視神経炎とは、名前の通り視神経に炎症が起こることで、視覚や視力の低下がみられる病気です。
これといった原因が見当たらず突発的に発症することが多いため、症状に不安をおぼえる方も少なくないでしょう。
この記事では視神経炎の主な症状や原因と考えられているもの、治療方法について詳しく解説していきます。
※この記事はメディカルドックにて『「視神経炎」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
視神経炎の治療

どのような検査で診断されますか?
視神経炎の診断には下記の検査が行われます。視野検査
蛍光眼底造影(眼底検査)
血液検査
CT・MRIなどの画像検査
視野検査は、視野が欠けたり狭くなったりしていないか、ものが霞みがかって見えていないかなどの検査を行います。眼底検査では、視神経に腫れがないかの確認や色に異常がないかの確認が可能です。
血液検査では、視神経炎を引き起こす原因となる細菌などに感染していないかを調べます。
CTやMRIといった画像検査は炎症の症状が著しく激しい痛みを生じる場合など、別の病気が疑われる場合に用いられます。適切な治療を行うためには正確な診断が必要になるため、さまざまな検査が行われるのです。
治療方法を教えてください。
主な治療方法はステロイドパルス療法です。大量のステロイドを点滴投与することで炎症を鎮める効果を期待できます。1クール(3日間点滴・4日間休薬)を1~3回行うことで、視力回復が期待できるとされています。治療後1~2ヵ月程度で、罹患以前と同等の回復が見込めるケースがほとんどです。ただし、小児や症状が軽度の場合には自然寛解を目指すことも多く、必ずしもステロイド治療が有効であるとは限りません。また、抗体など炎症を引き起こす疑いのある物質を取り除く血漿浄化療法や免疫システムの異常の正常化をはかる免疫グロブリン療法など、症状や想定できる原因によっては異なる治療方法が用いられることもあります。
入院期間について教えてください。
入院期間は治療方法や程度にもよりますが、1週間程度であることがほとんどです。ただし副作用がある場合には早めの対処が必要となるため、この限りではないことをおぼえておきましょう。
編集部まとめ

視神経炎は視神経(網膜に取り込んだ情報を脳に送り込む神経)になんらかの原因で炎症が起こる病気です。
軽度であることが多く自然治癒も望めますが、ステロイドによる治療を行った際の副作用や症状の悪化が著しい場合には注意してください。
どの病気にも共通して言えることですが、視神経炎も早期発見・早期対応が大切です。
見え方に違和感がある・色が霞む・視界が狭くなるなどの症状が現れた際は、自己判断せずに早めに眼科を受診しましょう。
参考文献
視神経炎(日本小児眼科学会)
レーベル遺伝性視神経症(難病情報センター)

