
「シャッターアイ」という特殊能力を持つ主人公の憲。見た光景を一瞬で記憶し、二度と忘れることができない。この特殊な能力のおかげで、彼の頭の中はいつも大量の記憶が記録されている。そんな彼が仕事中に見つけた遺体の男は、どこか見覚えがありーー。第87回ちばてつや賞で期待賞を受賞した可惜夜季央(あたらよきお)(@atarayokio)さんの「記憶遺棄」を紹介すると共に、制作の裏側を伺った。
■記憶と遺留品をめぐる物語と、外面からは想像もつかない人の多面性に迫る



見たものを一瞬で記憶し忘れられない“シャッターアイ”を持つ特殊清掃員の主人公・憲。本作「記憶遺棄」では、取り壊し予定のアパートで発見した遺体をきっかけに、記憶と遺留品をめぐる物語が展開する。漫画を描くにあたりテーマにしていることを作者の可惜夜季央さんに伺うと、「はたから見てごく普通の人が、実は変な人だったり、すごい能力がある人だったり、物凄い経験をしてる人だったり、サイコパスだったり、外面からは想像もつかない人の多面性を、どのように見つけて見せていくかを自身も楽しみ、読者にも楽しんでほしいと思っているところです」と教えてくれた。
本作を制作したきっかけについては、「最初はゴミとかごちゃごちゃしたものを描きたくて、いつか遺品整理や特殊清掃とかのお話を描きたいなって思ってはいました」と語り、全く別の設定で描こうとしていた瞬間記憶能力の話を取り入れ、記憶と残置物の組み合わせに可能性を感じて描いたと振り返った。
また、主人公は「保守的な性格ゆえにネガティブな記憶が優先的に思い起こされやすく、常に脳内がフル回転で頭痛に苛まれ、その影響で日常生活ではぼんやりしがちで気遣いまで手が回らない人物」という。
第87回ちばてつや賞で期待賞を受賞した際の感想は、「すごくうれしいです。自分の好きなものを描き続けていてよかった」と話し、審査員からはキャラクターたちの会話が飽きない点に加え、設定やアイデアの秀逸さや興味をそそる演出が評価されたそうだ。
記憶を巡る出来事と、それに向き合う登場人物たちの姿が描かれる本作を、ぜひ一度読んでみてほしい。
取材協力:可惜夜季央(@atarayokio)
※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

