食道がんの初期症状・末期症状とは?メディカルドック監修医が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「食道がんを疑う咳」の特徴はご存知ですか?前兆となる初期症状も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)
佐賀大学医学部卒業。南海医療センター消化器内科部長、大分市医師会立アルメイダ病院内視鏡センター長兼消化器内科部長などを歴任後の2023年、大分県大分市に「わだ内科・胃と腸クリニック」開業。地域医療に従事しながら、医療関連の記事の執筆や監修などを行なっている。医学博士。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本医師会認定産業医の資格を有する。
「食道がん」とは?
食道がんは、食道粘膜に発生するがんです。食道がんは、中年の男性に多く発生します。食道のどの部位にもがんはできますが、食道の中央付近で発生することが多いです。また、日本では組織型は扁平上皮がんが約9割と多いです。欧米で多い腺がんは日本では少ない傾向です。しかし、近年生活習慣は欧米化し、肥満も増え胃食道逆流症に関連した腺がんが徐々に増加しています。
食道がんは初期では症状があまり見られません。しかし、進行すると、食事の飲み込みにくさやつかえ感などの症状がみられます。また、声のかすれ(嗄声)や咳、胸・背中の痛みなど食道以外の症状を伴うこともあります。
食道がんは早期のがんであってもリンパ節転移を起こしやすく、注意が必要です。また、食道がんが進行した状態で発見された場合、未だに生存率は低い状態です。このためなるべく早期で発見することが大切です。早期に発見するために、気になる症状がある場合には早めに受診をしましょう。
食道がんの前兆となる初期症状
食道がんの初期では無症状であることが多いです。進行すると、さまざまな症状が認められるようになります。
食べ物でしみる感じ
食べ物を飲み込んだときに、しみたり、チクチク痛んだりする症状が起こることがあります。胸やけのように感じる方もいます。食道がんがある部分が通常の食道粘膜より刺激を受けやすくなっているためです。そのため、食べ物が通過する際にこすれて、しみるような感じを受けると考えられます。このような症状が出た場合には、消化器内科で相談をしてみましょう。
食べ物がつかえる感じ
食道がんの症状でよくみられるものは、食べ物を飲み込んだときにつかえる感じです。食べ物を飲み込んだ際に飲み込みづらくなったり、つかえると感じたりする様になります。これは、食道がんが進行し、食道の内部が細くなることにより起こります。水分などの液体は通過しても、固形物の通過しづらさが出てきます。さらに悪化すると、液体でも通過できなくなり、嘔吐もみられるようになります。しかし、これらの症状は他の病気でも起こり得るため、症状のみでは区別がつきません。症状がある場合には消化器内科を受診して、上部消化管内視鏡検査などの検査を行いましょう。

