子宮外妊娠の前兆や初期症状について
代表的な症状は無月経、それに続く下腹痛、不正出血が多いですが、子宮外妊娠のみに典型的な症状ではないため、初期症状だけで診断をするのは困難です。流産との鑑別も難しいため、場合により妊娠初期には厳密な管理、検査が必要となります。
また、妊娠週数が進み、卵管が破裂すると急激な下腹痛が起きます。出血量が多くなると貧血やショック症状(顔面蒼白、冷汗、あくび、悪心、嘔吐、めまい、四肢冷感、失神、脈拍の微弱・増加、血圧低下)を呈することがあります。
妊娠可能な年齢の女性における下腹痛は、必ず子宮外妊娠を考慮しなければなりません。妊娠を正しく診断するために、産婦人科を受診するようにしましょう。
子宮外妊娠の検査・診断
妊娠反応が陽性であるにもかかわらず、超音波などの画像検査で子宮内に胎嚢が見えない、あるいは明らかに子宮外に胎嚢が見えることで診断します。しかし、妊娠の時期や着床部位によりさまざまな可能性を考慮する必要があり、時間をかけて診断に至ることも往々にしてあります。
妊娠反応が陽性であるにもかかわらず子宮内に胎嚢が確認されない場合は、ごく初期の正常妊娠、流産、子宮外妊娠のいずれの可能性もあります。体外受精で妊娠週数が確定している場合は鑑別がしやすくなりますが、自然妊娠(特に月経不順の方の場合)は週数の推定が困難であり、診断はより慎重に行う必要があります。
一般的な妊娠検査薬は、尿中hCGが25IU/L程度で陽性となりますが、これは妊娠4週前後にあたり、月経周期が28日周期の方の場合の月経予定日頃です。ただし、この時期はまだ超音波で子宮内に胎嚢が見えないため、確定診断はできません。
妊娠5-6週頃、あるいはhCGが1500-2500IU/L以上あれば超音波検査にて子宮内に胎嚢が確認できる可能性が高くなります。ただし、hCGが2000IU/Lを超えた正常妊娠であっても胎嚢が確認できない場合も低頻度ながらあるため、hCGの推移が重要であるとの報告があります。
超音波検査で子宮腔外(卵管や頸管など)に胎嚢や卵黄嚢、胎芽が確認できれば子宮外妊娠の診断は確定します。
超音波検査で子宮内に胎嚢が確認できず、卵管や頸管などにも明らかな所見がない場合は、子宮内容除去術を行うこともあります。手術が完了し、子宮内に遺残がないにもかかわらずhCGが低下しない場合は子宮外妊娠と診断できます。

