食道がんが進行すると現れる症状(末期症状)
声のかすれ・咳
食道がんが進行して、近くにある声帯の動きを調整する反回神経に浸潤したり、周囲のリンパ節に転移して大きくなりこの神経を圧迫すると、声のかすれがみられるようになります。声のかすれのことを嗄声といいます。
また、先ほどお話ししたようにがんが気管や気管支まで広がると気管支を刺激するために咳の症状が出ます。この場合の咳は、持続する止まりにくい咳であることが多いです。また、飲み込みづらさからむせ込みが多くなり、食後に咳が多くみられることもあります。
食道がんで咳や嗄声がみられることが比較的多く、これらの症状で食道がんが発見されることもあるため、注意が必要です。
胸痛・背部痛
食道がんが進行し、周囲の臓器に広がると、さまざまな症状が現れます。背骨や肺の胸膜、大動脈などに広がっていくと、胸や背中の痛みとして感じる場合もあります。
また、骨転移を起こしている場合には、鎖骨や椎骨、肋骨など転移がある骨の部分の痛みが起こります。このため、同じ部分の骨がずっと痛む場合にも注意が必要です。
これらの胸や背中の痛みは肺の病気で起こることもあり、区別がつきづらいですが、症状が持続する場合は内科を受診して相談し、詳しく検査をすることをお勧めします。
体重減少
食道がんにより食べ物がつかえて食べられなくなり、食事量が減ることで体重が減少します。また、がんによる慢性炎症が起こり、エネルギーや栄養が消費されることをがんによる「悪液質」と言います。この時には、食事を摂っていても体重が減ってしまいます。
このように食道がんの場合には体重減少が起こりやすいです。がんが発生し進行すると、体重が減少し、低栄養状態をきたすようになります。
ダイエットをしているわけではないのに徐々に体重が減少しているなど気になる場合には内科で相談をしてみましょう。体重減少はがんのみで起こるわけではありませんが、注意が必要な症状の一つと言えます。
「食道がんを疑う咳の特徴」についてよくある質問
ここまで食道がんを疑う咳の特徴などを紹介しました。ここでは「食道がんを疑う咳の特徴」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
食道がんに気づく症状にはどのような特徴がありますか?
和田 蔵人 医師
食道がんは初期では自覚症状が出にくいです。進行すると、のどの使える感じやしみる感じなど感じる方がいます。また、咳や声のかすれ(嗄声)、胸痛・背部痛、体重減少などを認めることもあります。これらの症状は他の病気でもみられることもあります。このため、症状だけでは区別はつきません。しかし、食道がんは早期での発見が非常に大切です。気になる症状がある場合には、消化器内科で相談をしてみましょう。

