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僕は、どこかしらバカな彼ら全員のことが好きなのです。|小野寺史宜

僕は、どこかしらバカな彼ら全員のことが好きなのです。|小野寺史宜

小野寺史宜さんの最新刊『片見里足立アフェクション』が発売になりました。この作品は、『片見里、二代目坊主と草食男子の不器用リベンジ』『片見里荒川コネクション』に続く、「片見里シリーズ」3作目です。小野寺さんに、架空の町・片見里とその土地にまつわる人たちへの想いを綴っていただきました。

「僕と彼らと片見里」

大きなことは起こらない。もしくは。何も起こらない。

僕の小説でよく言われることです。頻繁に言われます。

小さなことならたくさん起こっていると僕は思っていますが、確かに、大きなことは起こらないかもしれません。

でもこの片見里シリーズでは、それなりに大きなことが起こります。といっても、まあ、それなりにですが。

例えば復讐が出てきたりしますし、詐欺も出てきたりします。登場人物が探偵になったりもします。

片見里は、架空の町。駅前の雅屋が精一杯カッコをつけてショッピングモールエムザに変わり、居酒屋『月見里』から一軒しかないバー『トリノス』へ行くのがお酒を飲むときのゴールデンコースとなる。そんな田舎町です。

僕のほかの小説にもちょこちょこ出てきます。直接出てはこなくても、誰かがそこの出身だったりします。始まりはこのシリーズです。町が気に入ってしまったので、そうするようになりました。

その片見里には善徳寺というお寺があり、徳弥というなまぐさ坊主がいます。僕はこの徳弥が好きです。

作者として書いているときに徳弥が出てくると楽しい気分になりますし、読者として読んでいるときに徳弥が出てきても楽しい気分になります。おぉ、来た来た、徳弥。そう思いながら書いたり読んだりします。

一作め『片見里、二代目坊主と草食男子の不器用リベンジ』は、その徳弥と同級生一時のコンビ。二作め『片見里荒川コネクション』は、祖父と孫ほど歳が離れた継男と海平のコンビ。三作め『片見里足立アフェクション』は、六歳差の姉弟、洋と央のコンビ。

彼らはみんな、どこかしらバカです。かなり高偏差値の央ですらバカです。片見里でバカなことをして、荒川区でもバカなことをして、足立区でもバカなことをします。

で、結局、僕は、どこかしらバカな彼ら全員のことが好きなのです。

だから、どこかしらバカな彼らがバカなりの矜持のもとバカなりに懸命に動くバカ話をただただ楽しんでいただけたらうれしいです。

配信元: 幻冬舎plus

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