
カブトエビと育むやぶきのお米。パッケージ仕様は変更になる場合がある
福島県矢吹町では、2007年頃から東京農業大学と連携し、カブトエビを活用した環境に優しい農業に挑戦し、「田んぼの学校」を開校。校長の大桃美代子さん、町内3校の小学生や東京農業大学の学生、地域の方々と共に田植え、稲刈りを行っている。近年、田んぼにカブトエビの定着が確認されたことから、収穫したお米を矢吹町オリジナル米として「カブトエビと育むやぶきのお米」と命名。今年の新米収穫に伴い、10月15日(水)に「田んぼの学校」開会式でお披露目会を行う。
生きた化石と呼ばれるカブトエビ

カブトエビは、恐竜が生きていた時代からほぼ姿を変えずに生きている甲殻類。 2億年前から変わらいため、生きた化石とも呼ばれている。水田に生息し、雑草の新芽を食べ、たくさん生えた脚で水をかき濁らせることで光合成を阻害し、雑草の成長を抑制してくれることから「田んぼの草取り虫」とも呼ばれている。水温20℃以上で孵化するため、夏以外の比較的涼しい時期でも飼育でき、寿命は約1か月、体長は3~4cmほど。かつては水田に広く生息していたが、農薬の使用や環境の変化により生息地が減少。現在、東日本ではほとんど見かけることがなくなったとのことだ。
カブトエビを活用した環境に優しい農業
「田んぼの学校」では環境に優しいカブトエビ農法を実施している。カブトエビ農法にはさまざまな特徴がある。まず、カブトエビの卵は、乾燥しても生き続ける“クリプトビオシス”という仮死状態に入り、厳しい環境変化に耐えられる。そして約1年後の田植え時期に孵化する。
また、カブトエビは水質汚染に非常に敏感な生物だ。カブトエビは農薬への耐性がないため、生息には農薬の使用を抑えた環境が必要。そのためカブトエビが孵化する環境は、自然に近く環境に優しい栽培が行われている証とも言えるのだ。
カブトエビは、雑草の防除にも効果的だ。雑草の新芽を食べてくれるほか、田んぼの泥を掘り返してくれるため、水が濁り、雑草の光合成を抑制・成長阻害につながる。さらに、稲の根に酸素を送る効果もある。
