骨肉腫の診断基準

骨肉腫の診断は、画像検査の所見と病理検査の結果を組み合わせて行います。X線やMRIで骨に悪性腫瘍を強く疑う所見があっても、生検で得た組織を顕微鏡検査し、腫瘍性の骨が確認されて初めて骨肉腫と確定診断されます。加えて、診断時には腫瘍の大きさ・広がりと転移の有無によって、病期の判定も行われます。
骨肉腫の治療方法

骨肉腫の治療は手術と抗がん剤による化学療法を組み合わせるのが標準的です。現在では、診断時に外科的切除が可能な症例に対しては、術前化学療法と手術による腫瘍の切除、さらに術後化学療法を組み合わせた集学的治療が行われます。以下に各治療法について解説します。
術前化学療法
術前化学療法とは、手術で腫瘍を摘出する前に行う抗がん剤治療です。骨肉腫の治療成績向上のため1970年代以降に導入され、現在の標準治療の一部となっています。手術前に化学療法を行う目的は主に2つあります。
腫瘍を小さく縮小させること
目に見えない転移巣を治療すること
用いられる抗がん剤(化学療法薬)は複数の薬剤を併用するのが一般的です。骨肉腫に対して特に有効な主力薬剤として、メトトレキサート、ドキソルビシン、シスプラチンの3つが挙げられ、これらを組み合わせたMAP療法と呼ばれるレジメン(治療法)が標準的に使われています。
外科的切除
外科的切除は、骨肉腫が発生した骨とその周囲の腫瘍を取り残しなく摘出する治療です。骨肉腫の手術では、腫瘍細胞が存在する範囲よりも一回り大きく正常組織ごと切除する広範切除術が基本となります。これによって腫瘍の取り残しを防ぎ、局所での再発を起こしにくくします。
術後化学療法
手術で目に見える腫瘍をすべて切除した後も、再発予防のための術後化学療法を行います。手術後に抗がん剤治療を追加することで、手術時に取り切れなかった可能性のあるわずかな残存がん細胞や、すでに転移しているかもしれない微小ながんを叩き、再発率を下げて治癒率を上げることができます。

