「10年間、一度も土日祝に休んだことがない」。人手不足が深刻な飲食業界から、悲痛な叫びが弁護士ドットコムに寄せられた。
相談者は、ラーメン店で週5日勤務する従業員だ。来店客で混み合う土日祝日や年末年始、ゴールデンウィーク(GW)については、10年以上にわたり一度も休めていないという。
にもかかわらず、ボーナスは支給されず、休日出勤に対する割増賃金も一切支払われていないという。
土日に休めない飲食店は珍しくないが、このような労働環境で未払い賃金を請求することはできるのだろうか。労働問題にくわしい村松由紀子弁護士に聞いた。
●ケースによっては「割増賃金」の請求が可能
──これまでの土日祝日や大型連休の勤務について、割増賃金を請求することはできますか。
今回の相談者の状況が「週2日の休みはあるものの、土日祝に休めない」のか、それとも「GWや年末年始も含めてまったく休みが取れない」のか判然としないため、それぞれの場合に分けて説明します。
まず、週2日の休みが確保されている場合、休日を何曜日とするか、あるいは週ごとに異なる曜日に設定すること自体は、法律上問題ありません。そのため、土日祝に休めていないという事情だけでは、残念ながら直ちに割増賃金の請求はできません。
一方で、GWや年末年始を含め、まったく休みが取れないのであれば、法定労働時間を超えている可能性が高く、割増賃金を請求できる可能性があります。
労働時間は原則として週40時間までとされており、これを超えた部分については割増賃金の支払いが必要になります。
ただし、従業員が10人未満の飲食店では、特例として週44時間まで認められている場合もあり、その場合は週44時間を超えた分が対象となります。
なお、「10年以上皆勤」とのことですが、未払い賃金には時効があります。現在は原則3年とされているため、請求できるのは直近3年分に限られる点に注意が必要です。
【取材協力弁護士】
村松 由紀子(むらまつ・ゆきこ)弁護士
弁護士法人クローバーの代表弁護士。同法人には、弁護士4名が在籍する他、社会保険労務士4名、行政書士1名が所属。企業法務を得意とする。その他、交通事故をはじめとする事故、相続等の個人の問題を幅広く扱う。
事務所名:弁護士法人クローバー
事務所URL:https://clover.lawyer/

