と考えられます。3回の繰り返した検査でいずれもこの範囲であれば異常なしと考えます。
健康診断・尿検査で「尿潜血」が見つかった場合の再検査基準と内容
健康診断や尿検査で潜血が±以上であった場合には、再検査をお勧めします。再検査としては、日にちを変えて再度尿検査を行い、また運動などで血尿が出やすい可能性がある場合には早朝尿で再検査をします。
糸球体性のものなのかを調べるために、尿沈査で円柱や赤血球の変形を確認します。糸球体性のものであれば腎臓内科へ、そうでない場合には泌尿器科で精査をします。
悪性疾患が疑われる場合には、細胞診で悪性の有無を調べ、腹部エコー、膀胱鏡検査、腹部CT検査などで結石や悪性所見の有無を調べます。
潜血以外に蛋白尿もあれば腎臓内科、潜血中心であれば泌尿器科をまず受診するのがお勧めです。
3割負担の場合、検査費用はおおむね以下のようになります。しかし、追加項目などにより費用は異なることもあります。受診した際に確認をしてください。
尿検査・沈査約160円程度
細胞診約600円程度
腹部エコー約2,000円程度
膀胱鏡検査約3,000円程度
腹部CT検査約7,000円程度(造影CT約10,000円)
「尿潜血の原因」についてよくある質問
ここまで尿潜血の原因について紹介しました。ここでは「尿潜血の原因」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
尿検査で尿潜血が陽性、2+の場合病院で治療が必要ですか?
伊藤 陽子(医師)
尿検査が陽性となった場合、例えば運動後であったり脱水で尿が濃くなっていたりした場合には異常がなくとも尿潜血陽性となっているのかもしれません。しかし、腎炎や尿路系のがんなどの可能性も否定できません。まずは、再検査を行いましょう。再検査でも陽性であった場合には、精密検査が必要です。
特に2+と潜血量が多い場合は、病気の可能性が高いです。早めに受診しましょう。
血尿の自覚がなくても尿潜血で引っかかることはありますか?
伊藤 陽子(医師)
血尿の自覚がなく、見た目に血尿と気が付かなくとも尿に少量の血が混ざり尿潜血となることはあります。原因はさまざまです。腎炎や膀胱がんなど、症状もなく尿潜血が陽性となることも多いです。自覚症状がなくとも、尿検査で尿潜血が引っかかった場合には、内科もしくは泌尿器科を受診しましょう。
健康診断で女性が尿潜血+と診断されることは多いのでしょうか?
伊藤 陽子(医師)
女性の場合、生理があるためこの前後で尿潜血が陽性となることが多いです。また、女性の場合、膀胱炎を起こしやすく、これに伴い尿潜血が陽性になり、異常を指摘されることもあります。これらの原因により、女性の方が健康診断で尿潜血での異常の指摘が多いと考えられます。
ストレスが原因で尿潜血になることはありますか?
伊藤 陽子(医師)
ストレスのみで尿潜血が陽性になることはないです。しかし、激しい運動などに伴い、血尿が起こる事があります。このような心当たりがある場合には、運動をせずに再検査をしてみましょう。
疲れが溜まっていたり疲れやすい人は尿潜血になりやすいですか?
伊藤 陽子(医師)
疲れがたまっているだけでは、血尿は出ないですが、運動後や脱水を伴う場合には尿潜血が陽性になりやすいです。

