「脊髄損傷・脊椎損傷の治療」は手術が必要なのか?それぞれの治療法を医師が監修!

「脊髄損傷・脊椎損傷の治療」は手術が必要なのか?それぞれの治療法を医師が監修!

脊髄損傷と脊椎損傷の違いをご存じですか。この2つの病名は似た名称をしているので、どのような違いがあるのか詳しくは知らないという方もいるのではないでしょうか。

脊髄と脊椎は別の部位を指す言葉であり、脊髄損傷と脊椎損傷の症状・予後・治療方法・リハビリの方法などは大きく異なります。

こちらでは、脊髄損傷と脊椎損傷の違いについて詳しく解説していきます。2つの違いやそれぞれの治療方法などについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

※この記事はメディカルドックにて『「脊髄損傷・脊椎損傷」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

郷 正憲

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)

徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

脊髄損傷・脊椎損傷

コルセット

脊髄損傷・脊椎損傷はどのような検査を行いますか?

脊髄損傷、脊椎損傷ともにまずはレントゲン検査を行います。レントゲン検査を行うことで、損傷した脊椎の部位を特定することが可能です。さらに、脊髄損傷の場合にはMRI検査が必要不可欠です。
MRIは脊髄の損傷部位をはっきりと写すことができます。MRI検査によって、重症度や予後を推定することができます。またCT撮影も行います。特に脊椎損傷の場合は、詳しい骨の位置関係などを調べるのに実施されることが多いです。

治療方法を教えてください。

脊髄損傷では、応急処置と同様にまずは患部を固定することが基本的な治療方法です。損傷によって不安定性のある脊椎の部分を固定し、必要がある場合には手術を行います。麻痺が残っている場合、身体の状態に合わせてリハビリテーションが行われます。
一方で脊椎損傷の場合、軽度なら安静にすることが基本です。コルセットで固定し、前かがみの姿勢をとらないようにします。
また、強い力による脊椎損傷の場合には、患部を装具などで固定して早目に歩行訓練を開始するのが基本です。

脊髄損傷・脊椎損傷は手術が必要でしょうか?

脊髄損傷の場合、完全麻痺の場合には残念ながら手足の機能が元に戻る見込みはないため、基本的には手術適応とはなりません。しかし、症状の改善や悪化を防ぐ目的で、手術が行われることもあります。
不全麻痺の場合で損傷している脊椎が脊髄を圧迫しているときは、圧迫を除去するための手術を行います。
一方で脊椎損傷の場合は、基本的には安静にしていることで骨折部位が治癒するため手術は行わないことも多いです。ただし、高度な圧迫骨折・骨折部位の不安定性が強い場合・脊柱管のすれや骨片による圧迫がある場合・痛みが残る場合などは手術を行います。

入院期間はどのくらいでしょうか?

脊髄損傷の場合、リハビリに時間を要するため入院期間が長くなるのが一般的です。
脊髄損傷の場合、入院してのリハビリは150日を限度に行います。重度の脊椎損傷や頭部など他部位にも外傷がある場合は180日までとなる可能性もありますが、通常は150日までに退院することが多いでしょう。
リハビリの期間は損傷の程度によって異なりますが、一般的には150日程度を目安と考えておくとよいでしょう。脊椎損傷の場合、3週間から4週間安静にしていることで痛みが落ち着きます。
痛みが落ち着き、日常生活が送れるようになったら退院できるのが一般的です。長期間の安静による全身の筋力低下により著しく日常生活動作が困難になった場合にはリハビリが必要になり、入院期間が長くなるケースもあるでしょう。

編集部まとめ

散歩をする女性
交通事故や転倒などによって、脊髄損傷や脊椎損傷が起こることがあります。

脊髄損傷と脊椎損傷は似た名前ですが、脊髄は神経、脊椎は骨(背骨)の損傷であり、症状・予後・治療方法などが異なるため注意が必要です。

背骨の中の神経が損傷する脊髄損傷が起こってしまうと四肢を動かせなくなってしまう可能性もあるため、日ごろから転倒などの予防を心掛けましょう。

参考文献

「脊椎損傷」(日本整形外科学会)

「脊椎椎体骨折」(日本整形外科学会)

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。