
現役の郵便局員が集めた実話ベースの怪談を描く『郵便屋が集めた奇談』。その中でもひときわ不思議な余韻を残すのが、送達ねこ(@jinjanosandou)さんのもとに寄せられた「お地蔵さんと都会っ子」のエピソードだ。恐怖一辺倒ではなく、どこか温かさを感じる“静かな怪異”が描かれている。
■のどかな配達路にやってきた都会っ子



舞台は東北のとある郵便局。山並みと川に囲まれた穏やかな土地に、都会から若手局員・スエ君が転勤してくる。周囲は環境の違いを心配するが、当の本人は「激エモ」「オニやべぇ」「最高かよ」とテンション高めで順応。見慣れた景色を新鮮に楽しむその姿に、地元の人たちもどこか安心していく。
■“神友”と呼ばれたお地蔵様
そんなスエ君が特に気に入ったのが、配達ルートにぽつんと立つお地蔵様だった。人知れず佇むその存在に「マジ神」とリスペクトし、ツーショットを撮っては「神友」と呼ぶようになる。周囲が気にも留めていなかった存在に、まっすぐな敬意を向けるその姿はどこか微笑ましいが、この出会いが後に不思議な出来事へとつながっていく。
■見えない“何か”に守られていたのか
本作の体験談を寄せた宮澤さんは当初、スエ君の出来事を半信半疑で受け止めていたという。しかし漫画化された後、「あの土地に馴染めるか心配していた若手にとって、お地蔵さんは“救い”だったのかもしれない」と感じるようになったと語る。
今では宮澤さん自身も、その場所にお供えをするようになったという。何も起こらないはずの日常の中で、確かに何かが作用していた――そう思わせる余韻が残る。
■郵便屋に集まる不思議な話
送達ねこさんのもとには、各地の郵便局員からさまざまな体験談が寄せられている。「初配達で人影を見たのに不在票を入れたと言われた」「夜勤では心霊現象に注意する申し送りがある」など、仕事の裏側に潜む奇妙なエピソードも多いという。こうした“誰かの体験”が積み重なり、作品として形になっている。
怖さだけでは終わらない、不思議と優しさが同居する物語。何気ない場所にひっそりと佇む存在が、誰かにとっての支えになっているのかもしれない。
取材協力:送達ねこ(@jinjanosandou)
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