ゴールデンウィークが明けると、新入社員の退職が増える――。
そんな“風説”を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。実際、企業の現場ではこの時期の離職が課題とされています。
背景には「五月病」と呼ばれる心身の不調も指摘されます。新入社員だけでなく、先輩社員を含めて、さまざまな心身のトラブルが増える5月を、どう乗り切ったらよいのでしょうか。企業側はどう対策すればよいのでしょうか。
●5月はストレスに関する相談が増える傾向
ヘルスケアサービスを展開する「ヘルスケアテクノロジーズ」(本社・東京都港区)が4月に公表した調査結果によると、環境変化に伴うストレスに関する相談は3月から5月に集中し、通常期の約6倍に増える傾向があったといいます。
調査では、2025年5月に寄せられた健康医療相談データを分析したところ、「ストレス」(26.0%)に加え、「不眠」(23.6%)や「不安」(19.4%)、「心因性が疑われる身体の不調」(16.5%)と続きました。
「身体の不調」に関する相談が上位に入り、単なる気分の落ち込みだけでなく、自律神経の乱れを示唆する身体症状が目立つ傾向が確認されています。
相談内容からは、「自身の異動だけでなく、上司や同僚の異動・退職による人間関係の変化」「新たな業務やプロジェクト、スキル習得へのプレッシャー」「子どもの新学期など家庭環境の変化による影響」といった傾向がみられたといいます。
こうした不調はゴールデンウィーク明けに顕在化しやすく、放置すると秋にかけてさらに悪化する可能性もあると指摘されています。
●相談しやすい窓口やハラスメント防止対策も
こうした時期の不調や早期離職を防ぐためには、企業側の対応も重要です。
まず求められるのは、相談しやすい環境づくりです。直属の上司だけでなく、別のルートで気軽に相談できる窓口を設けたり、外部の相談サービスを活用したりすることは、従業員の心理的なハードルを下げる効果が期待されます。
また、退職理由としてしばしば挙げられる人間関係の問題については、ハラスメント防止体制の整備や研修の実施が不可欠とされています。
企業には、従業員の心身の健康に配慮する「安全配慮義務」があり、こうした取り組みは法的な観点からも重要です。
さらに、採用時の説明と実際の業務内容に乖離がある場合、いわゆるミスマッチが生じやすくなります。業務内容や労働条件について、事前に十分な情報提供を行うことも、早期離職の予防につながると考えられます。
厚生労働省のデータによると、2022年3月に大学を卒業した人の3年以内の離職率は33.8%となっています。中でも、従業員が30人未満の事業所では、離職率が50%を超えています。
企業としては、不調が表面化しやすいゴールデンウィーク明けの時期を一つの節目と捉え、面談の実施や業務負担の見直しなど、早期にケアを行うことが望まれます。
(監修:濵門俊也弁護士)
【取材協力弁護士】
濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えております。依頼者の「義」にお応えします。
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