海外でも注目される日本の乾物文化
日本の食材への関心は国内にとどまらず、世界的にも高まりを見せています。2024年の農林水産物・食品輸出額は初めて1兆5,000億円を超え、過去最高を更新しました(※4)。なかでも乾物は、健康志向やサステナビリティの観点から国際的な注目を集めています。
米国のCNNは2022年に海藻を「人と地球の双方に良い、植物性食品の新たなスーパーフード」として紹介し(※5)、世界経済フォーラムも2024年に、藻場や海藻が二酸化炭素を吸収する「ブルーカーボン」として気候変動対策に大きな役割を果たしうると特集しました(※6)。また世界銀行の報告書でも、海藻産業は環境資源としてだけでなく、食品・飼料・機能性素材など幅広い分野で市場拡大が見込まれるとされています(※7)。
海藻類(昆布・わかめなど)は韓国が世界市場を牽引しつつ、欧米でも健康・機能性用途への利用が広がっています。さらに、乾しいたけは欧州でオーガニックや高品質品への需要が拡大し(※8)、春雨を含む乾麺類はインスタント食品需要の伸長を背景に、アジアを越えてアフリカや南米など新興地域でも市場が急成長しています(※9,10)。
このように、伝統的な日本の乾物は、健康・持続可能性・利便性といった観点で世界的に受け入れられつつあり、日本の食文化を代表する存在として新たな価値を発揮しています。
食文化の進化:伝統食材が現代の食卓に新たな価値を提供
今回の調査で明らかになった乾物検索の急増は、価格の安定性、栄養の凝縮、保存性の良さという乾物の特性が、現代家庭のニーズと合致していることを示しています。さらに、従来の和食用途を超えて洋風・中華・エスニック料理にも応用される調理の多様性が、新たな価値として認識され始めています。
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※SI値:Search Indexの略で、1000回あたりの検索頻度です
※マッチ度:指定キーワードとの組み合わせ検索頻度を、100回あたりの割合で示す指標
※2 総務省統計局 「2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)8月分」
※3 総務省「消費者物価指数」(2020年基準)によると、2020年から2024年にかけて「生鮮野菜」の指数は 97.2〜119.4 と大きく上下したのに対し、「乾物・加工品類」は 100.6〜115.7 で推移し、年ごとの上昇幅はおおむね+2〜5%程度にとどまっている。
※4 農林水産省「2024年の農林水産物・食品の輸出実績」
※5 CNN「The newest superfood is good for humans and the planet」(2022年7月21日)
※6 世界経済フォーラム「How Japan is harnessing blue carbon as a pathway to net zero」(2024年5月24日)
※7 世界銀行「Global Seaweed New and Emerging Markets Report 2023」(2024年5月24日)
※8 日本貿易振興機構(JETRO)「欧州市場に挑む乾しいたけ」事例レポート(2018年)
※9 世界インスタントラーメン協会(WINA)「Global Demand for Instant Noodles」(2024年実績)
※10 ガーディアン紙「‘People eat two or three packets a day’: how instant noodles took over the world」(2023年12月28日)

