
2026年1月クールで放送された「東京P.D. 警視庁広報2係」の続編が、現在FODで独占配信中。「東京P.D. 警視庁広報2係 season2」と題し、season1から巨悪として描かれている自己啓発セミナー団体・新生自尊の会に、じわじわと迫っていく内容となっている。
そこでseason1に続き、season2でもプロデューサーの安永英樹氏、中村亮太氏にインタビューを実施。本作の手応えや、今シーズンを彩るゲスト陣の起用理由などを聞いた。
■想像以上の高評価「こんなに褒められたのは初めて」
――まずは、season1を終えた時点での手応えを教えてください。
安永:手応えはありました。正直なところ、リアルタイムの視聴率は振るわなかったのですが、視聴者の満足度はとても高かったんです。実際、Filmarksさんはじめ他の媒体さんでも高く評価していただいていましたし、ありがたいことに褒めていただくことが多いドラマでしたね。僕は27年間テレビ業界にいますが、これまでずっと厳しいお言葉ばかりいただいていたので(笑)、こんなドラマはめずらしいなと驚いています。気づいてほしいところにちゃんと気づいてくださり、「伝わってよかった」「細かいところまでしっかり観てくださっているんだな」と、とてもうれしく思いましたね。
中村:放送期間中も世間ではいろんな事件が起きていたので、ニュース番組を観るときに「だから『東京P.D.』ではああやって描いていたのか」と、現実の事件と照らし合わせて観ている方が多かったように思います。社会的な意味も含めて、評価していただけたのでしょうね。
安永:確かに、「ニュースを見る目が変わりました」と言われることも非常に多かったです。このドラマは、リアルとフィクションの境界線をあえて曖昧にしているんです。だからこそ、真剣に観ていただけたのではないかと思います。
■FOD独占配信の狙いと「ライターズルーム方式」がもたらした成果
――そして、season2はFODでの独占配信です。一般的なスピンオフではなく、続編を配信した理由は何なのでしょうか?
安永:「地上波と配信で話をつなごう」「地上波と配信を一体にしたソフトを作ろう」といった方針は、最初から中村さんと共有していました。僕が編成部にいたときに通した企画で、FODとも当初からそういった話をしていたんです。FODという、自社のオウンドメディアを有効活用したいという考えもありました。
――「ライターズルーム方式」(※複数の脚本家が共同で執筆する形式)もそうですが、本作は新しいカルチャーを積極的に取り入れている印象です。意図的にそうしていたのでしょうか?
安永:そこまで考えてはいませんでした。ライターズルーム方式も、単純にやってみたかったからという理由なんです。監修の方々と打ち合わせをして、ストーリーを固めて、参考資料をひたすら共有して…と、常にライター陣に伴走しながら作っていたので、正直に言うと、そこまでコスパは良くないんです。
中村:ほかの作品であれば伴走する必要はなく、脚本があがってくるまで待てばいいだけですからね。今回は「一緒に書く」というスタンスだったので、我々も大変でした。
安永:そうでしたね。ただ、結果的にはうまくいったと思います。ライター陣はみんな若手でハングリーでしたし、season1を終える頃には相当鍛えられていて。筋肉がついた状態でseason2の制作に取りかかることができました。
■キーワードは“普通”ゲストキャストの起用理由
――season2は、ゲストとして小笠原海さん、丹生明里さん、柏原収史さんが出演し物語に大きく関わりますが、3人の起用理由を教えてください。
中村:「東京P.D.」全体に求めていることなのですが、“普通っぽさ”が大きな起用理由です。どこにでもいるような、自然な空気をまとえる人を求めていました。
安永:小笠原さんが演じる丸井に関しては、普通の学生っぽさと思い込みの激しさの両面が必要でした。だんだんと新生自尊の会に陶酔していく陰の部分に加えて、陽もちゃんと欲しい。その幅を出せるのが、小笠原さんだったのかなと。だって、学生の多い場所に普通にいそうじゃないですか? そんな雰囲気も持っているのに、ひとたびスイッチを入れればアイドルにもなれる。そういうバランス感覚を持っているところが、この役に活きたのだと思います。丸井もそうですけど、みんな人を殺したくて殺しているわけじゃないんですよ。普通の人が突然、人を殺してしまう。その空気感を、小笠原さんはしっかりと表現してくれました。
中村:丹生さんも、普通をうまく表現してくれましたよね。
安永:そうですね。普通でありながら不幸なオーラも狂気も出せる、稀上な存在だと思います。物語が進んでいくと存在感が必要になる難しい役どころなのですが、丹生さんの場合、アイドルとして培った人を引きつける力がある。結果、見事に見せてくださってありがたかったです。
■柏原収史の起用は“二面性”が鍵に
――では、柏原さんに関しては?
中村:柏原さんが演じる役は、終盤に関わるので現時点で細かくは言えませんが…“二面性”が重要な役どころです。物理的にも、ストーリー的にも。
安永:柏原さんは、眼力がありますし声もとても良いですが、一方で普通の人になれるところもあるんですよね。
中村:そう、その振り幅がこの役には求められました。今はこれくらいしか言えませんが、登場を楽しみにしていてください.
――改めて“普通”であることが本当に大切なドラマなのですね。
安永:「地味なドラマだね」と、よく言われました(笑)。これだけスーツを着た人が出てくるなら、一人くらい白や赤のスーツを着せても良いと思うんですけど、それもしなかったですからね。
中村:衣装も含めて、全部リアリティ重視でしたよね。
■長期制作だからこそできた「すべての伏線回収」に達成感
――そして、連続ドラマをここまで長く制作できるケースもめずらしいと思いますが、長期間かけて制作する難しさと醍醐味はどこに感じていますか?
安永:難しさで言うと、単純に長くて大変です(笑)。この取材を受けている時点では、まだ編集をしているので「なかなか終わらないな」と…。ただ、物語に幅を持たせて深いところまで描けるのは面白いです。season2のラストでは、season1から続くすべての伏線を回収しています。つい最近、最終話のオフラインがあがったのですが、それを観て「あ、全部つながった」と、非常に達成感がありました。
中村:いやぁ、本当に!それこそが醍醐味でしたよね、「東京P.D.」の。
安永:いい話になりましたよね。ぜひ、最後まで観ていただきたいです。
■記者経験も色濃く反映…「名刺代わり」の作品に
――お二人にとって、「東京P.D.」は特別な作品になったのでしょうね。
中村:そうですね。現場で「『東京P.D.』をやっています」と言うと、「あぁ、あれやってたんですね!」と良い反応をいただけるんです。そのくらい、みなさんが知っているドラマに携われたのだなと実感します。もはや、僕にとっては名刺代わりのような作品になったと思いますね。
安永:今作は、僕の事件記者時代の経験をもとにしたドラマということもあり、自分の体験をかなり盛り込んでいるんです。そこに、中村さんや監督、脚本家のみなさんの力も加わり、すごく良い作品にできました。本当にありがたいですね。それに、普通な人ばかりが登場する地味なドラマではありましたが、「こういう作品でもちゃんと評価されるんだ」という実感を得られたのも大きいですね。今後の作品づくりにも、良い影響があるかもしれません。
■取材・文=松本まゆげ

