風邪だと思っていた咳がなかなか治まらない……。もしかしたら「喘息」かもしれません。風邪と喘息の咳の違いや見分け方、さらに咳が続くときに考えられる病気について、「ひらた循環器クリニック」の平田先生に詳しくお聞きしました。

監修医師:
平田 彩(ひらた循環器クリニック)
兵庫医科大学医学部卒業。その後、杏林大学医学部付属病院呼吸器内科、国立がん研究センターで経験を積む。2023年、東京都小金井市に位置する「ひらた循環器クリニック」の院長に就任。医学博士。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本医師会認定産業医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医。
喘息と風邪の違い・見分け方
編集部
喘息と風邪の咳はどう違うのですか?
平田先生
風邪はウイルス感染による炎症で、数日~1週間程度で治まる咳が多い傾向にあります。また、風邪の咳は痰を伴うことが多く、発熱やのどの痛み、鼻水、体のだるさといった症状も一緒に出やすいのが特徴です。一方、喘息は気道が慢性的に炎症を起こす病気で、夜間や明け方に咳が強く出たり、ゼーゼーという呼吸音を伴ったりするのが特徴です。この呼吸音のことを「喘鳴(ぜんめい)」と言います。
編集部
喘息と風邪で熱の出方も違うのでしょうか?
平田先生
風邪は発熱を伴うことがある一方、喘息で高熱が出ることはほとんどありません。そのため、咳や息切れは強くても、熱がない場合は喘息を疑う材料になります。ただし、感染症を合併していれば発熱することもあります。
編集部
風邪が治ったのに咳だけ続くのは喘息ですか?
平田先生
風邪をきっかけに気道が敏感になり、咳だけが残ることがあります。さらに、その状態を放置すると喘息に移行することもあります。そのため、咳が3週間以上続く場合は単なる風邪ではなく喘息を疑い、医療機関を受診することが望ましいです。
咳が止まらないときに疑うべき病気
編集部
咳が長引くときに考えられる病気はなんですか?
平田先生
一般的な喘息(いわゆる気管支喘息)のほか、咳喘息、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、逆流性食道炎などが考えられます。単なる風邪と思い込み放置すると悪化する可能性があるため、咳が長引く場合は検査が必要です。
編集部
咳喘息は一般的な喘息とどう違うのでしょうか?
平田先生
咳喘息は一般的な気管支喘息と異なり、ゼーゼーという喘鳴がなく、咳だけが続くタイプの喘息です。風邪の後や季節の変わり目に悪化しやすく、放置すると気管支喘息に進行することもあります。早期に治療することが重要です。
編集部
逆流性食道炎で咳が出ることもあるのですか?
平田先生
逆流性食道炎では、胃酸が食道を刺激し、慢性的な咳の原因になります。特に就寝時や食後に咳が強まる場合は、呼吸器ではなく消化器系の病気が関わっている可能性もあります。
編集部
結核や肺がんも咳の原因になりますか?
平田先生
長期間続く咳の背景には、結核や肺がんが隠れている場合もあります。特に、体重が急に減ってきたり、血痰を伴ったりしているときは注意が必要です。慢性的な咳は軽視せず、精密検査を受けることが望まれます。

