
4月20日に放送された野球トークバラエティ「ダグアウト!!!」(毎週月曜夜10:00-11:00、BS10)。今回のゲストは1982年から2010年まで審判員として通算1451試合に出場した山崎夏生と、1970年から2011年まで記録員として通算1634試合に出場した石井重夫だ。MCの岡田圭右と平井理央とともに、普段はスポットライトが当たらない“裏方”の仕事に焦点を当てた異色かつ濃密なトークが展開された。
■ヒットかエラーか…記録員の“究極の判断”に迫る
番組冒頭、岡田が「『ダグアウト!!!』もえらい深いとこいくね」と語った通り、選手ではなく審判員と記録員をゲストに迎えるのは番組初。プロ野球の試合の裏側を知り尽くした2人の証言に期待が高まる。
審判員は選手と同じくフィールドに立っているためイメージしやすいが、記録員という役割にはあまりピンと来ない視聴者も多いのではないだろうか。石井は記録員について“ヒット(H)とエラー(E)、フィールダースチョイス(Fc)を判断している”と説明し、その役割の重要性を語った。
その判断は決して単純ではない。平井が「(電光掲示板に)映るまで、ちょっと時間がかかる」と投げかけると、石井は「(ヒットとエラーの)2分の1は難しい」と即答。さらに「40年やった私がやっても、初めて入った子がやっても、当たる確率は2分の1」と明かすなど、長年の経験をもってしても迷う場面が多いことを打ち明ける。
これに岡田がすかさず「当たる確率?」「当てずっぽうでやるのはやめてもらえますか?」とツッコむと、スタジオは大きな笑いに包まれた。1試合につき1人の記録員が対応しており、一瞬の判断が選手の成績を左右するだけにそのプレッシャーは計り知れないのだという。
■「力なき者は去れ」審判員の過酷な世界に岡田と平井が驚愕
シビアな仕事なのは記録員だけではない。審判員として長年グラウンドに立ち続けた山崎も、その厳しい環境について赤裸々に語った。公平なジャッジが絶対であるため、「(選手と)プライベートの付き合いは一切なし」「移動の新幹線・飛行機も別便、ホテルも別」と徹底した“距離作り”をしていると明かす。
この姿勢に平井は「裁判官みたい」と表現し、岡田も納得の表情に。ちなみに記録員は会社員であるが、審判員は選手と同様に1年契約の個人事業主という立場。年俸について山崎は「一軍になったら高額所得者」と明かすが、誤審や不調による“契約打ち切り”の可能性もあるのだとか。まさに「力なき者は去れ」のシビアな世界に、スタジオからは「厳しい」と驚きの声が上がる。
また、審判員になるまでの道のりも過酷そのものだ。倍率約50倍という狭き門をくぐり抜け、最終的にNPB審判員になれるのはわずか数名。そんななか山崎は自身の経歴を「究極の裏口入学」と表現し、パ・リーグ会長への直談判から始まった異色のキャリアを披露した。一方の石井もまた偶然の欠員募集から記録員となった経緯を語り、どちらの職業も“運と実力”の両方が求められることが浮き彫りとなった。
■長時間の抗議とファンからのヤジ…修羅場を越えた先に見える覚悟と誇り
番組後半では、山崎が「忘れられないジャッジ」について語った。ホームランと判定した打球が、後に映像で確認すると明らかなファールだったことが判明。23分にも及ぶ抗議を受け、翌日の試合では観客からヤジが飛ぶ完全アウェーの状況に置かれたという。
当時の審判室にはビデオがないため、リアルタイムでジャッジする審判員の責任は重大。特にゲームを決定づけるような誤審は、監督・選手からはもちろんファンからもバッシングを受けることになる。それでも山崎は「ああいう修羅場をくぐると、もう大丈夫」と語り、その経験が自らを強くしたと振り返っている。
今回の放送では、華やかなプレーの裏で試合を支えている審判員や記録員にフォーカス。普段とは違った角度から、プロ野球という世界の厳しさをリアルに映し出していた。選手に注目が集まりがちなプロ野球だが、ゲームは“裏方”たちの存在があってこそ成立する。視点を変えることでプロ野球の楽しみ方が一段と深まる――そんな気づきを与えてくれた。
※「山崎夏生」の「崎」は正しくは「たつさき」

