
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、鈴木夏菜さんの漫画「門」。
本作は原作・夏目漱石の小説「門」のコミカライズ作品。世界と日本の名作をコミカライズする「KADOKAWA MASTERPIECE COMICS」シリーズの一作として、2026年2月よりカドコミで連載され、単行本も発売中。親友を裏切り一緒になった男女が、略奪愛の罪悪感に苦悩する姿を描く禁断のラブストーリーとなっている。
作者である鈴木さんが3月19日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、5,900件を超える「いいね」が寄せられた。本記事では鈴木さんに、作品のこだわりなどについてインタビューをおこなった。
■物語は衝撃的なシーンから始まる…
主人公・宗助は親友だった安井の妻・御米と結婚した。略奪愛の罪に長年翻弄された宗助がたどり着いたのは、とある「門」の前。しかし、手で押しても門はびくともしない。我に返った宗助の視線の先に横たわっていたのは、へその緒がついたままの胎児の姿だった…。文豪・夏目漱石の「前期三部作」の最後の作品と呼ばれる名作を、鈴木夏菜さんがオリジナル要素を加えコミカライズしている。
本作には「門、好きなんですよねえ」「夫婦の会話とかちょっと面白くて苦しくて」などのコメントが寄せられている。
■「私が思う一番最悪の拗れ方で三人の関係を崩壊させようと思いました」作者・鈴木夏菜さんにコミカライズへのこだわりをインタビュー

――夏目漱石の有名な原作小説をコミカライズ化することになった経緯や、お話を聞いたときお気持ちはいかがでしたか?
元々編集さんとはオリジナルの作品を作ろうとしていたのですが、私が原作ありのものに挑戦したいと話していたところ、名作小説をコミカライズするこちらの企画のお話をいただき、二つ返事でお受けしました。始めた当初はがむしゃらであまり意識していませんでしたが、全て終わってみてふと本の表紙を見たりすると、教科書でも習った夏目漱石と自分の名前が並んで表記されていて、不思議で光栄で感慨深いです。
――X(旧Twitter)にて「原作よりエグさ5割増しで漫画化」とおっしゃっていますが、具体的にどのような点にこだわられたのでしょうか。
原作小説ですと宗助とお米と安井、この関係がどのように壊れたかがほぼほぼ描かれず、かなり簡潔な表現でまとめられていました。それも小説の良さだなと思いましたがここがおそらく物語の中で一番湿っぽく各々の感情が捲れ上がるタイミングだなと思ったので、私が思う一番最悪の拗れ方で三人の関係を崩壊させようと思いました。描いていて気分は最悪で楽しかったです。
――原作とは順序が異なるストーリーに引き込まれました。コミカライズならではの良さを出すためにこだわったことがあればお教えください。
原作が割とスロースタートなお話で前半は日常の描写がほとんどなので、漫画だと見飽きてしまう人が多いと感じました。そのため大きな展開や絵で魅せられそうな部分に多くページを割り当て、一話一話読んでいて飽きない構成を心がけました。また、原文をそのままナレーションとして使わずにその原文から想起できる情景や抽象表現として描き、漫画としての解釈を付与して面白く読めるように工夫しました。
――本作の中で特に力を入れたシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
療養先の宿でお米が宗助に言った「あの人(安井)が私を本当に好きなのか時々分からなくなる」というセリフは原作にないオリジナルなのですが、自分が同じ状況に置かれて、自分を悪者にせずに宗助に気を持たせる一言を言うなら と考えて書いたセリフです。個人的にお米は嫌いなタイプの女性ですが、女性としての生存本能には同意するので自分と同化させてこのセリフを考えました。
――読者へメッセージをお願いします。
文学に疎い私は夏目漱石の作品というと「こころ」や「坊ちゃん」などの名作しか知りませんでした。「門」は今回のコミカライズで初めて知った作品です。そんな人も多いのではないかと思います。そしてそんな人にこそ、面白く読めるように様々な工夫を凝らしていますので、ぜひ漫画を読んでいただきたいなと思います。漫画を読み終えたら、それを入り口にぜひ原作小説を読んで違いを比べてみてください。そして感想を教えてください!

