
監修歯科医師:
加藤 大地(歯科医師)
東京歯科大学卒業。日本歯科大学附属病院研修修了。都内歯科医院勤務。現在は医療法人かとう歯科勤務。日本口腔インプラント学会、日本臨床歯周病学会、近未来オステオインプラント学会、保田矯正塾。
口腔乾燥症の概要
口腔乾燥症は、唾液の分泌量が減少して口の中が乾燥する状態です。
唾液は唾液は食塊を形成し食べ物を飲み込みやすくし、口腔内の清潔を保ち、細菌の増殖を抑える働きがあります。唾液が減少すると、こうした役割が果たされにくくなり、口腔内に不快感が生じやすくなります。
口腔乾燥症の原因は多岐にわたりますが、主な原因には加齢、薬剤の副作用、生活習慣、ストレス、自律神経の乱れなどが挙げられます。特に、抗うつ薬や降圧薬などの服用は唾液の分泌を抑制することがあるため、薬剤が原因となるケースも少なくありません。また、ストレスや緊張が強いと自律神経の働きが乱れ、唾液腺の機能が低下して唾液の分泌が減少することもあります。
口腔乾燥症の症状には、口の中が乾燥するだけでなく、食べ物が飲み込みにくくなる、口臭が発生しやすくなる、さらには口内炎が頻繁にできるといったものが含まれます。これにより、食事を楽しむことが難しくなり、栄養状態の悪化や、生活の質の低下にもつながることが考えられます。また、唾液の減少によって口腔内の自浄作用が低下するため、虫歯や歯周病のリスクが高まる可能性もあります。
口腔乾燥症の原因
口腔乾燥症は、唾液の分泌量が減少することによって口腔内が乾燥する状態を指し、さまざまな要因が関係しています。主な原因として、加齢、薬剤の影響、ストレス、疾患、生活習慣の5つが挙げられます。
まず、加齢による唾液分泌量の低下が原因となるケースが多く、特に高齢者によく見られます。加齢とともに唾液腺の機能が徐々に低下し、唾液の分泌量が少なくなるため、口腔乾燥症が発生しやすくなります。また、唾液腺組織自体の老化や血流の低下も唾液分泌の減少に関与するとされています。
次に、薬剤の影響も大きな要因です。抗うつ薬、抗ヒスタミン薬、降圧薬、利尿薬など、多くの薬には口腔乾燥を引き起こす副作用があります。特に複数の薬を長期にわたって服用している場合、唾液腺に対する薬の影響が重なり、唾液分泌がさらに低下する可能性が高くなります。
ストレスや緊張も口腔乾燥症の要因です。ストレスや緊張状態になると、自律神経のバランスが乱れ、交感神経が優位になることで唾液の分泌が抑制されます。唾液は副交感神経の働きによって分泌が促されるため、交感神経が優位な状態では唾液の分泌量が減少し、口の乾燥を感じやすくなります。現代社会ではストレスの増加により、若年層でも口腔乾燥症が増加している傾向があります。
また、シェーグレン症候群や糖尿病などの疾患も口腔乾燥症を引き起こします。シェーグレン症候群は自己免疫疾患の一種で、身体の免疫機能が唾液腺を攻撃してしまうため、唾液分泌が減少します。糖尿病では高血糖状態が続くことで身体が水分不足になり、口の乾きが生じやすくなります。そのほか、腎不全やパーキンソン病などの疾患も唾液分泌に影響を及ぼします。
生活習慣も原因の一つです。喫煙や飲酒は唾液の分泌を抑制するため、口腔乾燥症を悪化させる要因となります。特にアルコールには利尿作用があるため、体内の水分が排出されやすくなり、口の乾燥が進む可能性が高まります。また、水分摂取不足や乾燥した環境での長時間の生活も唾液分泌の低下を招き、口腔乾燥症の原因となります。

