
妊娠できる健康な体を持つ女性が“子どもを産むための道具=侍女”となるディストピア世界を描き、エミー賞やゴールデングローブ賞を受賞したドラマシリーズ「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」。その新章となる「テスタメント/誓願」の第7話が、5月6日に配信された。初めて少女の中に芽生えた恋心は募るばかり。それが許されないものであればなおさら…。そして、もう1人の少女は危険と隣り合わせの状況に震える。女性が抑圧された国で渦巻く、それぞれの思いにドキドキハラハラが高まった。(以下、ネタバレを含みます)
■衝撃的な世界を描いた「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」から15年後が舞台
本作の原作は、「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」と同じくカナダの作家、マーガレット・アトウッド氏の小説。同氏にとって2度目となる権威あるイギリスの文学賞、ブッカー賞を受賞した作品だ。
「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」の世界観を引き継ぎ、約15年後の全体主義国家・ギレアド共和国が舞台。抵抗組織の台頭があったものの、ギレアドは国民を強固に支配し、あまりにも冷酷な階級社会が続いていた。特に女性は信仰を盾に財産や読み書きさえも禁じられるなど、全ての権利を奪われ、上級司令官の令嬢たちすら、その暴力の犠牲になっていた。
監視の目が張り巡らされた中、リディアおば(アン・ダウド)が支配する上級司令官の妻になるための教育を施す学校「リディアおば学院」で2人の少女が出会った。1人は、ギレアドの特権階級である司令官の娘として、体制の内側で従順かつ敬虔に育てられてきたアグネス(チェイス・インフィニティ)。もう1人は、国外からギレアドにやって来た新参者(改宗者)のデイジー(ルーシー・ハリデイ)だ。
■デイジーがギレアドに来るまでが明かされる
第7話は、アグネスとデイジー、それぞれの様子にドキドキ感が高まった。
まずはデイジー。リディアおば学院のパールガールとして過ごすデイジーは、ギレアドへの対抗組織・メーデーの協力者であり、寮のベッドでひそかに外部のラジオ放送を聞いていた。それは抵抗組織がギレアドから奪ったボストンより発信され、ギレアドがボストンの侵攻に失敗して多大な兵力を失ったという。もちろんそれはギレアド国内で報道されることはない。
第7話では、デイジーがなぜメーデーとしてギレアドに潜入したのかが明かされた。本人は知らなかったがギレアド生まれのデイジーは、メーデーの一員である夫婦が“両親”として彼女を預かり、カナダで暮らしていた。だが、その夫婦はギレアドの組織に殺され、前シリーズの主人公で、メーデーのメンバーであるジューン(エリザベス・モス)がデイジーに接触したというのは第3話で描かれた通り。
ジューンはデイジーをギレアドの追っ手から逃がそうと、仲間にその準備を進めさせていたが、デイジーは「一生逃げ続けるつもりはない」「殺された両親の仇を討つ」と宣言。そこでジューンたちメーデーは、頓挫していたギレアドに潜入させる計画を、デイジーに担わせることにしたのだった。
自らの意思ではあったものの、ギレアドでの生活は想像以上に恐ろしいものだった。まだティーンエージャーのデイジーが、国家に反した者が首吊り状態でさらされるのを見れば、震え上がるのも無理はない。そして、その緊張は、アグネスらギレアド国家の上層部の令嬢に近づいて情報を探るという使命によって、ずっと続くのだ。
少し前に起きた襲撃事件を調べているウェストン司令官(リード・ダイアモンド)との面談に臨むことになったデイジー。司令官の手元には、彼女のラジオがあった。緊張しながらなんとかやり過ごすことができた。

■結婚相手に思い人が選ばれず、傷心のアグネス
そしてアグネス。ギレアドでは、初潮を迎えた少女は妻になるべく準備が進む。アグネスもリディアおばたちによって3人の夫候補が選ばれた。だが、その中にひそかに期待していたアグネスが恋するガース(ブラッド・アレクサンダー)はいなかった。それどころか、ガースは親友・ベッカ(マッテア・コンフォルティ)の夫候補の1人となっていた。ただ、ベッカ自身はアグネスに恋をしていて「結婚したくない」ながらも、両親の言う通りに結婚しなければならない悲しみがある。
アグネスの義母ポーラ(エイミー・サイメッツ)は、候補者のうち、人々を監視する“目”の責任者であるウェストン司令官を強く勧めた。最も権力があり、「一生安泰」だからだ。候補者たちとの面談が始まり、失意のアグネスは努めて平静を装っていた。ウェストン司令官を迎えた日、「質問はあるか」と問われて、「私は司令官のご期待に応えられる妻になりたいと願っています」とポーラも納得の模範的な回答をする。ところが、「以前ご結婚されていたので特に」と続けたことで、その場にヒヤッとした空気が流れた。
帰り際、「妻は出産で死んだんだ。最悪の日だったよ、子どもを失った」と言い残したウェストン司令官。不機嫌になったポーラは、アグネスに自分の目に入らないところに行くよう言い渡した。
庭に出たアグネスは、タバコを吸っているガースを見つけた。ガースは、今はまだアグネスを警護する守護者で、あと少しで司令官に昇進する。タバコを消して去ったガース。アグネスはその場に駆け寄り、ガースが捨てたタバコを拾い上げ、吸い口にそっと自分の唇を当てた。
意に沿わない結婚が近づいている悲しみ。戻ってきたガースに驚きながら「私に人格ってある?」と聞くアグネス。ガースは「もちろん」と言うが、アグネスはベッカとの縁談を皮肉ってしまう。
その後、アグネスはポーラからウェストン司令官が妻に自分を望んでいると聞かされた。ちなみにウェストン司令官と言えば、デイジーがギレアド潜入前に見ていた資料に、家庭内暴力の常習犯という情報が記載されていた。果たしてこの縁談はどうなるのか、見ているほうも心配になる。
また、アグネスはジューンの娘だと示唆されているが、マッケンジー司令官(ネイト・コードリー)の娘としてギレアドという国のルールに沿って生きてきた。しかし今、その無情さに直面している。恋という感情によって。
一方、自ら望んでギレアドに来たものの、デイジーの恐怖はピークに達しつつある。デイジーがラジオを隠していた隣のベッドの少女が裏切り者として処罰されるため、連行されてしまったのだ。
アグネスとデイジーの感情が今にも爆発してしまいそうな危うい状態。残り3話。前シリーズから続く衝撃のディストピア世界で、彼女たちの過酷な運命にくぎ付けだ。
「テスタメント/誓願」(全10話)は、ディズニープラスのスターにて毎週水曜に新エピソードを配信。
◆文=ザテレビジョンドラマ部

