
アパレル業界で約10年働いていたゆき蔵(@yuki_zo_08)さんが描くのは、新人時代に経験した忘れられない出来事である。初めてできた顧客との関係が、思いもよらない形で崩れていく――現場の緊張感がそのまま伝わってくるエピソードだ。
■初めての顧客に芽生えた期待



入社して間もないころ、なかなか顧客がつかず悩んでいたゆき蔵さんにとって、“山口様”は特別な存在だった。優しく接してくれるその人は、ぎこちない接客も温かく受け止めてくれる。
やがて自身の服だけでなく、娘のための洋服も相談するようになり、「たまにはよい物を着せてあげたい」という思いに寄り添いながら提案を重ねていく。「お母様からのプレゼントなんて素敵だと思います!」その言葉に背中を押され、購入は進んでいった。
■怒りモードの娘が突然来店!
「いつか一緒に来店してくれたら」そんな淡い期待を抱いていたある日、娘が来店した。しかし、その表情は明らかに穏やかではなかった。
大きな紙袋がカウンターに叩きつけられ、「全部返品でお願いします」と一言。店内の空気が一瞬で変わる。何が起きているのか理解が追いつかないまま、ゆき蔵さんは理由を聞くことになる。
■突きつけられたのは思ってもみない言葉だった
娘の口から出たのは、「母が馬鹿みたいに買ってきて迷惑だった」という厳しい言葉だった。さらに「いい鴨」とまで言われ、その場に立ち尽くすしかなかったという。
「ハンマーで頭をぶっ叩かれたような衝撃でした」と振り返る通り、想像もしていなかった言葉が突き刺さる。動揺のあまりバックヤードに下げられ、その後の対応は店側に委ねられることとなった。
■店長の経験が“割り切ること”を教えてくれた
この出来事について、現在のゆき蔵さんは「当時の自分には『事故だと思え』と伝えたい」と語る。店長からも同じ言葉をかけられたといい、「正しい対応をしていてもクレームは起きる。それは避けられないもの」と、長年の経験から学んだという。
また別のエピソードとして、「一回着ただけで伸びた」と返品に来た客の商品が実は数年前のものであったことも明かし、冷静に状況を伝えることでトラブルを回避したと語っている。
接客の現場では、どれだけ誠実に向き合っても予測できない事態が起こることがある。本エピソードは、その現実と向き合う難しさを強く印象づける内容だ。
取材協力:ゆき蔵(@yuki_zo_08)
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