スターバックスが関西学院大学内店舗でマイタンブラーイベントを開催、なぜ大学で?

スターバックスが関西学院大学内店舗でマイタンブラーイベントを開催、なぜ大学で?

全国各地に広がるスターバックスの店舗だが、その中には大学キャンパス内の店舗もある。そのうちのひとつ、兵庫県にある関西学院大学西宮上ケ原キャンパスの「スターバックス コーヒー 関西学院大学店」で今年6月、興味深い取り組みが行われた。タンブラーの利用者率アップのための実証的な取り組み「スターバックス タンブラー チャレンジ」だ。今回は、その様子をレポートしよう。
スターバックスが関西学院大学内店舗でマイタンブラーイベント開催


■大学内でMY TUMBLER WEEKS
2023年の夏に始動したスターバックスの「タンブラー部」は、タンブラーやボトルなどのマイタンブラーを楽しく使いながら、廃棄物削減に取り組む参加型プロジェクトだ。これまでにも、割引や利用数に応じた特典、学生とパートナーが“リユースが当たり前の日常”を一緒に考えるサミットなど、さまざまな活動を展開している。

しかし、店内のマグやグラスの利用は定着してきたものの、タンブラーの利用率はまだ伸び悩んでいるのが現状だ。店内のマグやグラスと違い、マイタンブラーは利用者がタンブラーを持参する必要があるため、使うきっかけ作りがポイントとなる。そこでスターバックスでは今年、特定の店舗や地域で実証的な取り組み「スターバックス タンブラー チャレンジ」を行っている。そのひとつが、関西学院大学店で行った「MY TUMBLER WEEKS」だ。
エントランス付近で取り組みをわかりやすく告知
エントランス付近で取り組みをわかりやすく告知


環境月間に合わせた2025年6月16日~27日の約2週間、マイタンブラーや店内でのマグ・グラスの利用をいつも以上に積極的に来店客にアピール。マイタンブラーを持っていない人にも参加しやすいよう、通常250円のリユーザブルカップを110円で販売。また、参加者には、特別ステッカーをプレゼントした。
配布されたステッカー
配布されたステッカー


緑あふれる美しいキャンパスの一角にある店舗は、学生や教員はもちろん、近隣住民も散歩がてらに立ち寄るような、開放的な雰囲気だ。授業の空きコマにソファ席で友人と語らったり、ランチタイムに利用したりする学生の多くが、店内のマグやグラスを利用していた。一方、テイクアウトの場合は使い捨てカップの利用者がまだまだ多いようだ。

■マイタンブラー初体験の学生も
今回の取り組みを通して、実際にマイタンブラーを使った学生に、感想を聞いてみた。

まずは、普段は水専用の水筒を持ち歩いているという前川さん。今回の「MY TUMBLER WEEKS」で、初めてマイタンブラーを使ったそうだ。

「地球のためになることを自分ができたんだと思うと、うれしかったです」と笑顔で教えてくれた。ただ、「オーダーをするときにマイタンブラーを持ってきている人が少なかったので、本当にこのタンブラーに入れてもらえるのかな?と、少し不安でした」と、戸惑いもあったと言う。
関西学院大学の学生・前川さん
関西学院大学の学生・前川さん


続いて、スターバックスのタンブラーを愛用する宮路さん。

「全員が使い捨てカップを使うとごみの量が増えてしまうから、一人でも、少しでもごみが減らせたらいいなという気持ちがありました。あと、このデザインがすごく好きで、使ってみたいなと思ったのも、きっかけでした」と、タンブラー購入のきっかけを教えてくれた。ただ、スターバックス以外のタンブラー(水筒など)でも店舗で利用できることは知らなかったと言い、「学生には値段が高いタンブラーもあるので、メーカーを問わず使えることをもっと知ってもらえれば、利用してくれる人が増えると思います」と語った。
関西学院大学の学生・宮路さん
関西学院大学の学生・宮路さん


最後に、普段はスターバックスをあまり利用しないという野田さん。ペットボトルのごみを減らすため、自宅で飲み物を入れた水筒を持ち歩いているそうだ。

「お店で水筒にドリンクを入れてもらって持ち歩くというのは、すごく新鮮でした!」と、今回の体験を楽しんでいた様子だった。
関西学院大学の学生・野田さん
関西学院大学の学生・野田さん


3人の話からは、マイタンブラーを利用することで環境によいことができるという実感や、お気に入りのタンブラーを使う楽しさなど、ポジティブな気持ちが伝わってきた。一方で、前川さんや野田さんのようにすでに水筒を持ち歩いている人にとっては、コーヒーなどの飲料のために2つ目のタンブラーを持つことにハードルがあるようだ。

■店舗の立地によって異なるニーズ
では、今回の取り組みをパートナー(従業員)たちはどう感じているのだろう。

実は「MY TUMBLER WEEKS」は、当初は終日マイタンブラーの利用のみに限定する案もあったが、学校という立地を考慮しその案は見送られることになったという。

「学生さんは短い移動時間にドリンクを購入することが多く、モバイルオーダーを利用される方も多いんです。モバイルオーダーはマイタンブラーに対応していないので、マイタンブラー利用者のみに限定すると、お客様のニーズにお応えできなくなってしまいます。また、パートナーにとって負担にもなる可能性があると考えました」と、ストアマネージャー(店長)の上羽さんは言う。


その代わり、エントランスに「MY TUMBLER WEEKS」のボードを掲げたり、レジ周りでリユーザブルカップがお得に購入できることを案内したり、パートナーから積極的に来店客に伝えるなど、いつもより丁寧な案内を心がけたそうだ。
タンブラーは注文時にふたを外してパートナーに渡す
タンブラーは注文時にふたを外してパートナーに渡す


「普段はマイタンブラーの利用は1日2~3件と利用率の低い店舗ですが、この2週間は多くのお客様にご利用いただくことができました。リユーザブルカップが手頃な値段だったので、これを機に購入してくださった方もいらっしゃいました」と、効果を実感したようだ。ただ、「オフィスとは異なり、学校や屋外は洗浄する場所がないこともハードルになっているようです」と課題も感じている。
【写真】パートナー愛用のリユーザブルカップ。名前を書いたり絵を描いて個性を出したりと、楽しみながら使っているそうだ
【写真】パートナー愛用のリユーザブルカップ。名前を書いたり絵を描いて個性を出したりと、楽しみながら使っているそうだ


実際、この取り組みをきっかけにリユーザブルカップを購入したという大学職員は、「ドリンクを飲み終えたあと、職員用の給湯室でカップを洗浄しています」と教えてくれた。なるほど、職場には荷物を置くスペースや給湯室などの設備があることが多いので、学生よりマイタンブラーは選択しやすい環境と言えそうだ。企業と協業し、オフィスビル内の店舗などでタンブラー利用者のみに限定する取り組みを行うことも可能かもしれない。
「MY TUMBLER WEEKS」期間中にリユーザブルカップを購入した大学職員
「MY TUMBLER WEEKS」期間中にリユーザブルカップを購入した大学職員


マイタンブラーの利用率アップのためにさまざまな施策を検討するスターバックスの今後の取り組みに注目したい。

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配信元: Walkerplus

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