
櫻坂46 三期生が総出演するドラマ「路地裏ホテル」のエピソード4「標的」(前後編)が、4月17日と24日にLeminoで配信された。エピソード4では、的野美青が演じる弓道部員・西原紬が、休息をとろうと“路地裏ホテル”の205号室に入ると、なぜか見知らぬ山中へ迷い込む。祖父(五頭岳夫)を追い掛けて行った先で、小田倉麗奈が演じる謎の少女・霧谷玲衣と出会った。(以下、ネタバレを含みます)
■エピソード4の主人公は的野演じる弓道部員
本作は、櫻坂46の三期生11人が出演する青春ファンタジーオムニバスドラマ。都会の喧騒から離れた場所にひっそりと佇む「路地裏ホテル」を舞台に、仲村トオル演じる“支配人”に鍵を渡され205号室に入った宿泊客たちが、不思議な世界を体験しながら、さまざまな悩みと向き合い、成長する様が描かれている。
紬は高校の弓道部に所属しており、大会にも出場する実力の持ち主。しかし、スランプに陥っていて、大会が行われる遠征先に来て練習するが、どうにも調子が戻らない。思い切って顧問に棄権したいと相談すると、「もう少し考えてみないか」と判断を先送りにされてしまう。
練習を切り上げ、宿泊するホテルの住所を教えてもらい、1人で先に宿泊先に向かう紬。足取りが重い中、祖父から「明日の試合、楽しみです。迷うな!正射必中!」という期待を込めたメッセージが届き、さらに気が重くなってしまう。この祖父のメッセージの中の言葉「正射必中」。これがこの後のストーリーの中で何度か登場する、重要なキーワードにもなっている。
教えられた住所に着いたが、ホテルの名前が違う。顧問の教師に確認しようとするが留守電だったので、とりあえず中に入ってみることにした紬だが、ドアを開けた瞬間、顔の前をダーツの矢が横切った。投げたのは“路地裏ホテル”の支配人だった。
弓道の弓を持っていることに気付いた支配人は、ダーツの的の上に書かれた「正射必中」を指差し、「好きな言葉です」と話す。支配人が「的に当てようとせずに…」と言葉の意味を説明しようとすると、紬が「正しく射ることに集中せよ」と続きを口にする。「祖父によく言われます」と支配人に伝えるが、紬が弓道をやってきた中で、恐らく何度も聞かされてきた言葉なのだろう。
紬の表情などから支配人は何かを察したのか、紬がチェックインするはずだったホテルを調べるからその間、部屋で休んでいてくださいと言い、“205号室”の鍵を渡した。
■扉を開けると…なぜか祖父と山の中に
紬が鍵を開けて扉を開くと、そこに部屋はなく、視界に入ってきたのは見覚えのない山の景色だった。高い木が生い茂り、紬は制服からカモフラ柄の服に黄色とオレンジの蛍光色のキャップ、ベストを身に着けたアウトドアの装いに変わっていた。そして、すぐ隣には同じ蛍光色のキャップとベストを身に着けた祖父の姿があった。それも猟銃を肩に担いだ格好で。
状況がつかめない紬だが、どうやら祖父はトランシーバーで連絡を取り合いながら、何人かで何かを追い掛けているようだ。紬が弓道をしていることを祖父は知らないところを見ると、ここはパラレルワールドのような感じだろうか。「すぐに戻るからここで待っていろ」と言われて待つと、どこからか銃声が響く。音の先には猟銃だけ残され、祖父の姿は消えていた。
ふとポケットに入っていた双眼鏡をのぞいてみると、オレンジの服を着た人物が何者かに連れ去られようとしている。実弾が一つ込められた猟銃を持って紬がその後を追うと、隠れ家的な建物があり、2人の男性(町田大和、鈴木武)、女性(大谷麻衣)の姿が見えた。会話から、3人は“逃走犯”だと分かる。3人のうち2人が車で出掛けるのを確認すると、紬は祖父を探すために建物に近づいた。詮索する中で、離れの建物らしき所で、イスに縛り付けられている少女を発見。それが玲衣だった。
真っ白なロングのワンピース姿で、高めのツインテールという“お嬢様”的な雰囲気の玲衣。怖がったり、怯えたりするのかと思ったら、紬の銃を見て、「それ、本物?」と冷静に聞き、「子どもが銃持っていいんだ」と、全く慌てる様子もなく、その表情と口調からは恐怖心も感じられない。しかも、「私、誘拐されてるの」と置かれた状況に対しても冷静で、そう伝えた口元は笑みさえ浮かべている。
実際、紬からも「冷静」と言われるが、玲衣はいたってマイペース。「今逃げても、すぐ暗くなっちゃうよね。また捕まったら面倒だし」と慌てる様子もなく、「いいんだよ。悪い大人はみんないなくなっちゃえばいいんだから」と、暗に紬に銃を使うことを促すような発言もしている。
紬に猟銃を構えさせ、照準の合わせ方から、撃ち方まで細かくレクチャーする姿は、最初に見せたお嬢様然とした姿とは大きく異なっていた。「狙いを定めたら余計なことは考えないで、自分の信じることをするの」というアドバイスに、紬は弓道のときの自分と重ね合わせる場面も。この玲衣のアドバイスも「正射必中」に通じるものを感じる。
紬が銃を持って祖父を探しに行っている間に、見張りの男が玲衣の様子を見に来るが、やはり臆する感じは全くない。男との会話も意味深なものに思えた。紬が戻ってくると玲衣の姿はなく、戻ってきた2人が何やら言い争いをしているのに気付き、様子を見に行くと、見張り役の男が血を流して倒れている。
そこに、大きな鎌を持って笑みを浮かべる玲衣が現れた。「違うよ?あの女の人が殺すところを見ちゃって、これは持って来ちゃっただけ。私がやったんじゃないよ」とは言うものの、玲衣に対して紬が警戒心を濃くしたのは間違いない。それを感じたのか、玲衣は笑顔のまま紬に「信じられなくなったら私のこと撃っていいから」と、事もなげにさらりと言うのだった――。
玲衣の「悪い大人はみんないなくなっちゃえばいいんだから」「大人はみんな汚いよ」の言葉通り、その後も欲に目がくらんだ大人たちによる“事件”が立て続けに発生。紬も猟銃を“大人”に向けて構え、引き金に指をかける…というシーンも。これまでのエピソードとは趣が異なり、ミステリー色の強いストーリーで、謎の少女・玲衣の底知れぬミステリアスさもあって“まるでホラー”な要素も感じられる展開になった。
■三期生2人のキャラクターもしっかり反映
今回も三期生の2人が演じるキャラの濃さがしっかりと感じられたエピソードとなっていた。的野が演じる紬は、真面目な性格。弓道部でもみんなからの期待を背負い、その期待に応えようと真剣に取り組むがゆえに、スランプに陥ってしまったのだろう。迷惑をかけるくらいなら、棄権したほうがいいという考えを持っており、祖父からの「正射必中」という言葉も、言葉の意味は分かっているが、何もできない自分に不甲斐なさを感じている。
「あなたの的を射抜きますとは言ってきていますが私は弓道はやったことありません」と2023年の年末にブログで書いていたが、まさかドラマで経験するとは、この自己紹介をしていた当時は想像していただろうか。
■エピソード間の意外なつながりも発見
一方、小田倉が演じる玲衣は“謎多き少女”。真っ白なロング丈のワンピース姿で、高めの位置でのツインテールがトレードマーク。父親は古美術商を営んでおり、裕福な暮らしを送っている。髪形は普段の小田倉と違うものの、“お嬢様”という部分では、小田倉自身のキャラクターと重なるところがある。監禁されているとき、紬が現れても全く動揺しなかったところからも、肝が据わっている性格なのだろう。
本当かうそか分からないような発言ばかりだが、実は大事なことをちゃんと伝えている。表情からは気持ちが読めないところや、ひょうひょうとした雰囲気が、“謎の少女”をよりミステリアスに感じさせている。小田倉自身、息を吐くように“うそ雑学”をメンバー相手に披露することで知られるが、そのイメージで見てしまうとより本心が読めず怖いキャラクターとして映る。
ちなみに、中嶋優月と村山美羽が出演したエピソード1「修学旅行の話」前編の冒頭で、中嶋演じる脚本家・小山内唯香の部屋のテレビにドラマが映っているシーンがある。櫻庭慎一原作「顔面ボール殺人事件」の1シーンだが、そのドラマに今回登場する逃走犯の女性(大谷)と捕らえられていた男性(鈴之助)キャラクターが映っていたのも興味深い。2人ともエピソード4と同じ服を着ている。エピソード1の劇中ドラマと、エピソード4のパラレルワールドの世界がつながっているのだろうか。
オムニバス形式で各エピソードは直接的な関連性はない。だが、そんな遊び心が盛り込まれたドラマということで、ラストエピソードでも何か他の物語との“接点”があるのかもしれない。ストーリー本線とは別に、そういうつながりを探してみるのも良さそうだ。
◆文=田中隆信

