SNSで約18万人のフォロワーを持つカウンセラーの池田由芽さん(@yume_ac_kokufuku)は、2026年4月に書籍『今日、自分のために何ができる? アダルトチルドレンを克服する 幸せ方程式の見つけ方』を刊行。その内容をもとに、心のモヤモヤへの解決策を聞いた。

■アダルトチルドレンは決して珍しい存在ではない
アダルトチルドレンとは、虐待や育児放棄など機能不全家族の中で育った影響により、生きづらさを抱えている人たちのことである。過酷な家庭環境で育った人は少数派であるため、自分がアダルトチルドレンだとは思いもよらない人が大多数だろう。
だが池田さんは、アダルトチルドレンは決して珍しい存在ではないという。「たとえば一見すると普通の家庭であっても、『気持ちを聞いてもらえなかった』『いい子でいないと愛されないと感じた』『親の顔色を常に気にしていた』といった体験が積み重なると、『自分のままではダメなんだ』という自己否定が生まれます。それが目に見えない傷となり、大人になってからの生きづらさにつながるのです」
つまり、虐待などの極端な家庭環境とは無縁であっても、気づかぬうちにアダルトチルドレンになっているケースは少なくない。
池田さん自身もあるときアダルトチルドレンであることに気づき、カウンセリングを重ねて克服した。その過程で自分自身で行うセルフカウンセリングを極め、カウンセラーに転身。その中で、生きづらさが生まれる仕組みを見出した。
■生きづらさの根源は“本当の願い”だった
池田さんによると、悩みの生まれる仕組みは驚くほどシンプルである。その正体は、満たされないまま放置された「あなたの本当の願い」。具体的には「承認」「尊重」「他者の幸せ」という願いだ。「『承認』は『ここにいていい』と感じたい願い、『尊重』は『自分の気持ちや選択を大切に扱ってほしい』という願い、そして『他者の幸せ』は『大切な人が幸せであってほしい』という愛情から生まれる願いです。これらは本来あたたかいものですが、満たされなかった経験があると歪んだ形で現れることがあります」
生きづらさを感じる人は、承認を求めすぎて無理をしたり、人を遠ざけたり、他者の幸せを優先しすぎて自分を後回しにしたりした経験があるのではないだろうか。「大切なのは、これらの願いを『手放すこと』ではなく、本来の形に戻していくことです」。言い換えれば、悩みを解決するには、自分の中に潜む満たされない願いに気づき、「満足させてあげる」ことが重要となる。
■心の奥深くにある「第0感情」に触れる
池田さんは、人のネガティブな感情を3つの層に分類する。一番外側の第2感情は「怒り」や「攻撃」であり、その内側には「悲しい」「不安」「恐怖」などの第1感情が存在する。
そして、人は第1感情があって初めて、第2感情という具体的な行動を取るという。たとえば、人はただ怒ったり攻撃したりするのではなく、「悲しい」から怒る、「不安」だから怒る、「怖い」から攻撃したくなるのだ。
さらに池田さんは、最も内側の根源的な位置に「第0感情」を措定する。これが先述した「本当の願い」だ。「たとえばイライラしているとき、その奥には『本当はわかってほしかった』『大切にされたかった』『安心したかった』という、もっと柔らかくて本質的な感情があるのです」

多くの場合、人はこの「願い」に気づかぬまま、表層の感情や行動だけに対処しようとする。しかし第0感情を自覚すれば、「『問題を解決する』ではなく『自分を満たす』という方向に意識が変わります。それは『変わる』というより、もともとの自分の姿に『還る』感覚に近いものです」
たとえば、子育て中のイライラについて考えてみる。実は子どものころの「親が否定的で、自由に振る舞うことが許されなかった」という悲しみが、「自由に振る舞うことはわがまま」という固定観念(価値観の傷)を生み出していた。そしていざ親となったとき、子どもの自由な振る舞いを見て無意識に価値観の傷との矛盾を感じ、イライラしてしまうわけだ。
これを癒やすには、「自由に振る舞うことはわがまま」という思い込みを外し、自分の尊重の願いを叶える必要がある。「子どもの機嫌より自分の機嫌を優先してみる」「一人時間を確保する」など、まず自分の欲求を満たしてあげると、やがて子どもの自由な振る舞いも気にならなくなっていく。
■克服の過程は自分を認めてあげる作業
池田さんのアダルトチルドレン克服法は7段階あり、おおよそ「心の傷の反応に気づく」「第0感情を掘り下げて欲求を叶える」「価値観の檻を壊す」といった流れである。自分に問いかけ続ける地道な作業であり、池田さん自身も克服に10年を要した。
「アダルトチルドレンの回復は『何かを直すこと』ではなく『自分との関係を取り戻していくプロセス』です。これまで身につけてきた反応や考え方は、すべてその時の自分を守るためには必要だったもの。だからまずは、自分を否定するのではなく『ここまでよくやってきた』と肯定するところから始めてみてください」
回復の途中で進まないように感じても、その揺れを含めて「回復の一部」と考える。「大切なのは外側を変えることではなく、内側の声に少しずつ気づいていくこと。そして、その声をすぐジャッジせずに、『(自分は本当は)そう感じているんだ』とありのままに受け止めてあげることです。ゆっくりでもいい。何度でもやり直していい。その積み重ねの先で、『自分のままで大丈夫だったんだ』と感じられる瞬間が、必ず訪れます」
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