「乳がんの再建(乳房再建術)」のメリット・デメリットはご存知ですか?手術費用も解説!

「乳がんの再建(乳房再建術)」のメリット・デメリットはご存知ですか?手術費用も解説!

乳房再建術のデメリット

乳房再建術によって、手術の回数や手間が増える、身体的な負担が増える、手術による合併症リスクが増える可能性があります。

手術回数が増えることがある

再建方法によっては何回かにわけて手術を行うことがあります。エキスパンダーによって皮膚を伸ばし、次回手術でインプラントや腹部や背中の組織を使って再建を仕上げることがあります。乳房切除と一緒に行わない場合はさらに手術の回数が増えます。場合によっては乳房の形の修正のために、追加の手術を行ったほうが良いこともあります。このように、治療の回数が増えることや期間が長期にわたる可能性があります。

傷や痛みが増える可能性がある

自家組織再建では乳房以外に背中やお腹などの他の部位にも大きな傷ができます。手術範囲が広がり、術後の痛みが強くなる可能性があります。また、エキスパンダーで皮膚を引き延ばしている間にも痛みを感じる可能性があります。

手術による合併症のリスク

乳房再建術に伴う合併症が起こることが考えられます。人工物による再建の場合は、感染、皮膚の壊死(血流不全)、インプラントの露出などが起こる恐れがあります。自家組織による再建では、移動させた組織が壊死してしまうリスクもあります。これらの合併症が生じた場合、治療が長引くことや再建が中止となることもあり得るでしょう。放射線治療を受けている場合は、傷の治りが遅れることや合併症が起こる確率が増えることも懸念されます。

乳房再建術後の注意点

乳房再建術を受けて間もない時期は運動制限や肩の可動域制限があります。人工物による再建の場合は、感染にも注意が必要です。また、トラブルがないか定期的なフォローアップも行います。

運動や姿勢の制限

乳房再建術後約1か月は 挿入した人工物がずれるのを防ぐために運動の制限があります。腕をあげすぎない、重い荷物を持たない、胸が揺れないように固定するなどの注意点があります。その時期が過ぎた後は手術した側の腕のストレッチや運動を行い、肩関節が拘縮してしまうのを予防しましょう。状態が安定すれば制限なく、運動できるようになります。

傷の清潔を保つ

エキスパンダーやインプラントなどの人工物は感染のリスクが高くなります。創部の清潔を保つことが感染の予防のために大切です。皮膚の赤みや熱感の症状がある場合は、感染しているおそれあるので、早めに医療機関に相談しましょう。

乳房再建後の定期検査

乳房再建術の有無にかかわらず、乳がんの手術後は再発がないか確認するためにフォローアップを行います。インプラントを使った再建を行ったあとは、インプラントの破損や拘縮がないかを確認する目的で2年に1回程度、超音波検査を行います。非常に稀なものの、乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫という悪性腫瘍になるリスクもあります。このようなトラブルがないかをチェックするために定期的なフォローが必要です。

「乳がんの再建(乳房再建術)」についてよくある質問

ここまで乳がんの再建(乳房再建術)について紹介しました。ここでは「乳がんの再建(乳房再建術)」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

乳房再建術はいつでもできるのでしょうか?

山田 美紀 医師

乳房再建術は乳房の全摘術と同じタイミングで行うことも、がん治療が落ち着いてから後日行うこともできます。がんが進行している場合や全身状態によっては、後日がん治療や全身状態が落ち着いてからの手術が望ましい場合があります。担当医とよく相談してご自身に合った再建方法を選びましょう。

編集部まとめ

乳房全切除を行った場合の乳房再建術についてご紹介しました。乳房再建術はがん治療には必須の治療ではありませんが、日常生活の快適さや精神的な安定につながることが期待できます。乳房再建術を検討している方は、担当医に相談してみましょう。ご自身に合った方法を見つけるために、メリット・デメリットを理解したうえで、専門医としっかり話し合うことが大切です。

「乳がん」と関連する病気

「乳がん」と関連する病気は1個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

婦人科の病気

卵巣がん(遺伝性乳がん卵巣がん症候群の場合)

遺伝性乳癌卵巣がん症候群の場合は、乳がんや卵巣がんになるリスクが高くなります。この病気がある場合は、予防的な乳房切除や卵巣切除を保険適用で行うことができます。

「乳がん」と関連する症状

「乳がん」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください

関連する症状

乳房のしこり

乳頭からの血性分泌

乳房の変形

皮膚の赤み

脇のリンパ節の腫れ

乳がんになった場合、これらの症状に気が付くことがあります。症状があれば、早めに乳腺科を受診し相談しましょう。

参考文献

乳房再建を考えている方へ(日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会)

患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版(日本乳癌学会)

乳房再建ナビ

配信元: Medical DOC

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