
壮大なアクション・アドベンチャーTVドラマシリーズ「サンドカン -英雄の目覚め-」シーズン1(全8話)が、5月2日(土)より動画配信サービス・Huluにて全話一挙独占配信を開始する。戦士としての心と恋愛に揺れる海賊のリーダー・サンドカンが、一人の人間としても大きな選択を迫られながら、やがて英雄へと成長していく姿が描かれる本作。このたび、主演を務めるトルコ出身の国際的俳優、ジャン・ヤマンにインタビューを実施。自身の役どころや撮影の裏話、作品の見どころなどについて語ってもらった。
■「ありきたりのレールは歩みたくない」…独自の道を切り拓く“反骨精神”
――俳優人生のターニングポイントや、イタリアを活動のベースにした理由を教えてください。
大きな転換点となったのは、6年前にこの「サンドカン」に出演するためにイタリアへ移ったことですね。ただ、パンデミックの影響もあって本来すぐに始まるはずだった撮影が延期になってしまって。でも、その頃にはすでにトレーニングを始めていたんです。
撮影延期になっている間に、「エル・トゥルコ(El Turco)」というトルコの作品に出演することになったのですが、乗馬や格闘シーンがふんだんにあったので、結果的にそれが今回の「サンドカン」に非常に役立ちました。
5年を経てようやく「サンドカン」が完成に漕ぎ着けたわけですが、今考えるとこういう順序も全部理由があって、然るべき運命を辿ったんだなと思えます。もともとは国際弁護士になろうという志があったのですが、母国語ではないイタリア語や英語、最近はスペイン語での作品にも挑戦して、すっかり国際的な俳優になってしまいました(笑)。

――世界的会計事務所(PwC)での勤務経験から俳優へ転身されましたが、その経験は活きていますか?
会計事務所での経験が具体的に演技法にどう、っていうことはないですね。ただ、もともと勉強するのが好きでいろいろ言葉を覚えるのも得意でした。大量に記憶していかなければいけないっていうことを勉強の中でやってきて、その中で語学が得意だったので、今でもイタリア語、英語、スペイン語を喋れるんですけど。
俳優業でもセリフだって大量に覚えなきゃいけないわけですし、読書ももともと好きなんですけど大量に読み込まなきゃいけない。そういう意味では俳優業に役に立っているかな。PwCで働いていたのがどう役に立っているかというと、ただただ「仕事の規律を叩き込まれた」っていうところかなと思います。
――困難な挑戦に向き合う際、原動力となっているものは何でしょうか?
「怒り」や反骨精神なのかもしれないです。とにかく外へ外へと、いろんなものを吸収したい性格で。いろいろな文化圏を巡ったり、言語に触れたいんです。ありきたりのレールを敷かれたような道を歩みたくなくて、自分独自の生き方を見出していきたいといつも思っています。
だからイタリア語も英語も喋りますし、ヒスパニック系の友達への敬意からスペイン語も習って、彼らの言葉でコミュニケーションを取ってみたりもしてきました。そんなことをやって生きてきたわけですが、そうやって自分の枠をどんどん広げていきたいんです。(取材メンバーの)みんなのこと気に入っちゃったら、もう日本語習っちゃうかもだから気をつけてね(笑)。

■人生に一度のビッグチャンス…「サンドカンになりきる」つもりで役にアプローチ
――かつて世界中でヒットした作品の主人公に抜擢されましたが、演じるうえでのプレッシャーはありましたか?
イタリアでは大人気で誰もが知る、大成功を遂げて皆さんに愛される「サンドカン」ですから、やはり一つのプレッシャーではありましたね。ただ、誰も知らないような役であっても完璧にこなしたいと思うタイプなので、勝手に自分にプレッシャーをかけてしまっていただろうなとは思います。
――“現代版”サンドカンならではの魅力や、旧作ファンも驚くようなポイントはどこでしょうか?
比較しないほうがいいです(笑)。50年前のシリーズになりますからね。今回はものすごくリアルに描いていて、本当にオリジナル作品のつもりでやっています。50年、結構な月日ですから(笑)。
――サンドカンというキャラクターをどのように考え、演じましたか?
やはりイタリアへ移ったことがキャリアの中で大きな転換点になって、この「サンドカン」の役を得られたのが、もう人生に一度あるかないかのビッグチャンスでした。イタリア文学の中でもとても大事にされている物語ですし、すごい責任を感じていたんです。だから「失敗は許されない、1000%の力を注ぐしかない。必要なことなら何だってやる」という気概で臨みました。「サンドカンを演じる」のではなく、「サンドカンになりきる」つもりで今回の役にアプローチしました。

――サンドカンは情熱的で反逆精神に溢れた海賊ですが、彼の魅力はどのようなところでしょうか?また、ジャンさんご自身とリンクする部分はありますか?
彼のすごく人間臭いところが好きですね。人を殺してはしまうのですが、それは殺すために殺すのではなく、リーダーとしてやらなければならないからやる。彼の志は、“周りにいる人たちの人生をより良いものにしていきたい”というところにあるんです。
自分を育ててくれた母親の人生もそうです。彼はもともと売春宿で育ったのですが、そこにいる女性たちがものすごい苦しい立場に置かれている、そういう苦しみ喘ぐ女性たちをそのままにしてはおけない、放っておけないっていう気持ちがあるから彼は戦う。戦って勝利を収めて、女性たちの人生も好転していく。そういうことに喜びを感じるキャラクターなのかなと思っています。かつ彼のやっていることもどんどん壮大になっていくわけなんですよね。
最初は金持ちから何かを奪ってそれを貧しい民に再分配するというロビン・フッド的な非常にシンプルなやり方から始まったのが、いずれは預言者的なものすごい立派な姿へと垂直に急成長を遂げていく。どんどん大きな大志を抱く彼の姿は真似したいなと思いますし、僕自身も自分の人生において、母親や周りの人たちを幸せにしていかなきゃという志を持つようになりました。

■1カ月で10キロの減量、アスリートのように臨んだ過酷な撮影
――ジャンさんといえば、彫刻のような肉体美も魅力の一つですが、今作のアクショントレーニングや肉体改造について教えてください。
結果的に、トレーニングには足掛け4年が必要でした。すでに6カ月間は剣術や乗馬のトレーニングをしていて、その後に出演した「エル・トゥルコ」というトルコの作品でオスマン帝国の軍人役を演じるために、ハンガリーで8カ月間トレーニングをしてかなり肉体改造をしたんです。
その後「サンドカン」が始まったら、今度は海賊役ですので痩せないといけない。だから1カ月で10キロ痩せました。剣術と乗馬はもともとオッケーだったので、振り付け師についてもらって、さらに4カ月間訓練をしました。僕、苦しみも好きみたいで(笑)。ワクワクしながらやりますし、「サンドカンになりきるんだ」という気持ちだったので、アスリートのように臨みました。それくらいやらないといけなかったですし、痛みにも耐えるということを何よりも学びました(笑)。

――本作では、ジャングルや海など壮大なロケーションも映し出されますよね。
実は90%はイタリアでの撮影で、ムービー・マジックなんです。イタリアは自然のスポットがいっぱいで撮影に適していて、天才的な監督が僕らも知らないようなロケ地を見つけてくれたんです。1割はフランス領のレユニオン島で撮っていますが、イタリアなのにシンガポールっぽい、異国情緒あふれる感じに撮れています。

――海賊の物語ということで、過酷な環境での撮影も多かったと思います。撮影現場での一番忘れられないエピソードなどがあれば教えてください。
撮影自体は、楽な日なんて一日もなかったですね(笑)。夏場の撮影で衣装をフルに着ながら、ダンスも格闘もやらなきゃいけない。肉体的にも感情表現の面でも過酷でした。大切な人を失う悲しいシーンもありますし、シーズン1は自分が何者かを発見していく過程なので、エピソードごとにサンドカン像が変わるんです。その違いを大事に演じたかったので、そこも難しかったですね。
――特に印象に残っている、お気に入りのシーンはどこですか?
老若男女、家族みんなで見られるシリーズなので、男性なら格闘シーン、女性なら泣かせるシーン、子供は子供なりに、みんながお気に入りを見つけてもらえると思います。個人的には、第7エピソードで拷問されるシーンと、そのあとマリアンヌが駆け寄ってきて「なんてことをしたの」って泣いて気を失う、あの情緒溢れるシーンがお気に入りです。

■多様性あふれる現場の裏側を告白「きっちりかっちり撮影が進んでいきました」
――サンドカンと身分差を超えた恋に落ちるマリアンヌ役のアラナ・ブロアさんや、サンドカンのライバルとなるジェイムズ・ブルック役のエド・ウェストウィックさんなど、国際的なキャストとの共演はいかがでしたか?
アラナさんは今回がデビュー作で撮影現場も初めてだったんですが、あたかも経験豊富な役者のように振る舞っていて素晴らしかったです。僕が彼女だったら緊張で潰れてたんじゃないかなと思うくらい。誇りに思っています。
エドさんとの共演シーンは実はそんなに多くはないのですが、第1話で捕まっている仲間の海賊たちのことを知らないふりをしなきゃいけないシーンはおかしくて面白いので、ぜひご期待ください。
他にも、フランス、イギリス、ロシア、いろいろな国の人たちが作品に関わっていて多様性がある現場でした。そういう現場を味わっちゃうと、地元の撮影に戻りたくなくなっちゃいますね(笑)。みんなにとっても、貴重な経験になったんじゃないかなと思います。

――撮影現場の空気感はいかがでしたか?
すごく計画がしっかり立てられて、計画通りにことが運ぶ現場でした。物理的に大変な撮影なのでハードルもあるかと思っていたんですけど、最初から最後までコミュニケーションもスタッフ・キャスト同士スムーズで。一見矛盾しているように思われるかもしれないんですけど、きっちりかっちり撮影が進んでいきました。
撮影に入る前から準備を徹底していたので、準備期間が功を奏しましたね。あの「サンドカン」を映像化するということで、みんないい意味で責任やプレッシャーを感じていたので、火がついたんじゃないかなと思います。

――最後に、日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
日本のマーケットに進出するのは、なかなか難しいチャレンジングなことだっていうのは知っていたので、いよいよ日本で放送開始、ストリーミング開始、これは快挙だと思ってすごく嬉しく思っています。家族みんなで見られるシリーズで、気持ちがすごく良くなるシリーズなので、ぜひ堪能していただきたいと思います。いつか(日本へ)行きたいと思っています。日本とのインタビューは初めてだったのでありがとうございました。


