
高橋一生主演「連続ドラマW 1972 渚の螢火」(毎週日曜夜10:00-、WOWOW、全5話 ※10月19日[日]より放送・配信開始)の完成報告会が10月6日に行われ、高橋、青木崇高、平山秀幸監督が登場した。
■琉球警察が本土復帰前夜に発生した100万ドル強奪事件に立ち向かう
同作は坂上泉氏による同名小説を原作に、「愛を乞うひと」(1998年)で第22回日本アカデミー賞最優秀監督賞に輝いた平山監督によって実写化されるクライムサスペンスドラマ。
1972年、本土復帰目前の沖縄を舞台に、現金を輸送していた銀行の車両が何者かに襲撃され、100万ドルが強奪される事件が発生。アメリカ占領下で使用されていたドルから、復帰に伴い日本円への交換が必要だった当時の沖縄では、円ドル交換が琉球政府の重要事項と位置付けられていた。
琉球警察はこの事件が日本政府やアメリカ政府に知られると、外交問題に発展しかねないと、秘密裏に解決する特別対策室を編成。復帰までの期限は18日。対策室は事件解決に奔走する。
高橋は捜査に当たる特別対策室の班長・真栄田太一、青木は真栄田をライバル視する捜査一課班長・与那覇清徳を演じ、アメリカ陸軍犯罪捜査局の憲兵大尉ジャック・ケンスケ・イケザワを城田優、琉球警察のベテラン刑事・玉城泰栄を小林薫、沖縄政財界の重鎮・川平朝雄を沢村一樹が演じる。

■青木、”与那覇”の演技ポイントは「熱を持って突っ走って時に空回り」
完成報告会に登場したのは高橋、青木、平山監督の3人。高橋と平山監督は「よい子と遊ぼう」(1994年)、「連続ドラマW ヒトリシズカ」(2012年)以来、3度目のタッグとなる。
高橋は「原作と脚本には当時の社会的背景が緻密に描かれていて、それをどう映像に変換するのか考えなければいけませんでした。演じる上では真栄田太一が1972年の沖縄で生活していた事をいかに落とし込めるのか、そこを意識して現場に入りました」とクランクイン直前を回想。
青木は「この顔なので8割くらいは仕上がっているのかな…」と冗談で笑わせつつ、「沖縄の時代背景をセリフで言うので、様々な事件を調べて自分の言葉として言えるようにしなければいけませんでした。与那覇清徳はキャラクター的に熱量の高い人間なので、熱を持って突っ走って時に空回りしながら演じました」と与那覇の人物像を明らかにしたうえで、演技のポイントを語った。
平山監督は「沖縄が舞台の作品は、それがホームドラマでもコメディであっても意識せずとも社会的問題が描かれるもの。今回は娯楽要素が沢山詰まっている原作だったので、問題作というよりもエンターテインメントとしてアクションを作ろうという気持ちがありました」と本作の狙いを明かした。
沖縄ロケについて高橋は「沖縄は好きで旅行でよく行く場所ですが、今回の作品のフィルターを通して見る沖縄は、今までとは違う景色に映りました。当時を知る現地の方にお話しを聞くと物語が身近になっていきましたし、当時の情勢や当時に思う事はそれぞれ千差万別。当時をどのように捉えて生きていかれたのかを色々な人に聞くことで、リアリティを持って伝わってきました。それが役に活かせたと思います」と現地の人々への取材から、当時の沖縄を実感。
沖縄に知り合いが多いという青木も「沖縄の知り合いは痛快キャラが多いので、そんな彼らのエッセンスを抽出してキャラクターを作っていきました」と沖縄のリアルな雰囲気を取り入れて役に活かしたと語った。

■寒波での撮影に「こんなに寒いわけがないだろと思うくらいに寒かった」
沖縄での撮影は1~2月に行われた。撮影のさなか、寒波が到来したことに青木は「沖縄が極寒だった。こんなに寒いわけないだろと思うくらいに寒かった。ホテルでストーブを用意してもらうくらいでした」と驚きを隠せない。
高橋も「衣装合わせの時は話が違かった。使い物にならないくらい薄手を用意してしまって…。空港を降りた瞬間に寒いのではないか!?と。現地の方も何年振りかの寒波だと仰っていました」と寒波の中での撮影を振り返って苦笑いを浮かべた。
そんな沖縄で高橋は「僕はずっと常に青木さんと一緒にいました。撮影後も沖縄を回っていました」と語るほど青木と仲良くなったという。青木も「おいしいしゃぶしゃぶにも足しげく通いましたし、ステーキにも行きましたね!楽しい時間を過ごさせていただきました」と沖縄での思い出を振り返った。
さらに、特別対策室の新里愛子を演じた清島千楓からビデオレターが到着。VTR内で新里役に抜擢された理由を問われた平山監督は「一生秘密にしておきましょう!」とコメント。高橋は「真面目に作品に取り組まれている方で緊張しているように見えなかった。本当に緊張していた?と思う」と絶賛し、青木も「純度の高さが、まさに愛子ちゃんだった。堂々としたお芝居を見せてくれて素晴らしかった」とエールを送った。
最後に平山監督は「肩ひじ張らずに全話観ていただけると嬉しいです」と呼びかけ、青木も「個人的な事になりますが、祖父が1972年当時の沖縄にいました。そう考えると自分も縁があったのかなと思いつつ、本作に携われて嬉しいです」と本作との出会いを運命的だと述べた。高橋は「1972年当時の沖縄の背景が描き出される物語ですが、作品としては娯楽です。楽しんで観ていただければそれが何よりです」と語り、完成報告会は幕を閉じた。


