
ディーン・フジオカが主演を務めるドラマ「LOVED ONE」(毎週水曜夜10:00-10:54、フジテレビ系/FODにて配信)の第4話が、5月6日に放送された。1人の遺体に2つの死因という謎に挑んだ真澄(ディーン)たち。その中で、若者の貧困に強い思いがある麻帆(瀧内公美)が切ない展開を迎えた。(以下、ネタバレを含みます)
■隠された真実と“生きた証”を解き明かす法医学ヒューマンミステリー
完全オリジナルストーリーとなる本作は、法医学という硬質な題材をとおして、人を思う気持ちや生きていた時間を丁寧にすくいあげ、日本社会に多く存在する“死因不明”の闇に静かに光を当てる新感覚の法医学ヒューマンミステリー。厚生労働省主導で新設された法医学専門チーム「MEJ(メディカルイグザミナージャパン)」が、遺された痕跡を手掛かりに、隠された真実とその人が生きた証を解き明かしていく。
“LOVED ONE”とは、法医学者が遺体にささげる込められた言葉で、“亡くなった人”ではなく、かつて“誰かに愛されていた存在”として呼ぶための名。
ディーンが演じるのは、MEJに招へいされた、アメリカでメディカルイグザミナーとして数多くの検視を担当してきた変わり者の天才法医学者・水沢真澄。そして真澄のバディとなる、MEJのセンター長で、崖っぷちのエリート官僚・桐生麻帆を瀧内公美が務める。
ほか、MEJメンバーとして、死後画像診断専門の法医学者・本田雅人役で八木勇征、臨床法医学専門の法医学者・高森蓮介役で綱啓永、法歯学・骨学専門の法医学者・松原涼音役で安斉星来、検査技師・吉本由季子役で川床明日香が出演。
■死因が二つの遺体…不審死の事件を真澄たちが担当する
キャバクラのオーナー・栗山(渋江譲二)の不審死。真澄の最初の見立ては溺死だが、遺体が発見されたのはクローゼットの中だった。真澄は「鼻と口を覆う程度の水があれば可能です」と言い、その視線の先にあったのはトイレだ。
解剖の結果も死因は溺死で、肺の中の水から現場のトイレの洗浄剤成分が検出された。さらに頸部に圧迫痕、側頭部に軽い打撲痕があり、爪の間に見つかった皮膚片は女性のDNAだった。
刑事の穂乃果(山口紗弥加)らの聞き込みで浮上したのは、栗山の店で働くキャスト・美幸(花村すいひ)。暴力で栗山に支配されていた彼女は、毒で殺そうとしたが、栗山が一度息を吹き返し、夢中で首を絞めたあと、念を入れてトイレに顔を沈めたと供述する。解剖で毒は検出されなかったが、最初のスクリーニングで調べられる種類は限られているため、引っかからなかったようだ。
ただ、毒の入手先などは頑なに口を閉ざす美幸。穂乃果が「誰かをかばってるのかもね」と推測した、ちょうどそのとき、店の黒服・村野(名村辰)が「灰皿で殴り、首を絞めた」と自首してきた。
重なり合う二人の“自供”と、二つの“犯行”。真澄たちは真実を追った。
■美幸の取り調べを任される麻帆
お金に困ってキャバクラで働き始めた美幸。それは、麻帆が官僚になって救いたいと願ってきた若者の姿そのものだった。穂乃果に託された麻帆が取り調べを始めると、美幸は奨学金の返済のために仕事を始めたが、いつの間にか栗山の愛人にされ、逃げ場を失っていたことを明かした。
そんなとき、村野に励まされ、そこから抜け出そうとがんばっていたという。ただ、村野が自首したことには、心底驚いた表情を浮かべ、2人がかばい合っているのではなく、村野がかばっていると考えられた。
美幸と同じように自分も奨学金で進学した経験を持つ麻帆は、「自分と同じような境遇の人たちが前に進むのを手伝いたく厚労省に入ったのに、今の立場じゃ何もできません」と悲しげに言う。そんな麻帆に穂乃果は「今のあんたにもできることあるんじゃない? そのために厚労省でがんばってきたんでしょ」と告げた。
■麻帆が直面した理想と現実
真澄や穂乃果たち、そして麻帆の取り調べ内容から、事件の真相が分かった。美幸は、ホストのカイト(宮澤佑)と付き合っていることを隠し、村野と関係を持って栗山を殺させようとしたのだ。
だが、なかなか実行しない村野にしびれを切らせて、カイトに毒物の入手を頼み、自ら犯行に及んだところ、偶然にもその日に村野も殺そうとした。最初の美幸の犯行と次の村野の犯行では栗山は死んでおらず、最終的に美幸がトイレに顔を沈めたことで命を落としたのだった。
村野の美幸への本気の思いを伝え聞いた美幸は「ふざけんな…役立たずのくせに調子乗んじゃねえよ。お前が殺し損ねたから、私がこんな目に遭ってんだろ! やっと抜け出せると思ったのに」と逆上。そんな美幸を悲しそうに見つめていた麻帆は、「本当に、そう思ったんですか? 人を殺して、今いる場所から抜け出したとして、その方法で前に進めるって本気で思ったんですか?」と声を震わせながら問い掛けた。
すると美幸は泣きながら笑みを浮かべ、「前? 何勝手に勘違いしてんの。そんなこと、ひと言も言ってない。ただオーナーと別れて、カイトとずっと一緒にいたかっただけ。前なんてどうでもいい。今がよければそれでよかったの!」と明かした。
奨学金を踏み倒し、稼いだ金はすべてカイトにつぎ込んでいた美幸。助けたいと思っていた若者の貧困のひとつの現実に麻帆は打ちのめされた。「私、何も見えていませんでした。社会には助けを待ってる人がいる。私はその人たちのために働くって、理想ばかりで、何も見えてませんでした」と号泣。穂乃果は「それに気付けただけでよかったんじゃない?」となぐさめた。
これまでの事件では、隠れていた真実に悪がある一方で、胸打たれる真相もあった。ただ、今回は村野の純粋な思いは別にして、悲しみとやりきれなさが大きく残った。そんなラストで希望が持てたのは、冒頭では厚労省の「若年者の貧困支援プロジェクト」にMEJの責任者であることから加われなかった麻帆が、MEJの仕事に前向きに取り組もうとする姿。今後の“麻帆だからできること”に期待したい。
◆文=ザテレビジョンドラマ部

