医師はどんな基準で乳房再建術を薦めるのか?
乳房再建術は乳がんを治すうえで必須の手術ではありません。患者さんの希望があり、患者さんの体調や乳がんの進行度に問題がないなどの条件が揃えば、実施できます。
患者本人の希望が第一
何よりも大切なのは患者さん本人が乳房を再建したいと希望していることです。乳房再建術によって整容面を改善し、喪失感を和らげることができます。メリットとデメリットを考え、納得した上で選ぶことが、乳房切除後の日常の快適さや精神的な安定につながります。
乳がんの治療や病状が安定している
乳房再建術を行う際は、術後放射線治療や薬物治療を考慮しなければいけません。再発リスクが高い、もしくは化学療法や放射線治療が手術後に必要となる場合は、どのタイミングで乳房再建術を行うのがよいかを慎重に判断します。乳房再建ががんの治療の妨げにならないことがとても重要なポイントです。
健康状態が再建手術に適している
特に自身の組織を用いる再建の場合、十分な体力が必要になる大きな手術となります。全身状態が手術に耐えられるかどうかを評価します。糖尿病や心臓病などの持病がある方は、合併症リスクがどの程度あるか慎重に判断してから行う必要があります。安全な乳房再建術を実現するためには全身状態に大きな問題がないことが望まれます。
乳房再建術の治療・入院期間
どの再建の方法を選ぶかによって、入院日数や治療にかかる時間が変わってきます。自家組織による再建を行う場合は、約2週間の入院が必要になります。その後は治療を特に行う必要はなく、定期的な経過観察を通院で行っていきます。人工物再建では、数日間の入院で対応できるケースがほとんどです。エキスパンダーを留置する手術を行い、約3~6カ月間、エキスパンダーへ生理食塩水を注入するために通院します。その後再度入院し、エキスパンダーを抜去し、最終的なインプラントを入れる手術を行います。

