「頸部食道がん」になると喉にどんな症状が現れるかご存じですか?医師が解説!

「頸部食道がん」になると喉にどんな症状が現れるかご存じですか?医師が解説!

頸部食道がんは、食道のうち首に位置する部分(頸部食道)に発生するがんです。頸部食道がんは食道がん全体の約5%と発生頻度は低いですが、のどや声帯に近い場所にできるため飲み込みや発声に影響しやすい特徴があります。本記事では、頸部食道がんの基礎知識から治療による声や嚥下機能への影響や術後のケアをわかりやすく解説します。

和田 蔵人

監修医師:
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)

佐賀大学医学部卒業。南海医療センター消化器内科部長、大分市医師会立アルメイダ病院内視鏡センター長兼消化器内科部長などを歴任後の2023年、大分県大分市に「わだ内科・胃と腸クリニック」開業。地域医療に従事しながら、医療関連の記事の執筆や監修などを行なっている。医学博士。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本医師会認定産業医の資格を有する。

頸部食道がんとは

頸部食道がんとはどのような病気でしょうか。本章では頸部食道がんという病気について解説します。

頸部食道とは

頸部食道とは、食道のうち首に位置する部分を指します。食道は咽頭と胃をつなぐ管です。頸部食道はちょうど喉の下端から食道へ移行する部分で、気管や声帯と近接しています。このため頸部食道のがんは、場所によっては声帯や気管に浸潤する可能性があります。

頸部食道がんの概要

頸部食道がんは、その名のとおり頸部食道に発生する食道がんです。多量の飲酒や喫煙は重要な危険因子です。こうした生活習慣に起因するため、患者さんは中高年の男性が多い傾向があります。

頸部食道がんの発生頻度

日本において食道がんは年間約2~3万人が診断されていますが、そのなかで頸部食道がんは全体の約5%です。このように頸部食道がんはまれですが、治療の難しさや機能への影響の大きさから専門的な対応が必要な疾患です。

頸部食道がんの症状

頸部食道がんの主な症状には、食べ物や飲み物が飲み込みにくい(嚥下障害)、声がかすれる・声の出しづらさ、首のしこりや痛み、違和感などがあります。初期の食道がんでは症状がほとんど現れないことも多いですが、がんが大きくなるにつれてこれらの症状が目立ってきます。以下に症状ごとに詳しく説明します。

飲み込みづらさ

飲食物が飲み込みにくい、喉や胸につかえる感じがするといった嚥下障害は、食道がん一般にみられる代表的な症状です。頸部食道がんでも、がんが食道の内側に隆起したり狭くしたりすることで、固形物が飲み込みにくくなります。初めはご飯や肉など固いものが喉に引っかかる感じがし、進行するとお茶や水さえ通りにくくなることもあります。

声のかすれや発声の変化

声がかすれる(嗄声)、声質が変わる、声が出にくいといった症状も頸部食道がんで現れることがあります。これは、食道のすぐそばを走行する反回神経という声帯を動かす神経に、がんや転移したリンパ節が浸潤・圧迫するためです。食道がんでは反回神経周囲のリンパ節転移が起きやすく、初発症状として嗄声が現れることがあります。

首のしこりや痛み、違和感

首のしこりや違和感、痛みも頸部食道がんの症状として現れることがあります。頸部食道がんは近くのリンパ節へ転移しやすいため、首のリンパ節が腫れて硬いしこりとして触れることがあります。また、がんが咽頭や喉頭に広がった場合には喉の痛みを感じたり、常に喉に異物があるような違和感が生じることもあります。

配信元: Medical DOC

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