「下部消化管内視鏡検査」はなぜ左向きに寝て行うのか?検査の流れも医師が解説!

「下部消化管内視鏡検査」はなぜ左向きに寝て行うのか?検査の流れも医師が解説!

下部消化管内視鏡検査の流れ

下部消化管内視鏡検査の流れについて解説していきます。

下部消化管内視鏡検査当日の流れと注意点

検査当日の朝食は絶食となります。心臓の薬や、血圧の薬は飲んでも問題ありません。まず、病院では液体の下剤を飲みます。下剤は便などの腸の内容物を取り除き、検査をより効果的に行うために飲むものです。1から2リットルほど飲みます。便意が生じたらトイレに行きます。その間にも水やお茶、スポーツ飲料などの水分摂取には制限はありません。便に塊がなくなり、透明な液体状になり色も透明からやや黄色がかったくらいになったら、検査可能となります。実際の検査では、肛門から内視鏡を挿入し、大腸の観察を行います。検査中は、ゆっくりとお腹で呼吸するようにするとリラックスでき、苦しさを和らげることができます。検査後は、特に食事の制限はありませんが、検査のために送り込んだ空気のためにお腹が膨らんだ感じがあります。ガスを適宜自分で出すようにしましょう。
また、鎮静剤を用いた場合には、1時間ほど安静にしてから帰宅します。当日は車の運転ができないことには注意しましょう。検査中にポリープ等が見つかった場合には、ポリペクトミーといって内視鏡的に電気メスで焼き切ることがあります。その際には、出血を予防するために、1週間ほど禁酒となります。また、お腹に力を入れるような運動も1週間程度は避けましょう。その他の注意点等については、医師や看護師からの説明があると考えられます。わからないことがあれば、質問してみましょう。

なぜ左側臥位で見るのか?

下部消化管内視鏡検査は、体の左側を下にした左側臥位で行うことが一般的です。大腸は、肛門側から直腸、S状結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸と続きます。下行結腸は体の左側を走行しているので、左側を下にすると内視鏡が重力に沿って自然に左側に落ちるようなルートを辿りやすくなります。すると内部の観察がしやすくなるという利点があります。こうした理由から、左側臥位での観察が行われることが多いと考えられます。
腸の形状に合わせて、仰向けや右向きなど、患者さんの体の向きを適宜変えながら検査を行います。

下部消化管内視鏡検査前日の食事は?

下部消化管内視鏡検査前日の食事は午後9時頃までとします。食物繊維が豊富な野菜や、豆類、海藻類は避けるようにしましょう。水やお茶などの水分補給は問題ありません。
寝る前に下剤を飲むようにします。詳しくは、検査を受けようとする病院などの指示に従うようにし、疑問点があれば問い合わせるようにしましょう。

下部消化管内視鏡検査が受けられる便の性状は?

下部消化管内視鏡検査で正確に腸の中を調べるためには、腸の中に便が残っていないようにする必要があります。そのため、淡い黄色の透明な性状になるまで便を出すようにします。

下部消化管内視鏡検査の結果

下部消化管内視鏡検査では、異常なしのほか、大腸がんやポリープ、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患といった所見が認められることがあります。
また、検査の際に組織をとって詳しく調べる生検を行うこともできます。

「下部消化管内視鏡検査」の異常で気をつけたい病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「下部消化管内視鏡検査」で見つかる病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

大腸がん

大腸がんは、結腸や直腸にできるがんのことです。日本では、S状結腸と直腸に多くみられます。良性の腫瘍である腺腫から発生するタイプと、正常粘膜から発生するタイプがあります。
早期の段階では症状はみられないことがほとんどです、しかし、進行してがんが大きくなると便に血が混じって血便や下血を起こしたり、便に赤く血液がついたりといった症状が出現します。
大腸がん検診としては、日本では便潜血反応をみるものがあります。便を2日分採取し、血の成分が混じっていないかを調べます。もし1回でも陽性となった場合には、精密検査を受けるようにしましょう。精密検査の方法としては、大腸内視鏡検査が一般的です。

大腸ポリープ

大腸ポリープは、大腸の粘膜から飛び出した、茎のような部分があるできもののことです。
大腸のポリープは、胃の場合とは異なり、多くは腫瘍性のものです。大部分は腺腫という良性の腫瘍ですが、大きくなるにつれてがんに置き換わっていくといわれています。そのため、多くの大腸ポリープは治療の対象となります。腺腫の場合は内視鏡で切除可能です。また、腺腫からがんが見つかった場合には、もっと大きな手術で病変を追加で切除することが必要なこともあります。

炎症性腸疾患

炎症性腸疾患は、腸に炎症が慢性的に起こり、よくなる(寛解)と悪くなる(再燃)を繰り返すような疾患を総称したものです。一般的には潰瘍性大腸炎とクローン病の2つの病気を指します。潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜が直腸から連続しておかされ、びらんや潰瘍ができてしまいます。長期間、広範囲の大腸に炎症が続くと、がん化する傾向があることも知られています。
一方、クローン病は飛び飛びに大腸の粘膜をおかし、小腸や大腸の回盲部と言われる部分、肛門によくできることが知られています。
いずれも、なかなか治らない下痢や血便、発熱、体重減少などが症状として認められます。こうした症状が続く場合には、消化器内科を受診しましょう。

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。