デスクワークやスポーツなどを長時間行うと、急に手首が痛んだり動かしづらくなる場合があります。腱鞘炎と呼ばれ、手首や指の腱に異常をきたす病気です。
上記のような動作の繰り返しのほか、更年期の女性や妊婦にも発症しやすいといわれています。
ここでは、突然起こることも多い腱鞘炎について、特徴や対処法・原因などをQ&A形式で解説していきます。もしかしてと思ったときは、参考にしてみてください。
また、最終的には自己判断に頼らず医療機関を受診することも大切です。早期の正確な治療を心がけましょう。
※この記事はメディカルドックにて『「大人の軽度知的障害の特徴」はご存知ですか?日常生活における影響も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
腱鞘炎の検査と治療方法

セルフチェック方法を教えてください。
基本的には、指の付け根や手の甲に腫れ・痛みがあれば腱鞘炎を疑います。前述のような、指や手首を長時間動かし続けるような動作に心当たりがあればほぼ確実です。親指の付け根や手の甲に症状の出た場合は、ドケルバン病のチェックをします。手首を直角に曲げ、親指を開いたときに痛みが増強すれば腱鞘炎の可能性が高いです。
またばね指の場合は、指の付け根の腫れ・痛みに加えて不自然な動きを伴うため、セルフチェックでも容易に発見できます。指が曲がったまま開かなくなったり、ある程度の角度でパチンと跳ねるように動くようであればばね指の典型的な症状です。
セルフチェックを行う際は、無理に動かすと悪化する場合もあるため気をつけましょう。はじめから医療機関の診察に任せるのがベストです。
病院ではどのような検査をしますか?
腱鞘炎の疑いで医療機関を受診した際も、基本的にはセルフチェックと同様の検査を行います。指の付け根や手首・手の甲の腫れが目印です。
ドケルバン病が疑われる場合は、フィンケルシュタインテスト(もしくはフィンケルシュタインテスト変法)と呼ばれる診断を行います。親指を握り込んだ状態で手首を小指側に曲げるか、親指を小指側に向かって引っ張った際に痛みが増強するようであればドケルバン病と判断します。
ばね指の症状が出ている場合は、特別な検査をせずとも判断が可能です。
腱鞘炎の治療方法が知りたいです。
ごく軽度の腱鞘炎であれば、安静にして市販薬で治療できる場合もあります。その場合は、なるべく手首の動作を控え、時折ストレッチをする程度にしましょう。痛み止めの塗り薬や飲み薬で、炎症を抑えることが有効とされます。
ただし2週間以上症状が継続する・痛みや腫れが酷い(広範囲である)・痙攣したような痛みがある・関節の変形がある・持病がある場合には病院を受診しましょう。整形外科、もしくは手外科が専門医にあたります。
腱鞘炎と診断された後は、患部を固定したりステロイド軟こうを処方したりといった対応が基本です。症状が酷い場合や長引く場合は、ステロイド注射を行う場合もあります。ごく稀ですが、特に酷い症状や再発の多い場合には日帰りの手術で腱鞘を切開します。
編集部まとめ

今回は、手指に痛みを伴って発症する腱鞘炎についてまとめてきました。原因がはっきりしているぶん、予防や対処が分かりやすいと感じた方も多いのではないでしょうか。
もちろん過度に警戒する必要はありませんが、普段から無理をしないことが肝心です。
もしものときはこちらの記事を参考に、医療機関での適切な診断・治療を最優先に行うようにしてください。
参考文献
腱鞘炎とは|済生会
ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)|日本整形外科学会
ばね指(弾発指)|日本整形外科学会

