心房細動を予防する方法とは?メディカルドック監修医が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「心房細動の原因」はご存知ですか?なりやすい人の特徴も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
「心房細動」とは?
我が国の約100人に1人が心房細動という不整脈を患っていると言われ、心房細動が起こる可能性は加齢に伴って増えることが知られています。不整脈の一種である心房細動は、本来は一定リズムで動いている心房と呼ばれる部分がけいれんするように細かく震え、脈が不規則になる病気です。正常の規則的な脈のリズムではなく、不規則な脈になってしまうことで動悸やめまいなどの自覚症状が出現することもよくあります。今回は、心房細動の主な発症原因、心房細動になりやすい人の特徴、その予防方法などを中心に紹介していきます。
心房細動を予防する方法
規則正しい生活
心房細動の原因の一つにストレスがあります。身体面、メンタル面どちらのストレスも心房細動を引き起こすため、心と体に負担をかけない規則正しい生活が大切です。バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠を実現し、ストレスをコントロールしましょう。特に、適切な体重管理、禁煙、節度のあるアルコール摂取が効果的です。
薬物療法
心房細動の治療にはいろいろな薬が選択肢として考えられます。一時的に心房細動になる人の場合は、心房細動を正常なリズムに戻す「リズムコントロール」を行います。この時は抗不整脈薬というタイプの薬を使用します。対して、心房細動が長く続いているような方では正常なリズムに戻すのではなく、心房細動による悪影響が出ないように脈の速さを整える「レートコントロール」が行われます。大抵の場合、心房細動により脈が速くなり動悸や胸苦しさが出たり、心機能の低下を引き起こしたりするため、脈を落ち着かせる薬を処方されることが多いです。また、心房細動を起こしている心臓は血栓ができやすくなります。できた血栓が脳血管に飛ぶと重症な脳梗塞を起こす可能性があるため、血栓形成を防ぐための抗凝固薬内服も重要です。
カテーテルアブレーション
カテーテルアブレーションは、心房細動の根本的な治療法の1つです。まず、太ももの付け根から動脈にカテーテル(細い管のようなもの)を入れて心臓まで進めます。そして、異常な電気信号の源である心臓の特定部位を焼灼することで、不整脈を抑制します。この治療は針を刺す部分の局所麻酔を行うのみで全身麻酔はしません。循環器内科の医師が治療を行い、治療時間は2-4時間程度です。
手術
心房細動に対する外科的治療には、メイズ手術というものがあります。心臓に直接アプローチして異常な電気経路を物理的に遮断する方法です。この治療は開胸手術(胸を開く手術)なので、カテーテルアブレーションと比べて大掛かりなものになります。他の外科手術と同時に行われることが多く、心房細動治療だけのために行われることは少なくなってきています。

