バリウム検査の前日はどのようなことをすれば良いでしょうか?メディカルドック監修医が検査前日の食事や飲み物などに関する注意点、当日の流れやこの検査で分かる病気についてご紹介します。

監修医師:
木村 香菜(医師)
名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。
「バリウム検査」とは?
まずは、バリウム検査とはどのような検査なのかについて解説します。
バリウム検査とは?
胃のX線検査(バリウム検査)は、発泡剤によって胃を膨らませ、造影剤であるバリウムを飲むことで胃粘膜の表面を詳しく観察する検査です。胃がん検診として、50歳以上の方に対しては、バリウム検査が胃の内視鏡検査(胃カメラ検査)のどちらかを隔年で受けることが推奨されています。バリウム検査の特徴としては、受診者さん自身が撮影台の上で右回転する、圧迫フトンでみぞおちのあたりを抑える、ベッドの移動により頭を低くした体勢になるなどがあります。こうしてさまざまな角度から胃の撮影を行うことで、胃の粘膜表面を詳細に描出することができます。
バリウム検診のメリットとしては、バス検診などでも行える手軽さ、検査時間の短さ、安価な費用などが挙がります。さらに、バリウム検査は基本的に放射線技師が担当するため、医師が行う胃カメラ検査よりも人手の面で勝るという点もあります。こうした理由から、今まで胃がん検診ではどちらかというとバリウム検査が優先されてきたという面はあります
一方で、バリウム検査には被曝の問題があります。また、バリウムが誤って気管に入る誤嚥、バリウムが腸内で固まってしまうことでの腸閉塞などのリスクも低いながらあります。
このようなメリット、デメリットを理解した上でバリウム検査と胃カメラ検査のどちらを受けるかを決めることが大切です。
バリウム検査は何科で検査できる?
バリウム検査は、胃がん検診や人間ドックの際に受けられる検査です。健康診断科や消化器内科で検査を受けることができるでしょう。50歳以上から胃がんの罹患リスクが高まることもあり、バリウム検査を受けるのであれば50歳が一つの目安となります。一方、現状では40歳以上の方に対してバリウム検査による胃がん検診も可能とされています 。
バリウム検査の費用は?
胃のバリウム検査(上部消化管造影検査)の診療報酬点数は、造影剤使用撮影と特殊撮影(スポット撮影)の組み合わせで算定されます。具体的には、造影剤使用撮影が154点 、特殊撮影(スポット撮影)が270点で、これに診断料72点と透視診断料110点が加算されます。診療報酬1点は10円に相当しますので、3割負担の場合、約2,000円となります。これに初診料などが加わります。胃がん検診などの場合は、原則全額自己負担となります。自治体によっては、がん検診に対して補助を受けられることもあります。お住まいの地域でのがん検診については、公式ホームページや広報などで確認してみましょう。
「バリウム検査の前日」の注意点
それでは、バリウム検査前日の注意点を述べていきます。
バリウム検査の前日は薬を服用して良い?
バリウム検査の前日は、特に中止すべき薬剤はありません。通常通りに薬を飲みましょう。
他にバリウム検査の前日の注意点は?
その他、バリウム検査の前日に注意すべき点として、食事以外には特記すべき注意点はありません。しかし、検査前72時間排便がない方は、腸閉塞になるリスクを考え、安全性の面からバリウム検査を受けられない場合があります。 普段から便秘がちな方は、排便の様子や状況について再度確認しておくことをおすすめします。

