突然ですが、ナルゲンボトル、ご存じですか?
ナルゲンボトルとは、元々研究室用に開発されたプラスチック製品の米国ブランドNalgeneが手掛ける、軽くて丈夫で高い密閉性を持つウォーターボトルのこと。アウトドアに親しむ人たちの間では以前からよく知られていましたが、最近では「防災ボトル」にもお勧めということで、色々なところで取り上げられるようになりました。防災ボトルとは、ウォーターボトルの中に災害時に役立つアイテムを詰めたもの。リュックやカバンにサッと入れて持ち運びやすい便利な防災アイテムとして近年注目を集めています。
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とはいえ、周囲の友人たちと話をしてみると、まだまだナルゲンボトルを知らない人も多いと気づいたので今回はナルゲンボトルと、その用途のバリエーションをいくつかご紹介します。
マイナス20度から100度まで対応可能!
私のナルゲンボトルとの出会いは、バックパッカーだった20代の頃。東南アジアやアフリカなどに行くことが多く、ややサバイバルな状況になることも少なくなかったので、-20度から100度までの耐冷性能と耐熱性能を持つナルゲンボトルは旅のお供として大活躍してくれました。例えば、当時のアフリカやアジアの飛行場では、荷物が出てくるターンテーブルで再会したバックパックがなぜか濡れていたり、どこかが破けていたりすることもありました。急なスコールなどでずぶぬれになることもあったので、保険証のコピーや貴重品、常備薬など大事なものは気密性が高いナルゲンボトルに入れて守っていました。川や海などの水場で遊ぶ時にも、貴重品をナルゲンボトルに入れて、カラビナなどでバックやベルトに装着!大きなサイズのものなら、濡らしたくない着替えを入れておくことも可能です。様々なサイズやカラーのものを取り揃えて、色々な用途に活用していました。(ただし、畳むことができないので複数あるとかさばるのがたまにきず)
最近のわが家のレギュラーメンバーの一部です
日常にも旅行にも防災にも使える!ナルゲンボトルの性能を確認
プラスチックボトルはいまやたくさんあるのに、なぜナルゲンボトル推し?と思った方もいるかもしれません。
たしかにプラスチックの広口ボトルは100円ショップなどでも購入することができるのですが、ナルゲンボトルをお勧めするのはその性能の優秀さから。ナルゲンボトルは、人体に有害とされるBPA(ビスフェノールA)フリーのトライタン樹脂製で耐久性・耐熱性・耐冷性に優れます。例えば夏の暑い時期に、スポーツドリンクなどを持っていきたいと思っても金属製の水筒の多くは酸性やアルカリ性の飲み物を長時間入れておくと内部を傷めてしまう恐れがありNGですが、ナルゲンボトルならOK。匂いや色が移りにくいのもありがたいところです。
熱中症対策のはちみつイオン水はいつもこのボトルで
お出かけ前にそのまま凍らせて、保冷剤代わりにすることもできるし、逆に寒い時期には、お湯を入れて湯たんぽとしての活用もできます。
また、ループとキャップが一体化しているので、ふたを落としてしまったりする心配もなく、お子さんにもお勧めです。
密閉性も高いので、山歩きの際の行動食入れにしてもいいし、ドライフルーツやナッツ、コーヒー豆など湿気ると困るものの日常的な保存にももってこい。さらに、透明で中が見える上にメモリがついていて、計量できるので調理にも活用可能。アウトドアシーンでも日常でも旅先でも様々な場面で寄り添ってくれる強い味方になります。
水とパスタを入れれば、調理が手軽な水漬けパスタに
わが家は年に数回キャンプに出掛けるのですが、設営がある初日は、何かと時間がおしてしまいがち。調理時間を短縮し、ぱぱっと手早く食べたい時に活躍するメニューの1つが水漬けパスタです。水漬けパスタは、茹でる前のパスタをボトルに入れ、水をボトルいっぱい注いで2時間以上漬けておいたもの。あらかじめパスタに水を十分吸わせておくことで、加熱時間を大幅に短縮することができます。出発前に水を入れたナルゲンボトルにパスタを入れておけば、少量の熱湯で短時間茹でるか、パスタソースと一緒に加熱するだけで簡単にモチモチ食感のパスタが完成!非常時にも覚えておくと便利な調理法です。水漬けパスタのもちもち感を生かして、中華麺代わりに焼きそば風アレンジなどもおすすめです。
ナルゲンボトルでランタンを作る
防災用品としてヘッドライトは持っているけど、ランタンは買い忘れた、という方にはこんな使い方も。小型のヘッドライトをナルゲンボトルの中に入れれば光が拡散してランタン代わりにも使うことができるのです。水を入れたボトルにライトの光を当てても同様にランタンがわりとして使うことが可能です。ボトルの色によって明かりの光の色が変わるので、いろいろな色のボトルを揃えておくと、楽しい気分になってお子さんたちも喜ぶかもしれません。

いろいろなボトル色があると光もカラフルで楽しい
非常用トイレにも?!
街中でも、電車の中でも、渋滞中の道路でも。「ママ、おしっこ~」の声に、「え??いま?こんな場所で?どうしよう」と、焦ったこと、育児経験者なら誰しもあるのではないでしょうか。わが家もこれまでに、この状況に何度も陥りました。街中であればコンビニや公共施設など駆け込む先がありますが、例えば渋滞中の高速道路など、どれぐらいでお手洗いに到達できるのかがわからない状況下では、本当に焦ります。当初は、たまたま車内にあった空のペットボトルで対応していましたが、口が狭いため、揺れた時などには的が外れないかとハラハラドキドキしていました。
でも広口のナルゲンボトルなら、そんな心配もご無用。わが家は、いざという時用の子どものおしっこ専用ナルゲンボトルを車内に常備。どうしても間に合わないという時は車内で済ませ、SAのトイレに着いた時に流すようにしています。こんな使い方も液漏れしないナルゲンボトルだからこそ。登山をされる方なども、携帯用トイレとして使用している方少なくないようです。今は非常用携帯トイレも多くあるので、あえてナルゲンボトルでなくてもよいと思いますが、使用頻度が多い場合、非常用携帯ボトルよりもコストパフォーマンスの点で軍配が上がるかもしれません。
何を買う?どこで買う?
ナルゲンボトルの1番人気は、「広口1.0L Tritan」と呼ばれる、1Lサイズのもの。公式サイトのほか、アウトドアショップやアマゾンなどのサイトでも購入が可能です。手に取ってみたい方はモンベルやチャムスなどアウトドアメーカーのショップに足を運んでみるといいでしょう。価格はサイズにもよりますが2000円~4000円ほど。カラーバリエーションも豊富で、様々なメーカーとコラボしたデザインやご当地ボトルなどもあるので、お気に入りの1本をぜひ、探してみてください。
広口Tritanは500mL、1L、1・5Lの3サイズ展開。パスタ等長いものを保存するには、高さのある1・5Lがお勧めです。
ちなみに、広口だと飲みものを入れた場合の飲み口が広すぎるという方には、細口バージョンも。でも、色々な用途で使いたい場合には、やっぱり広口ボトルがお勧め。広口ボトルに取り付けられるイージーシッパー(660円)という飲み口を小さくできる内蓋を購入して調整が可能です。
その他にも、調味料や、子どもの小さなおやつの小分けなどにも使える小さな透明ボトルも。こちらは角形、丸形の両方があり、500円前後で購入が可能です。
種類も色も形も豊富なナルゲンボトル。家族それぞれに「マイカラー」を決めて購入してもいいし、用途によって色分けをしても。非常用にも、アウトドアにも、日常にも。さまざまなシーンに寄り添ってくれるナルゲンボトル。ぜひ、活用してみませんか。
<執筆者プロフィル>
水野佳(みずのけい)
保健師・フリーライター
オートキャンプ歴9年
