生まれたときからお母さんに溺愛され、大切に育てられてきた小学5年生の坂田ゆめひろくん。歪んだ愛情のもと大きくなったゆめくんは、どんどんワガママになっていきます。そんなゆめくんに振り回されているのが、同級生の田代カイトくんとその友だちです。先生から理不尽に怒られたり、大好きなドッジボールを禁止されたりと、自分たちばかりが我慢しなければならない状況に不満を募らせていました。
ドッジボールを禁止され、仕方なくサッカーで遊んでいたカイトくんたち。そこへ、ゆめくんが「仲間に入れて」とやってきます。カイトくんたちは「ルールを守るなら」という約束でゆめくんを仲間にいれますが、ゆめくんは突然「自分にだけパスが来ない!」と怒りだします。みんなが理由を説明しても耳を貸さず、「意地悪された! 先生に言ってやる!」と一方的に被害を主張するのでした。
すると先生は詳しい事実を確認しないままカイトくんたちを立たせ、「平等にパスしなさい」と的外れな説教を始めます。理不尽に怒られるカイトくんたちを見ながら、先生の後ろでニヤリと笑うゆめくん。大人を味方につけて自分の思い通りにしようとするその姿に、カイトくんたちの不満はついに頂点に達するのでした……。
仲間外れにしないで距離を置く“名案”を思いついて…?






















「なんなんだよアイツ!」と怒りに震えるカイトくんたち。なぜか自分たちに執着してくるゆめくんに困り果てていました。ドッジボールもサッカーも、彼がいるだけで「平等」という名の理不尽なルールに縛られてしまいます。そこで友だちの1人が「あいつが来たら、すぐ逃げる」という作戦を提案します。
翌日の昼休み。ドッジボールを始めようとしたところに、いつものように「俺も!」とゆめくんが登場。その瞬間、子どもたちは「トイレ」「図書館」と口々に言い残し、バラバラに解散しました。作戦通り、鮮やかに逃げてみせたカイトくんたちは「うまくいった!」と大喜び。ひとり取り残されたゆめくんは、ただ呆然と立ち尽くすのでした。
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大人が一方的に「平等」や「みんな仲良く」を押し付けてしまうと、子どもたちは今回のように問題から距離を取る逃げ方を選ぶことがあります。大切なのは、目の前のトラブルをただ収めることではなく、子どもの行動の背景に何があったのかを見極めることではないでしょうか。表面的な言葉にとらわれず、状況を冷静に見る視点と、子どもたち自身が関係を整えていく力を信じて見守る姿勢、その両方を持っておきたいですね。
著者:マンガ家・イラストレーター 神谷もち

