
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、漫画『事故物件で猫を飼う』(新潮社刊)より、第2話『一瞬の共鳴』を紹介する。くらげバンチ公式アカウントが、3月17日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、「いいね」が多数寄せられた。本記事では、作者の澤部なみさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
■事故物件で暮らす青年の苦難

琥太郎が住んでいる事故物件には、誰もいないはずの部屋から呻き声が聞こえるという話があった。しかし他に居場所のない琥太郎は自分を誤魔化しながら、引っ越しの際に拾った猫“こねこ”とともに生活している。
ある日、帰宅した琥太郎の耳に呻き声が聞こえてきた。「気のせい」と繰り返しながら扉を開けると、そこには舌をしまい忘れて寝転がる愛らしいこねこの姿が。あまりのかわいさに写真を撮ろうとするが、呻き声への恐怖で指が動かせずにいた。すると、「ハヤク」と急かす声が聞こえ始め…。
この恐ろしさと愛らしさが同居するエピソードを読んだ人たちからは、多くのいいねが寄せられている。
■「その対比を楽しんでいただけたら嬉しいです」作者・澤部なみさんに漫画創作へのこだわりをインタビュー

――本作のお話の発想の源はどこだったのでしょうか?
夜中の作業中に猫が何もない空間をじっと見つめていて、怖い思いをしたことがきっかけです。その時にふと「もし自分が幽霊側だったら、猫に見つめてもらえるのは数少ない楽しみだろうな」と思い、そこから「猫と怪異」を軸に物語が広がっていきました。
――本作では、猫の愛らしさと幽霊の怖さが生み出すギャップが非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
1番のこだわりは「猫が元気で、幸せで、楽しく暮らしている様子を描くこと」です。本作は「怪異によるホラー展開を猫がキャンセルする」というコンセプトで描いています。人間と怪異の間で何が起きても、こねこだけはマイペースに日常を生きているので、その対比を楽しんでいただけたら嬉しいです。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
猫のベストショットを撮ろうとした主人公の琥太郎が、怪異に「ハヤクハヤク」と言われて「えっ急かされてる…!?」と気付くシーンが好きです。怖さの中にも、なんとなく親しみのような感情がにゅっと顔を出す瞬間が好きなので、そういう“怖いだけじゃない怪異”はこれからも描いていきたいです。
――ストーリーやキャラクターデザインを考えるうえで気をつけていることや意識していることなどについてお教えください。
自分自身が「ホラーは好きだけど苦手」なタイプなので、同じような方でも安心して読める作品を目指しています。色々ある人間と、マイペースにのんびり暮らしている猫の温度差も大事にしています。
――今後の展望や目標をお教えください。
物語として「こう終わりたい」という結末はすでに決めているので、そこまでしっかり描き切ることが目標です。どん底の状態で入居した事故物件が、琥太郎にとって「再出発の場所」へと変わっていく再生の過程を描くことで、読後に優しい希望を感じていただける作品にしたいです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
たくさんの作品がある中で「じこねこ」を見つけていただけたことを、本当に嬉しく思っています。そしてよくお伝えしているのですが、本作に登場する猫、そしてすべての動物は、みんな幸せに暮らしています。安心して、少しだけ怖くて、でも優しくてかわいい共同生活を楽しんでいただけたら嬉しいです。

