
爆笑問題の太田光がMCを務める「太田光のテレビの向こうで」(BSフジ)。5月3日(日)夜6時放送回のゲストは、太田が「時代の寵児」と称える脚本家の宮藤官九郎だ。じっくり話すのは初めてと言いながら、日大芸術学部出身、ビートたけしに憧れた青春時代という共通項を持つ2人。それぞれが目指した未来の分岐点、現代のテレビに対して抱える憂い、ドラマ・漫才に共通する現在の脚本作りやネタ作りの難しさについて思うままに語っていく。
■宮藤官九郎の意外な“脳内”
2人の出会いは29年前。1997年に宮藤が所属するバンド・グループ魂がお笑いライブ「タイタンライブ」に出演して以来、長い縁があるという。阿部サダヲらとともにコントに挑戦していた宮藤だが、爆笑問題などが活躍していた「ボキャブラ天国」(フジテレビ系)に出演したいという想いがあったと語る。
「それがいまやもう…立場大逆転ですよ」とため息交じりに言う太田へ、宮藤は「いやいやいやいや…」と苦笑。“ボキャブラに出たかった”と夢を追う若者だった宮藤はいまや押しも押されもせぬ人気脚本家となり、「いまや一番“テレビの中心で暴れ回ってるよね」と太田が評する大物に。
2025年にも話題を呼んだドラマ「不適切にもほどがある」(TBS系)で、脚本として携わった宮藤。その後はWEB配信の作品に関わることが多いという話をすると、さっそく太田が「いやもうオールドメディアやる必要ないッスよ。見切ったでしょ?オールドメディア」と冗談めかして笑う。
「そんなことないッス」と笑う宮藤だが、「でもそうですね、テレビ…子どものころ見てたテレビとやっぱ違ってきてるというか」と現代のテレビメディアについて思う所はあるようす。
実際「不適切にもほどがある」が生まれたきっかけは、打ち合わせの場で感じた“ジェネレーションギャップ”だったという。「昔こんなことなかったですよね」という発想をタイムスリップに落とし込んだわけだが、当人は「いいのかな、こんな…自分たちが面白いと思ってるだけで、そんなに…あんまり世の中に訴えるものもないのに大丈夫かな」と確信は全くなかったと明かす。
しかし植木等の喜劇映画「無責任」シリーズのミュージカル的エッセンスを取り込んだり、いまや珍しい「ドラマにテロップで注釈」など古すぎて“逆に新しい”要素がヒット。ヒットメーカーとして知られる宮藤のクリエイティブの裏側を聞いた太田も、「えー、そんなふうに思ってたの!?」と目を丸くするのだった。
■太田光と宮藤官九郎の分岐点
ビートたけしや萩本欽一のお笑いを見て育った2人だが、それぞれにとっての“王道”に対する感覚は異なるようだ。「できれば古いことやりたくないですよね」という点では共通するものの、宮藤は太田と違って「王道に行かないようにする傾向があって…」と自身を分析する。
時事ネタを多く取り込んで笑いを作り上げるビートたけし。たとえば栄光あるカンヌ国際映画祭に招待されると、そのようすをラジオで「賞取れるって聞いてたのに取れなかったじゃねえか!」とネタにしていた。普遍的な形式を追わず、“いまこの瞬間に面白いもの”を作り上げる姿が宮藤の胸に強く残っているという。まさに宮藤が目指す“いま面白いものを書く”というスタイルに、大きな影響を及ぼしていることは間違いない。
一方太田から見たビートたけしは、アングラではなくストレートにネタと話術の面白さで世を席巻した“王道そのもの”の人物。映画「戦場のメリークリスマス」に出演してカンヌ国際映画祭に行き、テレビ全局のゴールデンタイムに映って人気番組を連発する。いわば“王道にあって、王道を外れた振る舞いができる人”というわけだ。
2人はビートたけしの振る舞いを見て、「王道に近づきたい」「王道に収まらない面白さを追求したい」と異なる感想を抱いた。太田はその点で宮藤がうまく王道を歩いているように見えると考察するが、宮藤は意識して王道にいるわけではないと語る。逆に太田は意識して王道へ向かおうとしつつも、「気が付いたら邪道」にいると自己分析を明かす。
同じ人に憧れてスタートを切りながら、王道への向き合い方が分岐点となった2人。ユニークな世界観から生まれる言葉の数々が交わされる「太田光のテレビの向こうで」は、5月3日(日)夜6時からオンエアされる。

