花粉症に効果があるという「舌下免疫療法」ってどんな治療をするの?大人だけでなく、子どもでも大丈夫と聞いたけれど、何歳からいいの?そんな疑問について、れいめいクリニック浅草橋院長の頴川博芸先生にお話をお伺いしました。

アレルギー体質を根本から変える「舌下免疫療法」とは?
花粉症やダニによるアレルギー性鼻炎に悩まされている方にとって、毎年の薬の服用は「症状を抑えるための対症療法」に過ぎません。しかし、近年注目を集めている舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)は、アレルギーの原因そのものに対して体を慣らしていくことで、症状の完治や長期的な寛解を目指せる唯一の治療法です。
本記事では、その仕組みやメリット、注意点について詳しく解説します。
舌下免疫療法の仕組み
アレルギー反応は、本来無害な物質(花粉やダニ)を体が「外敵」と見なし、過剰に攻撃することで起こります。
舌下免疫療法は、この過剰な反応を抑制するために、アレルゲン(原因物質)を含む治療薬を「舌の下(した)」に少量ずつ投与する治療法です。毎日継続して体に取り込むことで、免疫システムが徐々にその物質を「敵ではない」と学習し、アレルギー症状を引き起こさなくなります。
現在、日本で保険適用となっているのは、以下の2種類です。
スギ花粉症
ダニ(ハウスダスト)によるアレルギー性鼻炎
治療の流れと期間
この治療の最大の特徴であり、同時にハードルでもあるのが「継続期間」です。
●開始時期
スギ花粉症の場合、花粉が飛散していない時期(6月~12月頃)に開始する必要があります。ダニの場合は年中いつでも開始可能です。
投与方法:1日1回、薬を舌の下に置き、定められた時間(通常1分間)保持してから飲み込みます。
●期間
少なくとも3年~5年の継続が推奨されます。
「そんなに長いの?」と感じるかもしれませんが、数ヶ月から1年程度で「今年は薬を飲まなくても楽だった」と効果を実感し始める人が多いのも事実です。

舌下免疫療法のメリット
従来の抗ヒスタミン薬などの治療と比較して、以下のような利点があります。
●根本治療の可能性
症状を抑えるだけでなく、アレルギー体質そのものを改善できます。
●通院の負担軽減
初回は医療機関での服用が必要ですが、その後は自宅で服用できるため、通院は月に1回程度で済みます。
●QOL(生活の質)の向上
花粉症シーズン中の集中力低下や眠気、鼻詰まりによる睡眠不足から解放されます。
●将来の発症予防
子どもの頃に始めることで、将来的に喘息へ移行するのを防ぐ効果も期待されています。
知っておくべきリスクと注意点
もちろん、すべての治療にはデメリットやリスクが存在します。
■副作用
投与直後に口の中の腫れ、痒み、喉の違和感が出ることがあります。稀に「アナフィラキシー」という重いアレルギー反応が起こる可能性があるため、医師の指導を厳守しなければなりません。
■即効性はない
飲んですぐに鼻水が止まるわけではありません。長期的な視点が必要です。
また、以前は年齢制限がありましたが、現在は5歳以上であれば治療可能です。
自分に合った選択を
舌下免疫療法は、根気が必要な治療ではありますが、一度体質が変わればその後の人生から「アレルギーの悩み」を大きく減らすことができます。
特に「毎年薬を飲んでも症状がひどい」「眠くなる薬が飲めない」「受験や就職活動を控えている」という方にとっては、非常に有効な選択肢です。興味がある場合は、まず耳鼻咽喉科やアレルギー科を受診し、採血検査で自分が何のアレルギーを持っているかを確認することから始めてみてはいかがでしょうか。
執筆者

頴川博芸
静岡県沼津市出身。
日本大学医学部中退、東海大学医学部卒業、順天堂大学大学院医学研究科修了。
順天堂大学医学部附属静岡病院で初期臨床研修修了後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、越谷市立病院、順天堂大学医学部附属練馬病院などを経て現在はれいめいクリニック浅草橋院長、順天堂大学医学部附属順天堂医院食道・胃外科非常勤助手。
資格は日本専門医機構外科専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本医師会認定産業医など。趣味は旅行。

