●「摘発」との違い
「検挙」と似た言葉に「摘発」があるが、これも法律上の定義はない。
一般的には、「検挙」が容疑者を特定して刑事事件として処理することを意味するのに対し、「摘発」は容疑者特定の有無にかかわらず、犯罪事実や違法行為を明らかにして世間に公表するという意味合いが強い。
たとえば、「違法風俗店を摘発した」といった用例が典型だ。
なお、「記者ハンドブック 第14版」(共同通信社)では、「警察が認知した犯罪について容疑者を特定し、送検・送付・微罪処分に必要な捜査を遂げることを検挙というが、統計記事以外は原則として『摘発』に言い換える」とされている。
いずれにせよ、今回の「検挙」という表現は、冨永さんによる道路交通法違反を捜査機関が確認し、事件処理を開始したことを示すが、逮捕の有無や処分内容までは含まないという点に注意が必要である。

